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南充浩 オフィシャルブログ

スペックの打ち出しのみでは価格競争に巻き込まれる

2014年7月30日 未分類 0

 同じ物が売っていたら人は必ず安い方で買う。
とくに店舗同士が近隣なら。

最近、このスニーカーを買った。

写真

(税込3800円で買ったプーマのスニーカー)

税込3800円である。
買った店舗では手書きで「元値8500円」と書かれていた。
手書きなので事実かどうかはわからないが、事実だとして話を進める。
(事実でなければ二重価格で景表法違反である)

その店を出て御堂筋を北上すると、15分ほど歩いたところに別会社のスニーカー店がある。
同じ商品がそこでは以前、6900円で販売されていた。
その後、4900円に値下がりしていた。

「8500円」の手書きPOPがどうして事実だと考えるかというと、他店で6900円で販売していたからだ。
割引で6900円と提示されていたから、おそらく8500円くらいはしたのだろうと考えられる。

実はこの2店舗の前をしょっちゅう通りかかるので、両方の値段を見比べて安い方で買った次第である。
いまどき、よほどの超人気商品でもない限り即日完売なんてするものではない。
スニーカーに限らず洋服だって半月くらい店頭に残っている品番はザラにある。
ゆっくり何日かかけて値段を見比べれば良い。

この店舗の場合、筆者が歩いて行ける距離にあったから見比べることができた。
インターネット通販に手慣れている人がこれをウェブ上でやったらショールーミングということになるのだろう。

さて、こういう状況はリアル店舗でもウェブ上でもよくある。
とくにメーカーからのナショナルブランドを仕入れている店では多発する。
A店だとあのブランドは9800円なのに、B店だと同じブランドが7900円に値下がりしているという状況である。

でも世の中には、B店よりも同じ商品が少し高いけど、A店で買うという場合もある。
それはそのA店が商品の値段以上の「何か」を提供できている場合だろう。
それは販売員の接客なのかもしれないし、店舗の雰囲気なのかもしれない。
また店長なりオーナーなりのカリスマ性や人間性かもしれない。
もしかしたらPOPや販促物の出来栄えや面白さかもしれない。

商品のみをアピールした売り方ではどうしても価格勝負になる。
どうせ同じ物は他店にも入っている。

そういう意味では店の価値づくりをさまざまに工夫すべきだろう。
しかし、実際に店頭で販売をしてみると、日々の業務の多さに店の価値づくりなんてそうそう考えている暇もない。
そういえば、17年前に量販店テナントの店頭で販売しているときは、毎日、大きな段ボールが何箱も届いて、その移動や品出し、ストックルームへの格納作業にけっこうな時間と労力を取られていたことを思い出す。

ま、言うは易し行うは難しということなのだろう。

しかし、これはメーカー側も同じで、物のスペックのみを伝えていると価格競争になってしまう。
例えば国産デニムを使って国内縫製、国内加工で作った純国産ジーンズなるものがあったとして、それのみをアピールすると、いずれ価格競争にならざるを得ない。

ユニクロが7900円で発売したこともある。
ライトオンのバックナンバーも9800円くらいで販売したことがある。

今なら無印良品が9800円で販売している。
今後はもしかしたらもっと安い日本製ジーンズが現れるかもしれない。

そういうことになってしまう。
だからスペック以外の価値を付ける必要があり、それに成功したものが「ブランド」なのだろう。

決して名前を付けてラベルを付けるだけがブランドではない。

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