南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

考察

ビジネススーツに「突飛な個性」は必要ない

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 先日、茂木健一郎という人が就活生を「無個性だ」と批判したが何が言いたいのかさっぱりわからない。

もともと、個人的には茂木健一郎という人が嫌いである。
小太りな上にもじゃもじゃの白髪交じりの長髪という清潔感のない風貌も嫌いだし、左気味の発言も嫌いである。

個人的な好みはさておき。

就活生、特に男性は今では一様に黒のスーツを着ている。
筆者が大学生のときは紺が主流だった。

「全員似たようなスーツなんて面白くないなあ」と、25年前に自分も思ったが、元来、スーツというのはそんなに個性の強い衣服ではない。
メンズのスーツはドレスコードが厳格に決められている。
一方、女性がビジネススーツを着始めた歴史は比較的浅いため、ドレスコードはメンズより緩やかである。
緩やかというよりはルールが確立できていないという方が実情に近いと感じる。

なので、レディースのスーツについてはここでは触れない。

メンズのスーツ、とくにビジネスで使えるスーツだと本来の色は紺とグレーの2色である。
そういう点で見ると、今の就活生の「黒一択」というのは確かにおかしい。

まあ、黒も入れても3色だ。
ベージュや茶系のスーツもあるが、カジュアル度合いが高まる。

欧米では紺とグレーのビジネススーツが正統で、その色合いが濃ければ濃いほどフォーマルになる。
濃紺、濃グレーがもっとも格調が高い。

紺もグレーも色が薄く明るくなるごとにカジュアル度合いが増す。

チャコールグレーがもっともフォーマルで、ミディアムグレー、ライトグレーになるごとにカジュアルになる。
また無地がもっともフォーマルで、ストライプやチェック柄になるとカジュアル度合いが増す。
これは紺も同じだ。

欧米だとチャコールグレーのスーツがもっともフォーマルで格調高いとされており、紺よりも重視されている。

しかし、個人的にいえば日本人がチャコールグレーのスーツを着るとどうしてもモサっと見えるので、日本人には紺の方が似合うのではないかと思う。

で、就活に戻ると、就活の面接というのは就活生にとってはフォーマルな場なので、(本来は黒一択という状況はおかしいし奇異だが、百歩譲って)黒無地スーツを着用することはそれほどおかしな話でもない。
本来ならチャコールグレーか濃紺を着用すべきだと思うが、黒という選択肢があっても仕方がないかなとも思う。

しかし、フォーマルな場である就活にベージュや茶系のスーツを着てくる学生がいたら、それはおかしな話であり、それこそドレスコードに厳格な欧米社会なら即座にダメ出しをされてしまう。

ましてやカジュアルスタイルで来るというのは、会社指定が無い限りは、「TPOを理解できない」と会社側から判断されてもおかしくない。


日本人や日本社会を批判する人にありがちなことだが、欧米を理想郷のように崇拝していることが多い。


じゃあ、欧米男性のスーツ姿はそれほど個性的なのかという話になる。
オシャレ着としてのスーツは除外して一般的ビジネスマンがスーツを着用する際はかなり没個性である。

チャコールグレーか濃紺、あとは白いシャツに無地か小紋柄のネクタイ。

カラーシャツや柄(ストライプ、チェック)シャツも着用することはあるが、フォーマルに近い場では白いシャツである。
日本人が好んで締めるレジメンタルストライプ柄のネクタイはフォーマルな場には合わない。
重要な会議などでは無地か小紋柄である。

以前、鎌倉シャツのニューヨーク店出店の際にも話題となったが、ワイシャツの左胸にポケットがあることは欧米では受け入れられない。

日本人からするとペンもさせるし、小物や小銭も入れられるから便利で機能的だと思うのだが、欧米人からするとそれはタブーに近い。

なぜなら、ワイシャツは元来下着から発展したものだから、下着にポケットがあるのはおかしいというのが彼らの理屈だ。
またポケットがあるとワーキングテイストが強くなるからカジュアル度合いが強まる。そのため、フォーマルさが求められるときに胸ポケットのあるシャツは着用しない。

