3年くらい前から、小規模・零細企業や組合からウェブの相談を受けることが増えた。
それらの相談を聞くと、だいたいはなんだか成功しなさそうに感じる。
どの部分がそう感じさせるのかが自分でもモヤモヤとしていたのだが、やっとわかった。

先日、ある組合がウェブ業界ではそこそこ名の知れたところのサービスに、組合加盟企業を参加させる方向で取りまとめているという話を耳にした。
この手の話自体は今に始まったことではなく、数年前からあちこちで行われていたから驚くには値しない。
しかし、結果で言うとその多くは成功していない。

アパレルや繊維企業はITに著しく乗り遅れているから、そういうことに参加すること自体は意義がある。
やらないよりはやった方が良い。これは間違いない。
しかし、参加しただけでは知名度はそんなに上がらないし、ましてや売上高が目に見えて伸びることはない。

何事も経験が重要だと思う。
経験してみて伸びる企業や伸びる人間はいるから、どんどん参加すべきだが、参加しただけで何も変わらない企業や人間も掃いて捨てるほどいる。
成果が出ないのはそういう企業や人間である。要するに「参加しただけ」という姿勢では絶対に成果が出ない。

これがインターネット黎明期やウェブサイト草創期なら「参加しただけ」でもそれなりの効果が期待できた。
先行者メリットというやつだ。
先行者は失敗することもあるが、競争相手がいないから、あまり手の込んだことをせずに「やっただけ」でもそれなりに効果が出ることがある。
インターネット黎明期やウェブサイトの草創期ならこの先行者メリットが期待できた。

しかし、もはや、現在は過当競争の時代である。
よくあるように「参加しただけ」では何の効果もない。
無名ブランドや無名企業なら埋没しておしまいである。
よほどのカネを注ぎ込むかやり方を工夫しなければ、無名ブランドや無名企業が浮上することは極めて難しい。

これが、ここ3年くらいで「ウェブに参加しただけ」の中小・零細企業が成果を出せない理由である。

実例を見てみよう。
現在、衰退の兆しがある楽天市場だが、出店社数は年々減っているとはいえ、いまだに4万店もある。
ここにいきなり、無名ブランドや無名企業が参加したところで注目されるはずもない。
4万店に埋もれてしまう。
事実、知り合いの無名企業だって楽天に出店しているが、売上高はサッパリだそうだ。
わざわざ、新参の無名企業を検索して買いに来てくれる人なんて存在しないから当たり前だ。

自分が消費者の立場になって考えてみればすぐにわかることだ。
「存在自体を知らない無名ブランド」をわざわざ検索することがあるか?絶対にないだろう。
なぜなら、「存在自体を知らない」からだ。検索しようがない。

だから売れなくて当たり前である。

しかし、ウェブリテラシーが低いのがアパレル・繊維業界だから、多くの中小・零細企業は「掲載すれば確実に売れる」と勘違いしている。

北新地でも中洲でもススキノでも構わないが、飲み屋がひしめき合っている繁華街にいきなり、脱サラしたばかりのオッサンが無名の店がオープンさせてすぐに満員御礼になるだろうか。絶対にないだろう。
固定客ができるまで何か月かは必要になる。

それと同じことなのだが、ウェブのことになると安直に考えてしまうのがこの業界のウェブリテラシーの低さを物語っている。

楽天でもAmazonでもZOZOTOWNでも同じことだ。
ZOZOTOWNがいくら好調だといっても、出店企業全社が好調なのではない。
タカキューが出店しているがだれかタカキューに注目して観察を続けている人がいるのか?

中小零細企業や組合がウェブで成果を出せない理由は、大手に掲載されただけで思考を停止させてしまうからだ。
掲載されただけでそのまま放置プレーになるから、固定客もできないし新規ファンも開拓できない。

で、この「大手に掲載されただけで思考停止」というのは、ファッション雑誌全盛期の行動そのままではないのかと最近思うようになった。

2005年頃までのファッション雑誌全盛期には、「掲載されただけ」ですさまじい反響があった。
ブランド側もその反響があるから高い金を払ってタイアップし続けてきた。

しかし、ファッション雑誌の神通力は狭い層のファン以外には通じなくなったし、そういうやり方はウェブでは通用しない。

これだけウェブサイトがひしめき合っていれば、ポッと出の無名ブランドのサイトをわざわざ検索で探してくれる人なんてほとんどいない。
だから「掲載されただけ」「サイトを作っただけ」で放置プレーしていては絶対に効果は上がらない。

ポッと出の無名ブランドがファンを開拓するためには、買い物目的でなくても定期的にチェックしに行きたくなるようなコンテンツを定期的に更新することが不可欠になる。
それはブログでも記事でも画像でも動画でも構わない。
個々のブランドスタイルにどれが合うかを模索する必要があるが、そういうコンテンツ自体を作らないことには、スタートラインにも立てない。

これまで見てきた多くの中小零細企業や組合のウェブサイト政策がことごとく失敗しているのは、そういう独自のコンテンツ作りをまったく考えていなかったからであると改めて気づいた。

長くなるが、入場者数が多い展示会に東京ギフトショーがある。
入場者数が多いから出展者は必ず売れるかというとそうでもない。
売れる出展者もいればまったく売れない出展者もある。

入場者数が多いとは言っても、その全員が自社のブースに立ち寄るわけではない。
だったら、自社で集客をしなくては無名企業のブースに足を止める人は少ない。

自社で集客の努力をした企業は受注が取れやすいし、入場者数におんぶに抱っこで無為無策だった企業はほとんど受注がない。
これは毎回同じ結果が出ている。

ウェブも同じだ。
いくらAmazonや楽天やZOZOTOWNへの訪問者数が多いとはいえ、全員が自社のサイトを見てくれるわけではない。
無名ブランドが無為無策ならだれも立ち寄らない。これはリアルでもウェブでも同じだ。

そしてそういう集客の努力、コンテンツ作りの努力がほとんどないから中小零細企業や組合のウェブは成功しない。
極めて当たり前のことだが、それができていない中小企業や組合がアパレル・繊維業界には多すぎる。
当たり前のことを当たり前にできない企業や組合は淘汰されるしかない。

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日本製デニム生地の現状をまとめてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nf1f2b20fc0b6

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