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南充浩 オフィシャルブログ

アパレル業界の「よいときを知っている人間」はあまり期待できない

2017年2月3日 企業研究 0

 先日、こんな記事が掲載された。

ライザップは「第2のユニクロ」を狙っている
アパレルで6社目のジーンズメイトを買収
http://toyokeizai.net/articles/-/155794

ライザップグループによるジーンズメイト買収に対する未来予想記事なのだが、正直この見出しは外れていると思う。

第2のユニクロなんて狙っていないし、狙う資格もないし、狙ったところでそうはなれないからだ。

一般メディアの悪癖の中に「なんでもユニクロと比べる」というものがある。
東洋経済は本来決算に強いはずなのだが、売上高100億円未満にまで縮小したジーンズメイトがどうやって売上高8000億円のユニクロに追随できるというのだろうか。

ジーンズメイトの今の規模ならライトオン、マックハウスに追随することすら難しい。

ライザップの買収したアパレルはいずれも「卸業」ではなく「小売業」である。
ということは、日銭稼ぎと株価対策がメインの目的ではないかと想像できる。

もちろん、何らかのシナジー効果は期待しているとは思うが、低価格ヤングレディースの夢展望、百貨店ミセスの馬里邑、ジーンズカジュアルのジーンズメイトと、買収したアパレル小売り業のテイストもターゲットもバラバラである。
テイストもターゲットも価格帯もバラバラの企業をいくら買収したところでシナジー効果は望みにくい。よほど上手く設計しないと、相乗効果は発揮できない。

で、この東洋経済オンラインの記事は、有益な部分が一つあって、ライザップグループにアパレル業界のベテランが多数参加していることを記録してくれている。抜粋してみる。

まず、2016年11月に入社した岡田章二氏(51)。「ユニクロ」のファーストリテイリングに20年以上在籍、システム部長や執行役員CIO(最高情報責任者)などを歴任し、ファーストリテイリンググループ全体の業務改革と業務システムの構築、IT戦略を担った人物だ。ライザップでは、CSO(最高戦略責任者)兼CIOとして、各社のサービスをIT面で支える。

岡田氏の紹介で2月1日に入社するのが、宇山敦氏(53)だ。レナウンを経て入社したファーストリテイリングには2000年から2012年まで在籍。2002年のソルトレイクシティ冬季五輪と2004年のアテネ夏季五輪では日本選手団の公式ユニホーム開発責任者を務め、デザイナーのジル・サンダー氏とのコラボブランド「+J」を立ち上げた。

商品開発にとどまらず、ユニクロの欧米進出や商品開発機能の上海移管などにも携わっている。この宇山氏がライザップのSPA計画のキーパーソンと見られる。

買収子会社の社長を務める岩本眞二氏(54)、大西雅美氏(58)、濱中眞紀夫氏(54)も、アパレル業界に知見の深い人物だ。岩本氏は女性ファッション通販のスタイライフ(楽天グループに入り2013年に上場廃止)の創業者で、同社を上場に導いた経験を持つ。

とのことである。

瀬戸社長は「イケてる会社で業績のよいときを知っている人間」を外部から登用していると話す。

とあるが、果たしてどうだろうか。
筆者は個人的にその効果を懐疑的に見ている。

もちろん彼らのこれまでの実績は大いにある。
彼らがそうだとはいわないが、40代後半~60歳手前の「よいときを知っている人間」の多くは業界にリリースされると使い物にならないケースも多い。

まさしく、「昔の~♪ 名前で~出ています~♪」という人はアパレル業界には掃いて捨てるほどいる。
某大手アパレル出身のその年代の人間なんて虚名しか鳴り響いていない人が多い。

その年代の人間が業界にリリースされた途端に失敗するのは、彼らの実績は、所属していた企業のシステムと人材がそろってはじめて達成できたものであるからだ。
企業のシステム、彼らを支える人材抜きで、彼らが一人になったときに出来ることはほとんどない。

その結果、ブランドをつぶしたり会社を倒産させたり、赤字転落させたりしている。

それでも連戦連敗の記録を持ちながらも虚名だけで次々と寄生先を探せる手腕とバイタリティだけは大したものではあるのだが(笑)。

言い換えれば、アパレル業界はそういう「チョロい業界」だということもできる。

個人的に最近感じているのは、実績は重要だが、未曾有の不振に見舞われているアパレル・ファッション業界は「よいときを知っている人間」では改革・改善できないのではないかということである。

どうしても「よかった時」と比べてしまうし、過去の成功体験から離れられないからドラスティックな改革・改善ができない。

極論すれば、繊維の製造加工業が集積した「産地」は疲弊しきっているが、「産地」には「よいときを知っている」人間は山ほどいる。
そういう人間が山ほどいても、疲弊を食い止めることができていないではないか。

縮小し続ける百貨店業界も同じだ。百貨店の幹部は軒並み「よいときを知っている」年配層で占められている。
その結果が今の6兆円を割り込んだ売上高である。

アパレル・ファッション業界も同じことになるのではないかと思う。

ライザップグループがどうなろうと知ったことではないが、アパレル・ファッション業界を改革・改善できて、成長産業の仲間入りをさせることができるのは、異業種から来た人間だけではないかと思う。
もしくは、「よいときを知らない」ままで、業界内で実績を残してきた人か。

綺羅星のごとく「昔の名前で出ています」を集めて、それでいて短期間のうちに消え去ったアパレル企業やアパレルブランドは枚挙にいとまがない。

ちなみに、「綺羅星のごとく」は、正しくは「綺羅・星のごとく」と発音するのが正しい。
綺羅星だと「キラボシ☆彡」とあいさつをし合う「綺羅星十字団」みたいになってしまう。
本来の意味は「綺羅が星のごとく集まっている様」なのだから、「綺羅・星のごとく」が正しいのである。

まあ、そんなわけで有能な異業種出身者、よいときを知らないままで業界内で実績を残してきた人物、が多数出現して業界を盛り上げてくれることを願っている。
「昔の名前で出ています」はもうお腹いっぱいなのである。

それではみなさま キラボシ☆彡





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