これほど細々とした決まりがあり、エリートビジネスマンになればなるほどこれらを遵守している。

左胸にポケットがあるくらいのことでさえアメリカの男性ビジネスマンには受け入れられないということで、それほどに規制が強いともいえる。

就活生とは離れるが、日本の一般サラリーマンの方がはるかにスーツの着こなしは自由度が高い。かっこいいかどうかは別として。

胸ポケットのあるワイシャツを着ても叱られることもないし、役員会議みたいなフォーマルさが求められる場でもベージュや茶系、ライトグレーの柄入りスーツを着ていても叱責されることもない。
スーツに白い靴下を合わせていても注意されることもない。

欧米男性の方がスーツに対する固定概念が強く自由度が少ない。

就活生か黒、紺、たまにチャコールグレーのスーツを一様に着用しているのは、それが彼らにとってはフォーマルな場に臨むからであり、そこに悪目立ちするような「個性的な着こなしやコーディネイト」は必要ない。
フォーマルな場に臨む欧米のホワイトカラービジネスマンが個性的な着こなしをしているのを見たことがあるのだろうか?

サミットやG7会議で、濃紺・濃グレー以外のスーツを着用している男性政治家を見たことがあるだろうか。

もし、欧米ビジネスマンの方が多様に見えるとするなら、それは人種の多さによる、髪色、皮膚の色、瞳の色のバリエーションが多いからだろう。

画一的な濃グレー、紺のスーツを着るからこそ、その多様性が際立つのである。

就活生のスーツ姿を指して「個性がない」という批判は的外れだといえる。
スーツというのは本来そういう画一的な性格が強い衣服なのだから。


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売上高だけでなく店舗数も激減した百貨店 でも総営業時間は激増

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 百貨店全店の売上高合計が2016年はついに6兆円を割り込んで、5兆9780億円にまで低下したことは周知の事実で、それに対して対策が様々議論されているが、実もふたもない言い方をするなら、既存の個々の店舗が少しずつ売上高を伸ばした程度では、百貨店全体の売上高は回復しないのではないかと思っている。

なぜなら、百貨店の店舗数自体が減っているからだ。

不振百貨店の閉店が近年相次いでいるが、不振とはいえ、各店100億円前後の売上高がある。
不振百貨店が閉店するたびに百貨店全体では100億円ずつ売上高が減っているともいえる。

逆に残存した個々の店舗が売上高100億円を増やそうとすると並大抵の努力では実現できない。
相当にキツい作業になる。

日本百貨店協会の資料を見てみる。
これは2014年までの資料だが、売上高のピークは90年で9兆3000億円ある。
このときの店舗数は260店である。


キャプチャ






ちなみに日本百貨店協会によると2017年4月度は229店となっており、90年当時より約30店減っている。

百貨店の店舗数がもっとも多かったのは、99年で311店舗ある。
311店舗もあるのに売上高は9兆円を割り込んで8兆9900億円にまで低下している。
各店舗の売上高が如何に下がっていたかがわかる。

99年というとユニクロのフリースブーム(98年)の翌年でまだブームは継続しており、低価格化がキーワードになっていた。
翌年の2000年にそごうが経営破綻して民事再生法を申請している。

ピーク時から比べると今は百貨店店舗数が80店近くも減っているということになる。

これだけ店舗数が減れば、残存した個々の店舗が少々売上高を伸ばしたところで、かつてほどの売上高には回復できないことは、誰でもわかるだろう。
利益面は無視して、売上高だけを伸ばそうとすると新店舗をオープンさせることがもっとも手っ取り早い手法である。イオンリテールとイオンモールの手法はこれに近い。

店舗数がこれだけ減っているということはその逆で全体売上高は下がって当たり前ということになる。

現在、残存する百貨店は、今後、オンリーワン・ナンバーワン店舗しか残らないだろう。
どこか強い企業、強い店舗だけが生き残り残存者メリットを得るという未来図しか残されていないと個人的に見ている。

