好き嫌いは別にして、現在、ウェブを使った販促・広報はアパレルブランドには必要不可欠となっている。
ところが、素材メーカーはいまだにウェブに対して懐疑的である。
またウェブメディアでの露出も極端に少ない。

ここでいう素材メーカーとは合繊メーカーや紡績のことである。
国内の合繊メーカーや紡績の技術開発力はすさまじい。
東レの炭素繊維は広くしられているところだが、他の合繊メーカーや紡績もそれには劣らないが、残念ながらあまり一般的には知られていない。

素材メーカーの広報は適した媒体を探すことに関して、元来難しいと考えている。
何しろ、糸、それから派生した生地を販売しているわけだから、本来最も適しているのは繊維業界紙ということになる。
また素材メーカーは売上高が1000億円以上の大手が多いから、経済誌・経済紙もそれなりに適しているが、そこまでである。
あとは大手一般紙の経済面だろうか。

例えばテレビCMで企業名を連呼している素材メーカーが何社かあるが、あれはあまり効果がない。
広く企業名を認知してもらえる程度だろう。あとは就活生のリクルートに活用できるくらいか。

またファッション雑誌に掲載してもあまり効果がない。

昨今の原料メーカーには繊維製品を製造するOEM部門が設けられているが、それはあくまで製造を請け負うという形をとっており、オリジナルブランドを企画製造しているわけではない。
その昔、「〇〇ボウのシャツ、ええやろ?」なんていう広告が新幹線の車内やホームに掲載されていたが、「〇〇ボウ」というブランド名のシャツは製造されていない。当然、それが売られている店もない。
ましてや〇〇ボウ直営店があるわけでもない。

車内広告を見て、「〇〇ボウのシャツ欲しいな」と感じた人がいたとしても、実際にそれを購入することはできない。〇〇ボウの生地を使ったシャツはたくさんあるが。
この広告は正直に言うとあまり意味がなかったと感じる。

同様の理由でファッション雑誌への広告もあまり意味がない。
仮に、メンズノンノに「〇〇ボウのデニム」なんて広告を掲載しても、〇〇ボウブランドのジーンズなんて存在しないし、当然それを売っている店もない。
読者が、もしも「〇〇ボウのジーンズ欲しいな」と思っても、それを買える場所はどこにもない。
〇〇ボウのデニム生地を使っているブランドはいっぱいあるけれど。

先に挙げた媒体以外で素材メーカーに適した媒体があるとするなら、ファッション関係のウェブメディアではないか。
昨今だと業界紙を読んでいる業界人は減少傾向にある。
その一方で、ウェブメディアを一日に一度は見るという業界人は数多くある。
合繊メーカーや紡績が生地を販売しているアパレルブランドの担当者も業界紙は読んでいないかもしれないが、ウェブメディアなら読んでいるという場合も多い。

そう頻繁ではないが、素材メーカーの方と話す機会があるが、ウェブに対する反応は鈍いことが多い。
「効果がなさそう」
「そこまで多くの人がウェブを使ってなさそう」

まあ、そんな感じである。

しかしそういう人も、いざ飲み会だとか、出張だとかの際には、ウェブで店や時刻表や地図を検索しているのである。

懐疑的な意見を言った人が、目の前で「ちょっと検索しますね」とスマホで検索を始めたこともある。

いやいや、今あなたウェブで調べていますよね?
今、ウェブを使っていますよね?

自分がそれなりの頻度で使っているものに対して、どうして「効果がない」とか「多くの人は使っていないのでは?」と考えられるのか不思議でならない。

優れた技術力を持つ国内素材メーカーは数多くあるが、残念ながらあまり広く知られていない。
それだけにもったいないと感じる。
これまでの媒体に加えて、ウェブも使ってぜひとも情報を広く発信してもらいたいと願ってやまない。