いつだって、可笑しいほど誰もが誰かパクりパクられているのさ♪
2017年8月25日 産地 0
最近、ブランド間での商品の同質化が激しいといわれている。
それはどうして起きるのか。
先日、こんなことがあった。
某靴工場の人と会う用事があった。
雑談をしていると、「某セレクトショップが、某老舗靴ブランドの商品を持ってきて『これと同じのを作ってくれ』と依頼してきた」そうだ。
これだけを聞くと、某セレクトショップはなんと悪辣なのだろうと憤りそうになるが、話には続きがあって、
「でもその老舗ブランドも別の靴を作る際には、そのセレクトショップの別の商品を持ってきて『これと同じのを作ってくれ』と依頼してきた」とのことだから、どっちもどっちである。
こうやって業界はお互いパクリ合っているから、必然的に商品も同質化する。
これは靴のことだが、洋服や雑貨もほぼ同じ構図だ。
お互いがお互いの売れ筋商品を持ってきて「これと同じものを作ってくれ」と依頼するのである。
これで同質化しない方がおかしい。
もともと、ファッション業界はそういうパクリ愛パクリ合いで成り立っており、それで各ブランドが規模を拡大してきたことは事実である。
商標(ブランド名)をわざと類似させることもあり、業界の若手の中にはいまだに「コム・デ・ギャルソン」と「コムサ・デ・モード」の区別がついていない人もいる。
15年くらい前にファッション専門学校を卒業した学生が、就活でファイブフォックスの面接を受けて「ぼく、昔からコム・デ・ギャルソンが大好きだったんです」と言ったことがある。
もちろんその学生は不合格に終わった。
それはさておき。
しかし、オッサン世代として20年くらい前を思い起こせば、各ブランドはお互いにパクリ合いをしていたが、丸パクリすることはほとんどなく、商品にはそれぞれのブランドっぽいアレンジが施されていた。
トレンドの情報源もたいがいがパリコレだとかミラノコレだとかニューヨークコレに限定されるので、どうしても同じような商品になる。
今では、ほとんどどのブランドも見分けのつかないトレンド商品が並んでいるが、20年くらい前はブランドごとにそのトレンド商品のアレンジも違っていた。
うちはフェミニンなテイストだから、少しフリルを付け加えましたとか、うちはカジュアルテイストなのでロゴプリントを施してみました、とかそういう具合にパクリ商品もトレンド商品もブランドごとにアレンジされていたので、「きわめて同質化している」ようには見えなかった。
ところが、各ブランドがデザイナーや企画担当者を「コスト」とみなしてリストラを進めた結果、そういう「アレンジ」を施せる人が社内にいなくなった。
代わりに登用された若手の仕事は、他社の売れ筋の丸パクるだけだし、外注デザイナーに頼めば、その外注デザイナーは何社もの企画を受けているから、必然的にそのブランド間での商品デザインは似てしまう。
丸パクリ感がにわかに強まったのは、インターネットとデジタルカメラが普及し始めた2000年ごろからだと記憶している。
すでに2002年ごろ、児島の某洗い加工場へ取材に伺ったところ、そこの社長が「東京のナントカってブランドの企画のおねえちゃんが、『こんなふうに加工してください』ってデジカメの写真をメール添付して送ってきよった」と言って、その画像を見せてくれたことがある。
メールに添付されていたのは、当時人気だったジーンズカジュアルブランドの商品写真だった。
このころからすでにこういう「お手軽商品企画」は横行していたのである。
今現在の風潮はその延長線上にあるだけのことだ。
そして、今、低価格ブランドが、手段は別として商品の企画力・デザイン力を高めている。丸パクリ合いばかりしている既存アパレル各社がそれに対抗できるとは到底思えない。
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