百貨店全部が今の規模で生き残るということはひどく楽観的なファンタジーだろう。

ついでに営業時間を見てみる。

売上高ピークの90年の総営業時間は2847時間だったのに対して、97年にはすでに3000時間を突破してそこから右肩上がりに総営業時間は増えていく。

ピークは2005年の3565時間で、その後、一旦3400時間台に下がるが、2014年は3553時間にまで増えており、ピーク時とほとんど変わらなくなっている。
そしてこの間、一貫して百貨店売上高は減り続けているのだから、百貨店が如何に効率の悪い販売方法を採っているかがわかるのではないか。

営業時間を増やしても売上高は回復せずに下がり続けている。
もちろん全体売上高が減っているのは店舗数が減っていることもあるが、営業時間を増やすことでは売上高低下に歯止めがかけられていないともいえる。

営業時間が長時間化するということは、百貨店の社員だけではなく、アパレル各社から派遣されている販売員も勤務時間が長時間化しているということであり、販管費が増える要因にもなっている。

普通に考えると営業時間が長くなればそれだけ販売員の人件費(人数を増やす、または労働時間を長くするから)は増えることになるが、それを抑える傾向が強いから、「衣料品販売員は拘束時間が長いわりに給与が良くない」といわれ、販売員が集まりにくくなっているといえる。

各メディアでは今更、「なぜ百貨店業界は衰退したのか」という犯人捜しをいまだにしているが、ここまで店舗数が減り、それに比例して総売上高が減ってしまっている状況で、犯人捜しをしたところで手遅れではないか。
先程も書いたように、百貨店全店が今の規模を維持して生き延び続けるというのは不可能としか思えないから、どこか特定の強い店舗、強い企業だけが生き残れる方策を探るべきだろう。

はてさて、最後まで生き延びられる百貨店はどこになるだろうか。



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そごう 壊れた百貨店―乱脈経営の全貌とメインバンクの過ち
『週刊ダイヤモンド』特別取材班
ダイヤモンド社
2001-04






「ジーンズカジュアル業界」なんて枠組みはとっくの昔になくなっていた

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 先日、繊研プラスにこんな記事が掲載された。

マックハウス白土氏“ジーンズカジュアル業界”は幻想
https://senken.co.jp/posts/machouse-siratuchi-170526

極めて当たり前のことであり、「ジーンズカジュアル業界」の要職におられる方がようやくまともな認識になったのだと感じた。

ところが、小島健輔さんのブログを拝読すると、業界ではこの発言に衝撃を受けておられる人がいるそうで、その人々の認識の古さにこちらこそ衝撃を受けている次第である。

ここでいう「ジーンズカジュアル業界」だが、製造・加工業やメーカーと川下に位置する流通で分けて考える必要があることはいうまでもない。

製造加工業やメーカーにはそれぞれ得手不得手がある。
卸売り型アパレルメーカーにも得手不得手がある。

だからこれらについては「ジーンズカジュアル業界」というくくりは依然として存在するし、この先もある程度はそのくくりは存続し続けると考えられる。

ジーンズや厚手カジュアルパンツの縫製が得意な工場と、ウールのスラックスが得意な工場という枠組みは存続するし、ジーンズカジュアルパンツが得意なアパレルメーカーと、婦人ブラウスが得意なアパレルメーカーの枠組みが崩れることもない。

徐々に作れるものを増やしていくということはありえるだろうが、一気に他ジャンルと融合してしまうようなことはない。工場でいえば設備投資が必要だから、とくに難しい。

しかし、小売店やトータル展開のブランドにおいては「ジーンズカジュアル業界」なんていうのは幻想にすぎない。

なぜなら、それらを利用する消費者はテイストミックスで日々衣服を身に付けているからだ。

スーツや作業現場の制服はその限りではないが、それ以外の場合はいずれもテイストミックスで日々着用している。

例えば、スエットやスエットパーカ、スニーカーは元来、スポーツアイテムである。
ジーンズだとワーキング、アメカジ。
テイラードジャケットはトラッド、ドレス。
MA-1ブルゾンはミリタリー、バスクシャツはマリン、マウンテンパーカはアウトドア。

