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南充浩 オフィシャルブログ

ワールドの持株会社の新社名を見て感じること

2017年2月17日 企業研究 0

 かねてより4月1日から持ち株会社に移行すると発表されていたワールドだが、その各社の新社名が発表された。

数が多すぎて覚えきれないので以下を参照してもらいたい。

http://www.senken.co.jp/news/corporation/world-170214/

さて、一覧表でみてもらってもわかるように「ワールド」の冠が付く会社と、そうでない会社がある。

ここからは個人的な意見になるが、「ワールド」の冠が付かない会社は基本的に今後売却される方向になるのではないかと見ている。

そもそも「持ち株会社」にするメリットとは一般的に

企業買収や事業売却などがスムーズに行いやすい事です。

他の会社を買収する際、吸収合併するには時間も手間もかかります。買収される側の企業には、クライアントや顧客への社名変更の告知、あるいは看板やら社員の名刺やら、色んなものを変更する必要があり、膨大なコストが掛かります。社名変更に伴い、手違いなど大小様々なトラブルも起こるでしょう。

ところが、持株会社を設けていて、その傘下に入る形式にすれば、買収される企業はそのままの社名で事業を継続でき、コストやトラブルはほとんど発生しません。同様に、事業の一部を売却する場合も、持株会社にしていれば様々な手間やコストを省略できます。

http://www.777money.com/tameru/column/motikabu_riyuu.html

と説明されている。

だから、ワールドが持ち株会社制にするのは、企業買収もさることながら、不振ブランドの売却が目的ではないかと個人的には見ている。

そして「ワールド」の冠が付かない新会社はその対象ではないかと思う。

先程の繊研プラスの一覧表を見ると、ワールドの冠が付く会社はいわゆる管理、開発会社がほとんどで、それ以外のメンズ、レディース、セレクトなどの業態はすべてワールドの冠が付かないので、今後ワールドは管理・開発関係の会社のみ残して、メンズやレディースなどは条件次第で売却することがあり得るのではないかと思う。

一つだけ奇異に感じるのは、卸売り事業だけが「ワールド」の冠を付けた社名を与えられており、ここは手放すつもりはないようだ。

アパレル業界は90年代後半から狂ったようにSPA化を推進してきたが、近年、そのSPA事業が行き詰まる企業が増えた。
ワールドしかりイトキンしかり三陽商会しかりである。

逆にここ2~3年は卸売り事業が見直される会社も出てきた。
ワールドもその一つである。
売上高は大きく伸びないものの、ある程度の利益率は確保できるからだ。

ワールドは寺井秀蔵社長のもと、97年から猛烈な勢いで卸売り事業を毎年縮小し続けてきた。
2003年ごろまで筆者は決算会見に出席していたが、「今年は卸売り事業を〇〇%縮小しました」とむしろ誇らしげに発表されていたことを覚えている。

しかし、猛烈なSPA化は近年の業界を見ていれば諸刃の剣だったことがわかる。

SPAはたしかに成功すれば高収益が見込めるが、売り上げ不振に陥れば立て直すことが難しい。
なぜなら、企画から販売までを一貫で手掛けているため、店頭の売れ行きを修正しにくいからだ。
売れないということはその店自体、ブランド自体が支持されにくくなっているため、店舗内装も含めてよほど大幅な軌道修正でもしない限りは、消費者に振り向いてもらうことができない。

極端な話、ブランド名は同じでも丸っきりすべてを変えてしまうくらいのことが要求される。

一方、卸売りは、売り上げ規模を大きくするのは難しいが、売り先を変えることができる。
なぜなら、売り先は自社店舗ではなく他社店舗だからだ。

A店から売り先をC店に変える。

そんなことが可能になる。

結果的に、C店に変えたおかげでブランド自体の消費者イメージが変わることもある。

だから卸売り業態が見直されつつあり、ワールドもその例外ではないといわれており、卸売り事業だけがワールドの冠を残すようになったと業界ではみられている。

ワールドに限らず、業界には売りに出されているブランドが数多くあるが、不振SPAブランドは総じて評価が低く買い手がつかない状況にある。

さて、今後は、ワールドも含めて様々なかつての著名ブランドが売却や廃止の憂き目を見ると考えられており、ブランド勢力図は大きく変化することになるだろう。

5年後、10年後はどのようになっているのか、なかなか想像もできない。



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