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南充浩 オフィシャルブログ

丸安毛糸の展示会は、産地企業が見習うべき要素が満載

2012年6月1日 未分類 0

 昨日、丸安毛糸の展示会にお邪魔した。
生地メーカーではなく、ニット用の糸を販売する会社。
今でも売り上げの半分が糸販売だという。

正直、糸自体は生地よりもアピールしにくく、営業販売もしにくいと思っている。
にも拘わらず、丸安毛糸は展示会はわかりやすく、来場者も多い。
今回お邪魔したのは大阪展だが、先日開催した東京展は160社の来場があったという。

通常の原料メーカーの展示会だと、来場するのは直接的な納入業者がほとんどである。
糸の展示会なら生地工場や生地メーカーということになるが、丸安毛糸の場合は独立系デザイナーやアパレルの企画担当者も相当来場している。

その理由として展示方法の上手さがあるだろう。
糸だけでなく、その糸で編んだ生地見本や自社で製作した製品サンプルを展示している。
昨今、アパレルの企画担当者は生地を見てもどんな製品を作ったら良いのかわからないと広く言われている。
これはまったく正しい事実なのだが、そういう人たちは「糸」を見てもなおさら理解できない。
そのために生地見本、製品見本まで展示している。

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それ以上に、「POP」の活用である。
やたらPOPが貼り付けられている。販促セミナーで必ず例に挙がるヴィレッジバンガード並みである。
どのようなPOPかは写真で見ていただきたいのだが、
まず、糸や生地の説明を書いたPOPである。

こう書くと、生地メーカーや生地産地企業のオッチャン連中は「ワシらでもPOP作れるわ」と言って、
生地や糸そのもののスペックを書き連ねたPOPを作成する。

例えば

綿95%・ポリエステル5%
○○番手の糸を使って高密度に織りました

という感じである。

しかし、冷静に考えてもらいたいのだが、「生地を見ても何を作ったら良いのかわからない」ようなアパレル企画担当者にこんな説明書きを何十回読ませても無駄である。
彼らの頭の中には残らない。

丸安毛糸のPOPならこうである。

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(糸のスペックを書いていないPOP)

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(スペックではなく「シワになりにくい」という効果だけを書いたPOP)

「シワになりにくいです」としか書いていない。
これは正確に言うなら「SZ撚りの強撚糸を使用しているためシワになりくいです」となるのだが、「SZ撚りの強撚糸」というスペック自体を省略して「効能」だけを説明している。
アパレル企画担当者にはこれで十分なのである。

つぎに、売れ筋ランキングのPOPである。
大阪展だと3位くらいまでの売れ筋がPOPで説明されていた。
他社が倣うのであるなら別に3位に絞る必要はない。5位でも10位でも構わない。
しかし、売れ筋ランキングを示すことで、来場者は受注する「目安」ができる。
来場者は業者であるとはいえ、一般消費者と根本的なメンタリティは変わらない。
なぜなら業者も仕事を離れてしまえば一般消費者だからである。
消費者の立場で考えるなら「あの商品が売れてるらしい」と耳にすれば、買わないまでも興味は持つ。
機会があれば一度は見てみようと思うだろう。
これと同じである。

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(売れ筋ランキングPOP)

業者といえども「この商品が売れていますよ」という情報を入手すれば、仕入れないまでも興味は持つ。
業者は情報を得ることができ、丸安毛糸は自社の売れ筋商品を業者に見てもらえる機会を増やしている。両方にとってお得である。

逆に展示会主催側とすれば、このランキングの中に「自分の売りたいモノ」を紛れ込ますことによって、販売傾向を操作することもできる。

今回ご紹介した丸安毛糸の展示手法、POP手法は産地製造業がすぐにでも取り入れるべきである。
POPの手法はアパレルブランドや独立系デザイナーブランドでも大いに活用できる。

糸メーカー、生地メーカー、染色工場などはぜひとも見習ってもらいたい。

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