といった具合である。

ジーンズにウエスタンシャツにウエスタンブーツみたいな感じで、すべてのアイテムのテイストを統一して着ている人はまずいない。

Tシャツにジーンズにテイラードジャケットとか、ジーンズとスエットとMA-1ブルゾンとかいうふうに必ずテイストをミックスして着ている。

チノパンにデニムシャツにテイラードジャケットを着てスニーカーを履くなんていうのもテイストミックスだ。

となると「ジーンズカジュアル」テイストで統一して服を買い続ける人はほとんどいないということになる。
消費者やファッションにとっては「ジーンズカジュアル業界」なんていうカテゴリーはとっくの昔になくなっており、それこそ、業界の人が勝手に持っていた幻想にすぎない。

それにいわゆるジーンズカジュアルショップを除いて、ほとんどのショップにはジーンズが1型くらいは並んでいる。

スーツカンパニーにもデニムパンツは並んでいるし、ビームスやユナイテッドアローズにも並んでいる。
ユニクロは日本でもっともたくさんジーンズを販売していると思うが、ジーンズカジュアルテイストの商品だけではなく、テイラードジャケットもスポーツウェアも並べている。

ほとんどのショップはすでにテイストミックスで販売しており、「ジーンズカジュアル業界」という幻想にこだわっていたのは、ほんの一握りのジーンズカジュアルチェーン店のみにすぎない。

そして、ジーンズカジュアルチェーン店自体が失速傾向にある今、その枠組みはマイノリティに落ちてしまったといえる。


マックハウスはようやくまともな認識になったと見るべきで、驚くには値しない。


ただし、マックハウスの今の施策がヒットするとも思えない。
企業はもちろん、試行錯誤を繰り返し正解を作り上げていくものだが、今のマックハウスは試行錯誤段階にあるといえる。

新形態の「スーパーストア」だが、画像で見る限りはどうもユニクロのレディース売り場の類似に見えて仕方がない。これをビジカジスタイルの新提案といわれても、新鮮味はほとんどない。

またビジカジスタイルはユニクロをはじめ、スーツカンパニーなどでもすでに大量に提案されており、新規参入組はかなりの苦戦が強いられると考えられる。

マックハウスの知名度とブランドイメージとステイタス性をもってそこに参入するにはよほどの新機軸が必要となるのではないか。
単にオールドネイビーの空き地に出店しましたというだけでは消費者は集まらないし、注目もしない。


客を集めるための仕掛けも練らないといけないし、新機軸も打ち出さないといけない。

試行錯誤を経てどのような新形態を完成させるのか期待して眺めていたい。ただし、試行錯誤のまま新形態がものにならない場合もある。はてさてどのような結末を迎えるのか。



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洋服が売れないのは店頭よりも本社側に問題がある

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 自分は、販売員経験が3年ほどある。
といっても、その3年はイズミヤの子会社での量販店内テナントの販売員&店長だった。
いわゆる、著名なブランド店でも大手セレクトショップでもない。

低価格~中価格に属するブランドを取り扱っていた店なので、著名ブランド店や大手セレクトショップのような厳しいノルマは店にも人にも課せられなかった。もちろん、店の売り上げ予算はあったが、達成しないと厳しいペナルティが課せられるわけでもない。そういう意味では良心的な企業だったといえる。

その後は、バッタ屋での助っ人販売が3年位前から断続的に続いているくらいである。

しかし、実際に店頭に立ってみると、商品が売れない要因は、店や販売員だけではどうしようもないことがある。
ことがあると書いたが、販売員側からすると商品が売れない要因の大半以上は、本部・本社にあると感じる。

1、商品が店の顧客層にマッチしていない。デザイン、価格ともに
2、本社の販促・告知・広報がお粗末で来店客が増えない
3、商品の補充追加が不十分、まるでダメ

この3点は店頭ではどうしようもないが、売れる売れないはこの3点に大きく左右される。

ゴミ屑みたいなデザイン・品質で価格が割高で、しかも無名ブランドの商品なんて普通に並べていても売れるはずもない。
本社スタッフは「それを売るのがプロ」とか「できる営業マンは石ころでも売る」とかそういうアホな精神論をぶち上げることがあるが、そんなもんで売れるのなら、今頃日本の景気は20年間も低迷せずにとっくに回復している。

