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南充浩 オフィシャルブログ

低価格ブランドは絶対になくならない。それを前提に付加価値を考えるべき

2015年4月14日 未分類 0

 衣料品と価格の話題となると、どうも情緒論となってしまい、あまり意味がないように感じる。
とりあえず低価格衣料品はダメだ、ユニクロはダメだを連発する業界人も多数存在するが、ユニクロが台頭する以前からダイエー、ジャスコ、イズミヤ、イトーヨーカドーなどの総合スーパー・量販店は低価格衣料品で大きな売上高を稼いでいた。
量販店向けアパレルに勤務していた年上の友人によると、「その当時、むしろ衣料品こそが量販店・総合スーパーの利益の稼ぎ頭だった」という。

また、リオチェーン、キャビン、鈴屋、鈴丹などの低価格カジュアル衣料品チェーンも存在し、それなりに隆盛を誇っていた。

もし、仮にユニクロが倒産したとしても、その代わりがすぐさま現れるだけだろう。
加えて外資系のグローバル低価格SPAがさらにシェアを伸ばすだろう。
低価格衣料品なんてすでに30年以上前から存在しており、しかも一定数の売上高を誇っていたのである。

じゃあ、その当時の人がみんなすべからくおしゃれだったのかというと、そうではない。
たしかに突出したオシャレがいたかもしれないが、反対にオシャレじゃない人との落差は激しかった。
反対に今は突出したオシャレが減ったかもしれないが、全体的に小マシな恰好をする人が増えた分だけ、底上げができたといえるかもしれない。

一般ブランドの企画力が落ちたともいえるし、低価格ブランドの企画力が向上したともいえる。
素材の良し悪しでいうなら、5年ほど前からの原材料費高騰によって、ラグジュアリーブランド未満の各ブランドの使用素材クオリティは一様に低下している。
「安かろう≠悪かろう」であり、すべからく悪いのである。
筆者のような低所得者からすると、素材クオリティが低下しても価格が安い分だけ、まだ低価格ブランドの方がお買い得感があり、中価格帯~ラグジュアリー未満の高価格帯ブランドの方が「ぼったくってるんじゃないか」とも感じてしまう。

このあたりのことを上手く説明しているブログがあるのでご紹介したい。

デフレの恐ろしさ
http://ameblo.jp/biyoudefure/entry-11982023931.html

このブログは先月末で事業譲渡したヘアサロンの元オーナーが冷静に経済に沿って美容業界を分析しておられる。
14歳も年下だが、その冷静な分析には毎回驚嘆するばかりだ。
自分などは本当に馬齢を重ねただけである。

今回のエントリーで、美容業界のデフレについて触れられており、この状況は先に挙げた低価格衣料品とも通じるのではないかと感じる。

しかし昨今では、低価格サロンがさらに増え、市場の原理により低価格サロン同士の競争が起こり、低価格ながら技術・サービスのクオリティがたしかに向上してきてしまった。

しかしそれでもまだ低付加価値であるはずの技術・サービスが、それなりに満足してしまうようになり、

さらにカット+カラー3500円という低価格が、普通の相場価格として感じてしまうようなことが起こっている。

とある。

衣料品も同様で低価格でありながら、そこそこのデザイン性があり、そこそこに素材クオリティも高い衣料品が増えた。
以前の総合スーパーが仕入れていた低価格衣料品と、現在の低価格衣料品は見た目(デザイン、シルエット)が圧倒的に異なる。
企画期間が長いユニクロがトレンドに遅れることはあるが、それ以外の低価格衣料品ブランドは企画期間が短いので瞬時にトレンドに対応する。
酷い場合になると、中価格ブランドが低価格ブランドの商品デザインをパクっていたりする。
こうなると、ファッション性までが低価格ブランドの方が優れていると言わざるを得ない。

生産者側(美容師)も消費者側(お客様)も自然に低付加価値がノーマルの水準になり、知らず知らずのうちに少しずつ、本当に少しず~~つ、クオリティが下がっていることに気がついていない。

これがデフレの恐ろしさである。

安くて良いものにしか消費せず、安いものを追求すればするほど低付加価値になってしまう。

とある。

付加価値とは何ぞやということを改めて考え直さねばならない部分はあるが、概ねこの通りである。

コストパフォーマンスの良さ、技術力の高さ、商品スペックの高さ、トレンドの速さ以外の何かをプラスアルファせねば低価格以上では売れない。
これは美容も洋服もその他業界でも同じである。

その「プラスアルファ」が付加価値ということになるが、これの中身を考えなくてはならない。
答えは一つではない。各ブランドによっても各会社によっても異なる。
高い商品でも買いたくなる、買ってもらうにはどうしたらよいのか?ということを考える必要がある。

結局、美容業界も洋服業界と同じである。

美容業界の市場規模が縮小している。
美容院の価格が下がっている。
美容師全体の所得が減っている。

という状況だそうだ。
業界で高い給料を支払っているのは実は低価格美容室なのだそうだ。

このあたりは、ユニクロの社員の給料が業界内では高水準なのとどこか似ていると感じる。

「付加価値とは何ぞや」ということを考えねばならないのは、どの業界も同じ状況にあるといえる。

低価格品は今後も絶対になくならないし、撲滅することは不可能である。
ハンドメイドの家内制手工業で売り上げを作るというブランドが出てくるかもしれないが、全ブランドがそうなることは絶対にない。
全ブランドがそれを志向すればアパレル産業は逆に崩壊するし、現在の産地企業も軒並み倒産に追い込まれる。なぜなら、産地企業は工業製品を製造する工場であり、家内制手工業ではないからだ。

低価格ブランドはなくならないという前提で、では「自社のブランドを高く売るにはどうするのか」を考えるべきである。

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