文化的発信がほとんどない
2014年4月16日 未分類 0
就職するまでまったくファッションに興味のなかった筆者は、月刊雑誌「メンズクラブ」で洋服の基本を自己流で勉強した。
90年代前半から10年以上は毎月雑誌を買い続けた記憶がある。
そうこうしているうちに「メンズクラブ」がリニューアルし、なんだか「Leon」っぽくなってからは、購入しなくなった。
ああいう、洋服の基本を教えてくれるような雑誌は今は流行らないということだろうか。
先日「fine」もリニューアルして、「Safari」のそっくりさんになった。
雑誌も商業製品なので売れなくては意味がないが、売れるからといって「Leon」や「Safari」の類似雑誌が増えるのもどうかと思ってしまう。
売れ筋に同質化するのは何も洋服だけのことではないらしい。
筆者の父親はスーツ着用のサラリーマンだったが、着る物には無頓着な人だった。
筆者の母が、イズミヤとかジャスコの平場で買ってきたスーツ、シャツ類を平気で定年退職するまで着用していた。
当然、現役当時にスーツの選び方や着方などをレクチャーしてもらったこともない。
就職していざ、スーツを着る段階になってはたと気が付く。
スーツの選び方がわからないと。
そこで「メンズクラブ」で自己学習をし始めた次第である。
ビジネスでも冠婚葬祭でも着用可能な万能スーツは無地のチャコールグレーだと初めてそこで知った。
紺、とくに濃紺・ダークネイビーも万能スーツだが、どちらかというと夜のイメージがあるという。
一番無難なのが無地チャコールグレーである。
結婚式には白無地ネクタイではなく、シルバータイ。
そんなことを「メンズクラブ」で学んだ。
今日の日経ビジネスオンラインでそのあたりのことを書いてみた。
正統なスーツはチャコールグレー!?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140414/262843/?n_cid=nbpnbo_top_updt
その割には日本のビジネスマンはあまりチャコールグレーを重視していない。
またリクルートスーツでもチャコールグレーを押す声は、スーツ販売店からも挙がってこない。
何とかの一つ覚えみたいに、20年前の売り場はも「リクルートなら紺ですよ~」といい、数年前からは「リクルートは黒ですよ~」と言っている。
まあ、紺は良いとしよう。
大学の就職課が「黒」を勧めるのは仕方がないが、本来プロであるはずのスーツ販売店がなぜ「正式にはチャコールグレーです」と言わないのか不思議でならない。
今回、日経ビジネスオンラインに原稿を送ると担当の編集者が「一部の企業では『最終面接は黒スーツで来てください』という指定があるらしいです」と教えてくれた。
こういう誤りを正すのは本来、スーツ販売店の役割ではないのだろうか。
筆者が大学生のころになると、スーツはロードサイドの青山、はるやま、AOKIあたりで購入するのが普通のことになっていた。20年前にツープライススーツショップはまだ出現しておらず、町のテイラーは勢いをすでに失っていた。
こうなると、本来、スーツの基本的な文化をレクチャーするのは青山、はるやま、AOKIなどのいわゆる大手紳士服チェーン店ということになるはずだが、筆者個人は、その手のキャンペーンをあまり目にしたことがない。
これらの企業のテレビCMでもツーパンツスーツだとか、涼感スーツだとか、ストレッチスーツだとか、売らんがための企画しか見たことがない。
また、雑誌の純広告や記事広告でも売らんがための企画しか拝読したことがない。
大手紳士服チェーン店各社からの文化的発信はほとんど無いように感じる。
そういう中において旧「メンズクラブ」は貴重な存在だった。
「日本の男性のスーツの着こなしは云々」という意見を見ること・聞くことがある。
その責任の一端は大手紳士服チェーン店にもあると思えて仕方がない。