経費の使い過ぎで破綻したワイキューブの安田佳生・元社長もその著書の中で、「石ころを私だと思って買ってください」と売りつけるような営業マンはダメだと書いている。
そんな売り方で通用する営業マン・販売員なんてほとんどいない。

大半の普通の健全な消費者は、いくら販売員の口が上手かろうと、販売員がイケメン&美女であろうと、自分にとってメリットのない「石ころ」は買わない。

店頭からすると、もっと売れる商品を仕入れるor作れよ、と言いたくなるし、もっと売りやすい値段にしろよとも思う。

またいくら販売員が有能でも店に客が来ないとどうしようもない。
店に客を誘導するのは本社の広報・告知・販促であり、それができないなら、その本社は無能集団である。

そして、補充追加の問題も店ではどうしようもない。

オーナーが経営する個店なら話は別だが、チェーン店の多くは本社が補充追加を管理している。
いくら売れ筋でもサイズ切れ・色柄切れを起こせば売れなくなる。
その補充追加をそつなくこなすのは本社の仕事であり、それができない本社は無能集団である。

ひいては無能集団を作り上げた経営者にすべての責任がある。
人材採用、人材教育すべての面においてだ。

さらに補足すると、チェーン店の場合、価格の上げ下げも本部指示でなされる。
これが的を外している場合が多い。

下げなくても売れる商品を下げる指示が来たり、下げなくては売れない商品なのに下げる指示が来ないとか、そんなことは日常茶飯事だ。

何故これを書いているかというと、アーバンリサーチが発表した「接客不要ショッパー」について、販売員側から痛烈な反論が出ているからだ。
そのショッパーを持っていると、接客されない。
だから接客されるのが苦手な人も店に来てください。ということである。

企業やブランドのお偉いさん。そろそろ何でも「販売員」に原因なすりつけるのやめませんか?
http://topseller.style/archives/3480

アーバンリサーチがとった「接客しないで袋」が根本的な解決策にならない理由わかりますか?
http://ryoheiyotsumoto.com/urshopper/


あと、単に「見に来ただけ」の客がわざわざショッパーを持つというのは、客側にも抵抗があるのではないかとも思う。だって買う気がないのだから。
買う気もないのにわざわざ接客を避けるためだけにショッパーを持ちたいか?という疑問もある。

今回の一件は、販売員側からすると腹の立つ言いぐさといえる。
販売員だってやりたくてしつこく声掛けをするわけではない。


著名ブランド、大手セレクトショップの多くは強烈なノルマを販売員と店に課している。
それを実現するためには過剰な声掛けをせざるを得ない。

現に、どう見ても買う気がなくて調べるためだけに店に来たお客にも「どうして声をかけないのか」と指導するブランドは数多い。

アーバンリサーチの本社がそういう指導をしていたのかどうかはしらないが、そういう指導をしていたブランドがアーバンリサーチに追随するようなことがあれば、それこそ「本社はアホの集まりか」である。

売れない時代の打開策として接客不要を持ち出すのであれば、今後、どの店もユニクロ方式で客に呼び止められるまで接客をしないようにすればよい。
いっそのこと、店頭に端末を置いて、そこから購入してもらうようにすればよいのではないか。

ちなみに、個人的にはユニクロ方式が好きだ。
ユニクロ、無印良品、ジーユー、ジーンズメイトなどはこちらから話しかけるまで放置してくれている。
話しかけるということはかなりの高確率で買う気持ちができているから、販売員側としても効率的である。

本社スタッフ&経営者が売れない原因のほとんどを販売員側に押し付ける傾向が強い。
それは販売員を経験した業界人なら誰しもが感じていることだろう。

それほどに責任を押し付けられながら、本社スタッフに比べて給料は安く休日は少ない。おまけに立ち仕事で体にもキツい。
だから販売員になりたいという人が減っているのであり、最早アルバイトやパートですら集まりにくくなっている。
もっと時給が高くて美味しい仕事はほかにいくらでも転がり始めているから、アルバイトやパートは全部そちらに吸い取られている。
本当に業界の自業自得としか言いようがない。

旧態依然としたアパレル、セレクトショップ、ブランドは今後ますます淘汰されて市場から退場させられることは間違いない。


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誰がアパレルを殺すのか
杉原 淳一
日経BP社
2017-05-25







