変えない部分と変える部分
2017年5月2日 考察 0
今日はゴールデンウィークの中日ということでちょっとお気楽に。
和服は着たことがなく、まあ、実際に着るときが来るのは棺桶の中に入ったときではないかと思うくらいである。
そんな筆者なのだが、大塚呉服店・WAKON・みさ和などの和服店を経営されている大塚直人さんのブログは読んでいる。
時々、特撮ヒーロー物について言及されるが、筆者もこの17年間欠かさず見ている。
日曜日の朝はだいたい7時半前に起きる。
7時半から戦隊シリーズを見てから、8時から仮面ライダーシリーズを見る。
これが17年間の日曜日の朝の習慣である。
で、その大塚さんが以前にこんなブログをアップした。
仮面ライダーや戦隊モノがなぜ40年以上も続いたのか?
http://tsukachan330.hatenablog.com/entry/2017/01/21/234810
なかなか良い問題提起だったと思うのだが、途中でブログが消えて、絶賛投げっぱなし中だ。(笑)
結論が気になるー(笑)。
不肖、自分が後を引き取って結論を出してみたいと思う。
あ、そうそう、大塚さんのブログで現在放映中の「宇宙戦隊キュウレンジャー」について言及したエントリーもあるのでこちらもどうぞ。
想定問答を用意する事とブレない芯を持つ事の重要性
http://tsukachan330.hatenablog.com/entry/2017/04/30/233504
これで触れられているのが、4月30日放送のキュウレンジャーで、強敵だったイカーゲンがピンチに追い込まれたときに発する言葉だ。
「一人を相手に11人で戦って、卑怯とは思わないのか?」
である。
これは戦隊物の根幹を揺さぶるセリフである。
初代ゴレンジャー以来、戦隊物は1対複数の戦いであり、絵面はなかなか卑怯感満載である。
敵がラスボスクラスの超強敵ならこれは燃える展開なのだが、そうではない場合、なにやらかわいそうな雰囲気も漂う。
で、戦隊物はついにタブーをおかして踏み込んできたなあと感心するばかりだ。
戦隊物と仮面ライダーが長年続いているのは、自己規定を時代によってあっさりと自己破壊するところにあるのではないかと思う。
仮面ライダーは一時期中断があったが、それでも平成ライダーはもう18作目の「仮面ライダーエグゼイド」が放送中で、平成シリーズは18年間も続いていることになり、実は昭和時代のライダーの製作本数(7本、テレビスペシャル版のゼクロスを含めても8本)を大きく上回っている。
もちろん、これらのヒーロー番組はスポンサーのおもちゃが売れてナンボだから、長期間続けられるというのは毎年、それなりにおもちゃが売れているからということになる。
おもちゃを売るために毎年ガラリとデザインから内容から一新される。
一新の傾向は仮面ライダーに顕著で、昭和時代の仮面ライダーからかけ離れたデザインのライダーが毎年始まる。現在放送中のエグゼイドなんて番組名に「仮面ライダー」とついていなければ誰も仮面ライダーとはわからないデザインになっている。
戦隊物は仮面ライダーに比べるとデザイン面はおとなしいが、1990年前後の低迷期を脱するためにこちらもデザイン以外のフォーマットはかなり毎作変えるようになった。
例えば、
1、追加戦士が必ず出てくる。6人目は当たり前で最大10人にまで増えた(キョウリュウジャー)
2、初期メンバーがすでに5人ですらない。(キュウレンジャーは最初から9人で11人にまで増えた、近々12人目が登場予定)
3、リーダーが赤、レッドではない作品もある。(メガレンジャー、タイムレンジャー、マジレンジャー、ゴセイジャー)
4、レッドが二人制になった作品もある。(タイムレンジャー、シンケンジャー)
などなどである。
当初のゴレンジャーのフォーマットにこだわって墨守していれば、おそらくはこれほど長い間は続かず、おもちゃも売れなかっただろう。
そうそう、バトルフィーバーJからは巨大ロボットが登場するようになったし、その巨大ロボットも合体するようになった。
仮面ライダー、戦隊物ともに初期フォーマットを惜しげもなく捨てて、毎回モデルチェンジをしたから長続きしていると考えられる。
しかし、すべてを変え続けるとそれはただの根無し草で、仮面ライダーも戦隊物も頑固に変えない部分もある。
これがいわゆる「コアコンピタンス」という部分だろう。
戦隊物で変わらないのは、
1、主人公がレッドであること
2、ピンクが女性であること(ピンクがいる作品では)
仮面ライダーで変わらないのは、
仮面ライダーは敵と同じ力を使って生み出されたこと
である。
とくに仮面ライダーはその外見の変化に惑わされがちだが、平成ライダー18作すべて、敵と同じ力を使って生み出されている。
日本民話(鬼を倒せるのは鬼の血を引く者)や東欧の吸血鬼伝説(吸血鬼を殺せるのは吸血鬼の血を引く者)なんかにも通じる部分があるのだが、それはめんどくさいので書かない。
たぶん、大塚さんは、時流によって大きく変わるからこそ、戦隊とライダーが長年支持されており、その部分が今の和装業界に欠けているということが投げっぱなしブログで言いたかったのではないかと思う。
ついでにいうなら、変わらない部分も必要で、その二つが嚙み合わないと長年に渡る支持は受けられない。
そして、これは和装業界のみならず、国内の「伝統的」アパレル企業や百貨店にもいえることで、変わらない「コアコンピタンス」を1つか2つ設定したなら、そのほかは時流に合わせて自在に変化させるべきだろう。
変化できていないから支持を失って売上高が凋落しているといえる。
伝統とは、すべての面で昔ながらのままにとどまることでは決してない。
こっそりひっそりインスタグラムやってます。
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro/