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EC売上が5倍に!「ちょっとしたキッカケを積み重ねる」メガネスーパー・EC戦略の全貌
https://seleck.cc/article/484

メガネスーパーは株式市場でもときどき話題になる。
ときどき株価高騰してストップ高になることがあるからだ。
それでいて株価は安い。
ちょっと小金を握って、高騰時にデイトレードすれば良い小遣い稼ぎになるからだ。

それはさておき。

この記事によれば、メガネスーパーがECで成功した理由は2つある。

1、すべての権限を与えられたから

2、ECでは、実店舗との差別化を考えがち。けれどそれ以前に、ECはそもそも劣っている部分が多い。まずはそこを引き上げていくべき

この2点である。

ほかにもいろいろとメルマガのことなども語られているが、個人的に重要だと思うのはこの2点である。

ECはどんなにがんばっても実店舗よりも商品が見にくかったり、値段やスペックがわかりにくかったりする。
その部分を見やすく、わかりやすくすれば効果が出るというわけだ。

それよりも重要なのは「すべての権限を与えられたから」という点だと思う。
ECに限らず権限が与えられずに責任だけ問われるということが日本の企業には多い。
特にバブルがはじけて不況が押し寄せてからどの業界も縮こまっており、いかに責任を回避するかに終始している。
特に繊維・アパレル・百貨店業界は不況業種ということもありその姿勢がもっとも明確である。

このところ、5回連続で東京に出張しているが、今回の東京出張でも「決められない」エピソードばかりが聞こえてくる。

全国展開する有名な某大手セレクトショップが、8月12日現在において、初秋投入する長袖Tシャツの企画すらまとめられないそうだ。
ワッフル素材でサンプルを作ったところ、そのサンプルを見て、修正点についての話し合いが始まったが、いまだにまとまらない。
挙句の果てには「使用素材を変えようか」というプランまで飛び出しているそうだ。

長袖Tシャツというアイテムの性格上、投入時期は早ければ8月下旬、遅くとも9月中旬になると考えられるのだが、素材まで変えてしまえば9月中旬の店頭投入ですら間に合わなくなる。

「売れ行きが厳しいから失敗したくない」という思いが強すぎるのだろう。

仮に素材を変えることに決定した場合、無理やりにでも9月中旬に間に合わせるだろうから、そのシワ寄せを食らうのは縫製工場であり、生地メーカーである。
こうやって衣料品の製造現場が疲弊していくのである。

また、ある子供服ブランドが展示会を開催したところ、某大手百貨店のバイヤーが来た。
バイヤーは絶賛しながらも仕入れず仕舞いだった。
こういう百貨店バイヤーは業界に掃いて捨てるほどいる。
彼らの口癖は決まって「良いんですけどね・・・・」だ。
この「・・・・」が重要で微妙な含みを持たせる。
「察してチャン」かよ、うざいわ。

「良い」けれども仕入れない理由は様々あるだろうが、最大の理由は、もし売れなかったら責任を取らねばならないからだ。
このブランドがメジャーなら責任回避が可能だから仕入れるだろうが、マイナーなブランドを仕入れた場合、責任は完全にバイヤーに負わされるからである。

これらの事例は、「決断力のなさ」「意思決定の遅さ」を表しているといえるが、彼らがそうなる最大の理由は、「権限が与えられていないから」である。

繊維・アパレル・百貨店の多くは、現場担当者は権限があまり与えられていないのに、責任だけを負わされる。

権限がないのに責任だけを取らされるような罰ゲームのような仕事なんてだれもやりたくない。

メガネスーパーのECが成長しているのは、現場担当者に全権限が与えられているからである。
だから思い切った施策ができる。
もし多くの日本企業と同様にメガネスーパーが担当者に権限を与えずに責任だけを負わせたらどうなるだろうか。
まあ、担当者は責任回避に終始するだろう。
そして責任回避する担当者を筆者は責める気にはならない。

責められるべきは経営者である。

権限を与えない現場担当者に責任を負わせるのは、経営者が自分の責任を回避しているに過ぎないからである。
自分が責任を取るのが嫌だから、現場担当者に責任だけを押し付けているに過ぎない。

日本にはこんなダメ経営者が数多くいる。
とくに繊維・アパレル・百貨店業界はこの手の経営者の博物館かと思うくらいに多種多様そろっている。

そんなわけで、現場担当者に責任だけでなく、全権限を与えたメガネスーパーは伸びるべくしてECが伸びたといえる。
担当者に権限を与えない企業は何をどんなにがんばっても成功することは難しい。