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南充浩 オフィシャルブログ

ファッション雑誌は基本的に無責任。だから読者が離れた

2017年7月10日 メディア 0

 以前から変わっていないのだが、ファッション雑誌はけっこう無責任である。
だからこそ、信用を失って部数が急落しているといえる。

これまで、メディアが紙媒体しかなかったときは、そこからしか情報が得られないので、多くの人が買っていたが、ウェブメディアが発達し玉石混交とはいえ、正確な情報が得られるようになると途端に部数が低迷するようになった。

先日、こんなエントリーがあった。

うっかりトレンドの服を買ったら、1年後に「ダサい」と全否定されますよ
http://t-f-n.blogspot.jp/2017/07/fashion-trend.html

どういう内容かというと、チェックシャツ+ボーイフレンドジーンズの「ゆるカジ」を某女性ファッション誌が全否定していたというものである。

スキニージーンズがベーシックアイテムとなって普及してしまった3年くらい前から次の提案として、少し緩いシルエットのボーイフレンドジーンズが提案された。
ユニクロでも売られていたくらいだからマスアイテムとなったといえる。

去年あたりまで、ファッション雑誌各誌は、ボーイフレンドジーンズや腰回りにゆとりがあって裾が細くなったテイパードジーンズを推奨していた。

そこにチェックシャツを合わせて緩いシルエットのアメカジを作ろうというのがファッション雑誌の提案だった。
ゆるいカジュアルだから「ゆるカジ」。

まあ、何を提案しようとそれはメディアの仕事なので構わないが、去年まで誌面が一押ししていたスタイルをいきなり全否定するのはいかがなものか?というのがこのブログ主の主張であり、それはその通りである。
ファッション雑誌はあまりにも節操も信念もない。

画像をお借りする。

Screenshot_20170703-194755

「こなれて見える」と信じていたけれど、その「ゆるさ」、私たちの本当に必要だった?

​ 「ときに味気なく見えたり、実際よりスタイル悪く映っていたり」

Screenshot_20170703-194800のコピー

なんて一文も誌面にはあるらしいが、「必要だった?」と問いかける前に、なぜ己らがそれを消費者に提案し続けたのかを説明し、違っていたなら謝罪・反省・訂正すべきである。
というか、己らは何をもって「読者に対して必要だと思って提案した」のか?
その理由を説明せねばならない。
何を誤魔化そうとしているのか。

こういう姿勢だからファッション雑誌は信用を失って部数が低迷するのである。
まあ、ファッション雑誌に限らず、紙を主体とした旧メディアの多くは同じく無責任である。

このブログ主は、トレンド変化はアパレルのビジネスモデルなので仕方がないと総括しておられるが、この部分は少し異議がある。
もちろん、トレンド変化はアパレルのビジネスモデルであることは異論はないが、ファッション雑誌はそこまでアパレル企業とは密接ではない。

もちろん、広報・プレスとは密接だが、商品計画や経営計画にタッチできるほどファッション雑誌は関係が密接ではないし、ファッション雑誌編集部や出版社にそこまでの知見もノウハウもない。

この急激な手のひら返しはひとえに、低迷するファッション雑誌自身が売りたいための戦術なのである。
そう、戦略ではなく戦術。大局ではなく、局地戦の小手先の術策でしかない。
そこにアパレルのビジネスモデルへの考慮などはない。ただひたすら自社の雑誌が売れれば良く、しかも「今月だけでも売れれば良い」という極小規模の局地戦向け戦術でしかない。

ここまで極端ではないが、こういう手のひら返しはファッション雑誌には昔からあった。
以前にもこのブログで書いたことがあるが、2000年ごろの「メンズクラブ」では、「ミリタリーカジュアルアイテムのカーゴパンツを穿きながら、ビジネス向けのネクタイを締めるのはNG」とあった。
それが3年後くらいには、「カーゴパンツを穿いてネクタイを締めるのが新しい」と書かれてあって、おいおいあの強硬な主張はなんだったのかと驚いたことがある。

ただ、メンズクラブはこの女性誌のように、前スタイルを全否定まではしていなかったので、それなりに品格のある態度だったといえる。

ファッション雑誌の多くは、部数が低迷してますます「売らんがため」の刹那的な取り組みが増えている。
「某タレントを表紙にしたから今月号は完売しました」というニュースがあるが、それはその号だけで、来月号以降はいつもの部数に逆戻りでしかない。

一時期、オマケ付き商法が効果を発揮したが、他誌に追随されれば元の木阿弥である。
オマケ付き商法というアイデアを考え出したことは素晴らしいが、いずれは他誌にも真似をされる。
そうなれば、あとは同じで、オマケ競争に走るか、全誌そろって部数を落とすかしかない。

売らんがために、内容も見出しも刹那的に走り、それがさらに読者からの信用をなくすことになる。

こういう場当たり的な女性誌の姿勢を見ていると、好き嫌いは別にして十年一日のごとく、「モテオヤジ」を特集し続ける「Leon」や、ミリタリー・ヘビーデューティを特集し続ける「ライトニング」、なんとかの一つ覚えのようにハリウッドスター的カジュアルを提案し続ける「サファリ」、などの男性ファッション雑誌の方がはるかにコンセプトがはっきりとしていて、ブレない媒体姿勢には好感が持てる。

この手の女性ファッション誌は今後ますます低迷するだろう。

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https://www.instagram.com/minamimitsuhiro/






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