値引き販売はなぜ強いのか
2015年7月13日 未分類 0
食品スーパーを見ていると同じ商品でも毎日値段が異なる。
ある程度は一定しているが、それでも10円内外は異なる。
とくに野菜類は値段が上下する。
豆腐はある程度一定である。
野菜でいうなら、たとえばニラはだいたい88円から128円の間をうろうろしている。
豆腐は78円か88円で一定している。
となると、ニラは88円で買うのが一番お得だということになる。
そして値上げされる日、値下げされる日には何となく法則性がある。
例えば毎週火曜日は安くなる日というように。
買い物する側とすれば、ニラが128円の時には絶対に買わない。
88円か98円の時に買う。
毎日、ニラを食べる必要もないから128円の時はほかの安くなった野菜を買って、
88円になった時にそれを買えば良い。
年末は異様に野菜の値段が高騰する。
ニラなんて158円くらいになっており、「おいおい、12月27日までは98円で売っていたじゃないか」と思わず突っ込んでしまいそうになる。
そういうときには絶対に買わない。
洋服でも同じではないか。
同じ物が安ければ人はそちらを絶対に買う。
同じリーバイスの501が他方で4900円くらいまで値引きされていれば、
ほとんどの人はそちらで買う。
「日本経済をデフレから脱却させるために俺は定価で買うぜ」
なんて人はほとんど存在しない。
だから値引き販売は効果がある。
洋服ブランドの場合は、卸売りでなければ、確実に同じ物は存在しにくい。
各ブランドでそれぞれに差異がある。
大枠は似ていたとしても細部は変えてある。
細部のディテールまでまったく同じ物を作ったとしたら先日のGIOのようなことが起きる。
それでも細部のディテールが異なるくらいなら、「似たような物は安い方で良い」と考える人は大勢いる。
ファストファッションが受け入れられているのはそういう背景があるからで、これにいくら「けしからん」と言ったところでどうしようもない。
「けしからん」と言ってる人間だって、食品スーパーで似たような物が安ければそちらを買うだろう。
完熟王というバナナが228円だったとして、となりにチキータバナナが138円で売られていたとしたら、「どうしても俺は完熟王でないとイヤだ!」といって228円のバナナを買う人は少数派だろう。
138円で良いという人の方が多数派ではないか。
さてそうなると、どうやって高価な物を売るのかということになる。
どこに工夫を凝らすべきだろうか。
洋服業界でいえば、今、大手アパレルは大苦戦である。
ワールドとTSIの大リストラは耳に新しいところだが、オンワード樫山だってイトキンだってきな臭いうわさがある。
ファイブフォックスも売上高1000億円を下回るようになって久しい。
90年代に大躍進した大手総合アパレルは総崩れである。
彼らのブランドの売りは、トレンド性の高さにあった。
トレンドと一口に言っても様々なジャンルに様々なトレンドがあるのだが、まあ、各ジャンルでそれなりにトレンド性が高かったということになる。
しかし、低価格ブランドもトレンド化したことによって、トレンド性の高さは同じ水準になってしまった。
だとしたら、「似たような物は安い方で買う」という人が増えても何の不思議ではない。
じゃあ、ある程度の価格で売り出すためには何が必要なのかということになる。
単にトレンド性の高さだけでは通用しなくなったというのは、身に染みているだろう。
そこを考えないと、いつまでたっても低価格ブランドへの恨み言しか出てこなくなるし、そんな恨み言を聞かされたところで、消費者にはなんの関係ない。
トレンド性、ファッション性の高さ以外に自社が打ち出せるものは何かということを真剣に考えないといつまで経ってもアパレル各社は浮上できない。