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南充浩 オフィシャルブログ

商業施設・ブランド店単体ではエリアは変えられない

2017年3月21日 考察 0

 大阪・京橋の京阪モールが14年ぶりに改装オープンしたらしい。
らしいというのは、報道で読んだだけなので、伝聞系にしている。

京橋という地名は東京にもあるが、大阪の京橋は、JR大阪環状線と京阪電鉄のターミナル駅の一つで、大阪においては乗降客数はそれなりに多い。

しかし、買い物をするエリアかといわれると、極めて疑問である。
京阪モールは長らく京橋に存続し続けてきた商業施設であり、関西圏ならそれなりに知名度はあるが、愛用しているという人はあまり出くわしたことがない。

個人的には京橋には年に何度か出向くことがあるが、京阪モールに立ち寄ったことはもう10年近くない。

京橋は乗り換えて通過するか、駅周辺の猥雑な安い居酒屋に行くか、のどちらかしか利用しない。
おそらくは多くの人が同じ利用の仕方なのではないかと思う。

大阪・京橋をおしゃれな街に 「京阪モール」14年ぶりの改装の狙いは?
http://www.fashionsnap.com/news/2017-03-19/keihan-mall-renewal/

今回の改装についてはこの記事が詳しい。

昨今の衣料品不振を反映したような店舗ラインナップといえる。
衣料品販売店を減らして、飲食店を増やしている。

たしかに、衣料品販売店は国内に溢れかえっており、そんなにたくさんの服を買う人がどこにいるのかと思ってしまう。
飲食店も溢れかえっているが、利用頻度は洋服店に比べれば格段に高い。

たいしてコーヒーや紅茶が飲みたいわけではないが、ばったり知人に出くわして時間があるなら、「久しぶりにお茶でもどう?」という行動は多くの人がとる。

「おお、久しぶり。そこの店で洋服でも見ながら近況を語り合わない?」なんて人は絶対にいない。

だから単純に利用頻度だけを比べると衣料品店よりも飲食店の方が圧倒的に高くなる。

商業施設はずっと同じだと飽きられるから、14年も経過すれば改装して入居テナントを入れ替えるのは正しいやり方でもある。

洋服不振もあって、今後の商業施設は飲食やサロンが主流になって洋服販売店は減る一方になるだろう。

ところで、この記事が提唱している「京橋をおしゃれな街に」することは可能かどうかを考えてみたいが、個人的には無理だと思う。

大阪地区では、南船場や堀江がファッション地域に変貌したことが挙げられるが、90年代後半の南船場・堀江と、現在の京橋では周辺環境がまったく違う。

90年代後半の南船場は単なるオフィス街で、今も昔もそれほど建物が密集しているわけではなかった。
堀江は家具屋、仏具屋などが集積していた場所で、90年代後半には衰退して、開店休業状態の店が多く、店主は売るか貸すかのどちらかを願っていた。

両地域ともに街の構成員を入れ替えることはそれほど難しくなかったし、あらたな施設を建設する土地も確保することは比較的容易だった。

今の京橋はどうか。

駅周辺はびっしりと建物や商店街で取り囲まれており、新たな施設を建てる余地はほとんどない。
また駅周辺の安い居酒屋にはそれなりに利用客があり、かつての堀江の家具店・仏具店のような閑散とした状況ではないから、すぐさま店を売ったり貸したりしたい地主が多いとも思えない。

京阪モールが改装したり、ダイエーが改装したり、と個々の店舗が改装リニューアルするのが最大限の努力だといえる。

また、当時の南船場・堀江は、地元の組合や不動産業者が一体となって積極的にファッション店を誘致することで、新たな街作りを模索したが、現在の京橋にそういう気運があるのかどうか。
外野から見聞きしている範囲では、当時の南船場や堀江ほどの街作りへの気運は高まっていないと感じる。

エリアが変貌するには、商業施設やブランドショップ単体では如何ともしがたいのが実態で、地元の組合や不動産業者が一体となって街作りをデザインしなくてはならない。

それらの一体感が見られない京橋が今後、おしゃれなエリアに変貌することはちょっと考えにくく、10年後も20年後も京橋は今のままの京橋であり続けるのではないかと思う。


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