バーバリーがコレクション発表時期を後倒したことが話題となっている。

バーバリー大胆「新商法」の大きすぎる波紋
半年前倒しのコレクションを廃止へ

http://toyokeizai.net/articles/-/105213

ファッションブランドの新作発表の場であるニューヨーク・ファッション・ウイークの開幕を目前に控えた2月5日。英高級ブランドのバーバリー は、今年9月からコレクションの発表と発売の時期を合わせると発表した。つまり、新作発売の半年前にファッションショーで披露するという従来の方式をやめるということだ。

コレクション発表後すぐに消費者が買えるにようにしたいという考えに基づく。
これにトム・フォードやトミーフィルフィガーも追随する動きを見せており、今後、欧米ブランドのコレクションは発表後すぐに消費者が買える時期に変更になる可能性が高い。

これまでコレクションを開催するブランドは、発売の半年くらい前にコレクションショーを開催するのが通例だった。
春夏物なら前年の秋口に、秋冬物ならその年の2月~3月に、と言った具合だ。

これを商品発売時期にコレクションショー開催を合わせるということである。

こうなると、欧米ブランドの半年前のコレクションショーを見て、デザインや商品企画を「インスパイア(笑)」していた国内アパレル各社は苦しくなる。
なぜならインスパイア(笑)する対象がなくなるからだ。

現在はバーバリーやトム・フォード、トミーフィルフィガーなど数ブランドが表明しているだけだが、今後はその数が増える可能性が高いことから、インスパイア(笑)先がどんどん少なくなるだろう。
さてどうする?

今回、バーバリーが発表時期を後倒しした原因は、完全にビジネス上の構造によるものである。
別に日本ブランドにインスパイア(笑)されることを嫌ったわけではないだろう。

先の記事の中に答えが書いてある。

これほど大がかりな動きに出られたのは資金力があり、生産から販売までの垂直統合が進んでいるバーバリーだからだ。バーバリーは直営工場をいくつも持ち、売上の70%は直営店から得ている

とのことだ。

要するに卸売りよりも、直営店での売上高の方が多くなったからだ。
卸売りブランドは、小売店に仕入れてもらわなくてはならないから、早めに商品を見せる必要があった。
小売店側に検討する時間が必要だからだ。
半年前にコレクションショーを開催せずとも、我が国の卸売りブランドもだいたい3か月前には展示受注会を開催する。
そこにバイヤーが来場し、商品を発注するという仕組みだ。

ブランドが展示した商品をすべて量産するかというとそんなことはない。
展示受注会を開催したものの、受注数量が少なかった商品は生産しない場合が多い。
例えば、5枚や10枚くらいしか受注できなかった商品は生産しない。
なぜなら、ミニマムロットに達しない商品を製造するとコストアップになるからだ。
コストがアップしたからといって販売価格を変更することはできない。
小売店側はその価格だと思って仕入れているからで、高い物が売れにくいと考えられている環境下において、値上がりした商品をそのまま受け入れる小売店はほとんどないと言っても過言ではないだろう。

展示受注会で一定の枚数の受注があった商品が量産されて、各小売店へ配送される。

この製造におよそ3カ月くらいはかかるという見込みである。

しかし、卸売りが限りなくゼロに近い、もしくはゼロになって直営店のみのブランドならどうだろうか。

こんな展示受注会を開催する必要なんてない。
なぜなら小売店に仕入れてもらう必要がないからだ。
せいぜい、発売の少し前にマスコミ向けの商品発表会を開く程度である。
それで十分に事足りる。

バーバリーの場合も、直営店比率が7割に達しているし、我が国内の展開を見ても主要な店舗はすべて直営となっている。

となると、わざわざ半年前に商品を発表する必要はなくなる。
当たり前の結論である。

この動きを見ていると何とも感慨深い。

我が国の東京ガールズコレクションや神戸コレクションと、その発想元は異なるが、最終形態は同じようになったからだ。
むしろ、「すぐ買える」という点においては東京ガールズコレクションや神戸コレクションの方が、何年も前から先行していた。

東京ガールズコレクションや神戸コレクションは、イベント興行が目的であり、その手段の一つとして「ファッション」という体裁を取った。
芸能人にランウェイを歩かせることで入場料を取り、グッズ販売するという興行ビジネスがその発想の原点である。単に手ぶらで芸能人を歩かせても仕方がないからその表面上の方策としてファッションを利用したということができる。

ただ、その場合、衣装を提供してもらうブランドに半年先の商品をねだるわけにはいかないし、出品してもらったところで意味はない。
だから、現在、販売中もしくはもうすぐ販売開始の商品を出品してもらうということになる。
出品ブランドもインスパイア(笑)して物作りをするブランドが多いので、半年先の商品なんてとてもじゃないが提供できるはずもない。

一方のバーバリーは、現在の自ブランドの販売形態と顧客動向を見極めた上での極めてビジネス的な決断である。

しかし、発想の根本は違うが、表面的には同方向に歩み寄ったようにも見える。
まあ、今後もバーバリーが芸能人にランウェイを歩かせることはないとは思うが、すぐに買える商品を見せるという方向性だけはたまたま合致した。

これは生物における「収斂進化」と同じように見える。

違う種類の生物が似たような目的のために、似たような形態に進化することである。
有名なところだと魚類の鮫と、哺乳類のイルカである。
生物としての歴史は鮫の方が古い。
鮫は魚類の中でもかなり古くから存在した種である。
一方、イルカは哺乳類なので、鮫に比べてかなり後で生まれた種である。

まったく別種の生物だが、水中生活への適応という目的のために似たような姿を採っている。

ほかにも例がいくつもあるが長くなるのでやめよう。
収斂進化でググってもらえば他の動物の事例がたくさんでてくる。

http://matome.naver.jp/odai/2140236998268676401?&page=1

欧米ブランドでも卸売り比率が低いブランドは今後、軒並みバーバリーに追随するだろう。
そして、先の記事にもあったように卸売り比率が高いブランドはどうするのかというのは今のところ不透明だ。

直営メインのブランドはジャストインタイムでの発表、卸売りブランドは半年先のコレクション発表、というように近い将来は完全に別れてしまうのではないだろうか。

ビジネスにおける合理性を考えるならこれが最も合理的であり、ビジネスでは合理性を最優先すべきだからだ。