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南充浩 オフィシャルブログ

H&Mの苦戦は、日本人消費者の良識の高さ

2011年6月30日 未分類 1

 先日、反対の立場から見て、海外ファストファッションの良いところを挙げてみた。
しかし、実際にはH&M、フォーエバー21は一時期のブームは別として、日本市場では苦戦している。

これについては、高名な小島健輔さんが、詳細なブログを書いておられるので
そちらをご紹介したい。

「H&M遠からず日本撤退か」
http://www.apalog.com/kojima/archive/747

タイトルはやや過激に煽り気味だが、
グラフ付きで実に科学的に分析しておられる。
H&Mは12店舗まで増えているものの、売上高が21・5%減少している。

またフォーエバー21は5店舗のまま増えていない。

この現象を見て、「日本人は意外に冷静なのだなあ」と変に感心してしまった。
例えばH&Mはオープン時にこそ数千人が並んだものの、それ以降はそれほど大混雑しているとは聞かない。
有名ブランドとのコラボレーション商品を発表して、ファッション雑誌などが盛んに採り上げたが、
それほど売れておらず、発表後も相当数店頭に残っていた。
とくにLANVINとのコラボレーションドレスは、かなり長期間店頭を埋め尽くしていた。

H&M

H&Mとフォーエバー21が日本市場で受け入れられない理由は、
たしかに価格は安いが、あまりにも使用素材の品質が悪く、縫製仕様も粗悪であるためだろう。
上陸後は物珍しさで購入した消費者も2度目、3度目は買わなかったということになる。
そうでなければ店舗数が増えているにも関わらず売上高21・5%減にはならない。
現在、このブランドを支えている消費者は「所得が低い若い層」と「もともとファッション好きで、品質が悪いのを割りきって購入している層」くらいではないだろうか。
ただ、「所得が低い若い層」はしまむらやジーユー、ハニーズとも競合するため、全部は取り込みきれていない。
品質で言えば、明らかにしまむら、ジーユー、ハニーズの方が上だ。

そのH&Mよりも品質が悪いと評価されているフォーエバー21はさらに厳しい状況にあるのではないだろうか。
原宿に行くと、H&Mとフォーエバー21の紙袋を下げた学生を多数目撃するのだが、
あれは地方から来た学生が「土産物感覚」で買っているのではないかと思う。

一方、価格がもう少し上のZARAは店舗数が増えて日本市場にはある程度定着しつつある。
品質については、こちらもかなり低くユニクロや無印良品とは比べ物にならない。GAPよりも下、H&Mと同等か少し上ではないだろうか。
使用素材も粗悪だし、縫製も歪んでいる。
それでもZARAが順調に店舗数を増やしているのは、テイストの差ではないか。
H&Mとフォーエバー21よりももう少し大人っぽいテイストでまとめているため、定職のある20~40代の顧客を掴んでいると推測される。
H&Mとフォーエバー21は明らかにヤング向けのテイストなので、10代の学生か定職のない20代が主要客層であろう。

グローバルブランドのH&Mとフォーエバー21は日本市場に商品を適合させる気もないだろうから、
国内4~5店舗体制が適正規模だろう。

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 comment
  • h7bb6xg3 より: 2011/07/01(金) 12:56 PM

    またおじゃまします。
    日本の消費者の要求の高さは、本当に、強力な非関税障壁ですね。
    ウォルマートも日本上陸には失敗しているようなものだし、日本の流通業は日本ではすごく強い。
    今度、繊維分野に限らず、日本の流通業の特性の総合分析をしていただければうれしいです。もちろん、繊維分野に絞っていただいてもかまいません。

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