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南充浩 オフィシャルブログ

価格と品ぞろえで競争すればネットに負ける

2013年11月8日 未分類 0

 現在の衣料品販売の大手は、ほとんどが自社企画製品を直接販売している。
元来は仕入れ型専門店であったセレクトショップも大手だと、自社企画製品比率が5割を遥かに越えている。
衣料品販売の大手のほとんどはSPA、もしくは疑似SPAといえる。

一方、仕入れ型専門店は中小、零細規模であることが多い。

インターネット通販の発達によって、消費者が店頭の商品をネット上で検索して、価格を比較する「ショールーミング」という行為が衣料品でも問題となりつつある。
同一商品を大手流通から小型専門店まで販売する家電やパソコン、玩具、書籍、日用品、雑貨などとは異なり、大手がSPA化している衣料品に限ってはショールーミングはそれほど問題にならないと考えていた。

OEMやODMに企画製造を丸投げしている大手SPAや大手セレクトショップは珍しくない。だから同業他社で商品が酷似していることはけっこうある。
こういう状況があるとはいえ、販売先を自社店舗と自社サイトに限定しているわけだし、原則的にデザイン企画は自社のオリジナルだから本来大手はショールーミングにそれほど神経質にならなくてもよいはずである。
「あくまでも原則的には」と嫌味を付け加えておこう。

しかし、小規模な仕入れ型専門店はショールーミングは恐れなくてはならない。
同じ商品がいろいろな専門店でも販売されているし、様々な通販サイトでも販売されている可能性が高い。
ショールーミングの被害をもっとも被りやすい。

そんな中でも固定客を掴んでいる小規模専門店も稀にある。
そういう専門店のオーナーや店長の発信物や、彼らを取材した記事などを目にすることがあるが、共通しているのは「顧客が店に来る理由」「顧客が店に集まらなくてはならない理由」を作っているところだと感じる。

手っ取り早いのは何かイベントを定期的に開催することだろう。
その定期イベントは安売りセールでない方が良い。安売りセールを乱発すると、ユニクロの週末値引きよろしく、その期間でしか顧客は買わなくなる。
毎週金曜日に値下がりするユニクロ商品をわざわざ平日に定価で買いたい人はほとんど存在しない。
外出先で服が汚れた・破損した、雨上がりにいきなり気温が低下して上着が欲しくなったなどの緊急性のある人に限られているのではないか。

ありふれた例えで恐縮だが、月に一度お茶を飲む集まりがあるとか、新製品が入荷するたびに試着しての写真撮影会があるとか、そういう類のイベントである。
いきなり来月からこれを開始して売上高が激増するとは思わないが、定期的に回数を重ねることで徐々に効果が出てくるのではないだろうか。

単に「有名な○○というブランド商品を安く販売していますよ」というだけなら、ネット通販大手には勝てない。
品ぞろえの豊富さでも負けるし、値引き率でも負ける。利便性だってある。なら大概の人はネット通販大手で買う。当たり前のことだ。

販促コンサルタントの藤村正宏さんが、メルマガで簡潔にまとめておられるのでご紹介したい。

リアルの店舗がAmazonに負けないためのポイントは以下の3つです。

1:独自の商品
Amazonでは売っていない商品やサービスを提供するということ。

2:関係性
お客さまや地域社会との関係性を深めて、ひいきしてもらう。

3:リアルの空間
ネットショップでは再現不可能なリアルの空間。
オリジナリティのある魅力的な店舗空間やイベントを実施する。

順番に解説していきます。

●1:独自の商品

Amazonに負けない店舗になるためには、Amazonでは絶対に売っていないものを売る。
これは負けませんよね。
というか、もともと勝負になりません。
たとえば、手作りのモノ、あなたのオリジナルなもの、意味づけを変えたものなど、あなたの店でしか売っていないものを売るということです。

●2:関係性

お客さまとの「関係性」を構築して、浮気されないようにすることです。
「どうせ買うんだったら、あなたのところで買うわ」と言ってもらえる店になることです。
そのために、ニュースレターを出したり、ソーシャルメディアでコミュニケーションすることが大事です。

●3:リアルの空間

店舗があるということは、
空間や人とのふれあいのあるリアル店舗は、インターネットが提供できないことを提供できます。
いるだけで癒される店とか、来店するだけで楽しいとか、そういうことが大切になってくる。
店舗空間はライブです。
こういう店舗なら、インターネットショップに負けません。

商品のオリジナル性はよく言われることだが、小規模専門店には難しい場合が多い。
しかし、関係性の構築やリアルの空間なら小規模専門店でも構築できる。

販売員のキャラクターや信頼性も重要な要素だろう。

そういうところを見直せば、小規模専門店でも生き残りは可能だと思うのだが、いかがだろうか。

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