目先の売上高を追求しすぎると
2013年7月24日 未分類 0
経営効率は追求しなくてはならないが、過度に追求しすぎるのもどうかと思うことがある。
伸び率が鈍化しつつあるとか、小型モールが閉鎖になったりなどの事象はあるが、比較的好調を維持している販路の一つとしてアウトレットモールがある。
百貨店内やファッションビル、ショッピングセンター内の正規店は苦戦しているが、アウトレットモール内のテナントは好調だというブランドはいくつもある。
さて、だからと言って、正規店をすべて廃止してアウトレット店のみにするという手法はどうだろうか?
もちろん「英断だ」という評価を下される方がおられてもそれは一つの見解で、完全否定すべきではないと思う。
ただ、筆者は正規店あってこそのアウトレット店だと考える。
正規店が不振ならある程度の撤退はすべきだが、1,2店舗は残すべきではないだろうか。
なぜこんなことを書き始めたかというと、10年くらい前までそれなりに勢いのあったレディースショップがある。
記憶によると、最盛期は全国に十数店舗あったのではないだろうか。
アウトレットにも進出したところ、これも非常に好調となった。
ところが、数年くらい前から正規店が不振に陥った。
ブランドとしては良くある話で、無限成長することはなく、どこかで停滞期・衰退期となる。
そこを乗り切れば大規模な拡大はできなくても、それなりの存在感を発揮するブランドとなるのだが、このショップの経営者は考えがちがった。
「アウトレットが好調だから、正規店は減らしてアウトレットを増やせば良い」。
そう考えたようだ。
もちろん、これだけなら当然の方針といえる。
どんどんと退店していったのは理解できるが、なんと、2013年7月現在で、このブランドの正規店はなくなってしまっている。
アウトレットとオンラインショップのみとなっている。
これについては、やはり異議を唱えたい。
なぜなら、アウトレットは正規店あってのアウトレットである。
正規店がないなら、それはアウトレットではない。アウトレット専用の物作りを行っている最たる例だろう。
現在、アウトレットはそれなりの売上高を稼いでいるようだが、正規店のないアウトレットがいつまでそれなりの売上高を稼げるのだろうか。そこは疑問に感じる。
アウトレットの本来の魅力とは、「知名度の高い憧れのブランドの商品を安く買える」というところにある。
しかし、現在のこのブランドは、「セシルマクビー」や「ルシェルブルー」ほど知名度は高くない。
(例に出した両ブランドの現在の売上高が好調かどうかというのは別の話)
それなりの知名度があるとはいえ、そこまで知名度の高くないブランドが正規店を無くせばどうなるかというと、年月が過ぎるごとに消費者の知名度が下がる。
下手をすれば、1~2年程度ですっかり忘れ去られるだろう。
例えば「アドルフォ・ドミンゲス」なんていうブランドを覚えている消費者が何人くらい存在するだろうか?
ブランド名を忘れ去られた後も、アウトレット店が現在と同じような水準の売上高が稼げるだろうか。
筆者はそれはかなり難しいと考える。
正規店の知名度あってのアウトレットだから、正規店が無くなり知名度が下がった状態で、アウトレット店が今後も同じように売れ続けるというのはちょっと考えにくい。
今回の一件は目先の売上高にこだわりすぎた失策ではないかと思えてならない。