大衆は洋服のことなんてそんな詳しく知らないし興味もない

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 今日はお気楽に。

断続的にバッタ屋の店頭に立っていると、業界の人が想像する以上に、洋服の根本的なことを理解していない消費者は数多くいることに気付かされる。

そういう意味では、消費者教育が必要なのではないかと思う。

バッタ店頭で出会った仰天する質問をいくつか挙げてみる。

1、「Mサイズってどれくらいのサイズ?」という質問

おおー、最早なんと答えて良いのかわからない。
中間くらい・・・?としか言いようがない。

これと類似の質問で、

「9号サイズって何?」というのもある。

この質問はいずれも推定40~50代女性から発せられるもので、この人たちは少なくとも40年間くらいは何を目安に洋服を買ってきたのだろうと不思議でならないが、こういう人は本当に多い。

2、自分が何サイズの服を着ているのか知らない人

これも多い。
今自分が着用している服のサイズを「知らない」と言い切る大阪のオバハン多数。
え?どうやってその服を買ったの?どうやってその服を選んだの?

3、〇〇%引きの計算ができない人

これは以前にもこのブログで書いたが、本当に業界人が想像するよりはるかに多い。
30%オフとか70%オフとか表示するのは、店側・販売員側からすれば、最大限分かりやすく表示しているつもりだが、実際の店頭では、「これ何円になりますか?」と尋ねる人はかなり多い。
体感だと5割近いのではないかと思う。

最初のころは、「暗算するのがめんどくさいのだな」と思っていたが、どうやら本当に計算のやり方自体が分かっていないようだ。

言うまでもないが、〇〇%という表記は百分率に基づいており、百分率の計算は小学校で習う。
〇〇割引きは割合でこれも小学校で習う。

そのどちらも計算できない、理解していないという人は本当に多い。
この人たちはスーパーなどの食料品の割引表示をどう理解して購入しているのだろうか?

それでも社会生活は可能ということだ。やれやろだぜ。


4、洋服の名称がまるで理解されていない。

業界内で通じる共通の名称がある。
そんな大げさなことではないが、デニムパンツやジーンズといえば、業界内の人なら共通のイメージができる。

しかし、そういう基本的な名称すら知らない人は数多い。
ましてや、業界が「売らんがために」改称した名称なんて「誰も知らんがな」状態である。

盛り袖とかなんとか名称を新しく作るのは結構だが、そんなものは大多数にはほとんど浸透していないということを肝に銘じるべきである。

例えば、長袖・半袖・袖無しがある。
これをカタカナにすればロングスリーブ・ショートスリーブ(ハーフスリーブ)・ノースリーブとなる。

カタカナ語はまず理解していない。
長袖・半袖・袖無しですら、理解していない人も珍しくない。

つい先日、こんな人がいた。(推定50代女性)

「ランニングシャツみたいなワンピース」を連呼していた。
お気付きだろうか、これはノースリーブワンピースのことである。

ノースリーブという名称がわからないのは納得の範囲内だ。
しかし、「袖無し」という言葉すら出てこないのはちょっと衝撃的だった。

「かわいい」雰囲気を醸し出す「ノースリーブワンピース」という名称だが、「ランニングシャツみたいなワンピース」といわれると途端に、裸の大将が着ていたランニングシャツの丈が長くなったような画像が頭に浮かぶ。
かわいいも雰囲気もへったくれもない。
おにぎりでも持たせてやりたい。

5、女性物と男性物の区別ができない男性(推定40代以上)

Tシャツだとかジーンズだとか、そういうユニセックスデザインの商品はあって、それの男女の区別ができないのは理解できる。
それらはXLあたりを選べば男性でも着用できるからだ。

しかし、ワンピースやスカートが所狭しと並べられている店に入ってきて、何十分か物色してようやく、「この店は女性物の店ですか?」と気が付く中高年男性は本当に多い。

え?外から見てもすぐにわかると思うのだが?

男性は業界人が想像している以上に洋服に触れていないし、興味がない人が多い。
だからダメなんだと、某伊藤忠商事の社長のようなことは言わないし、言う気もない。
あの人が他人にダメ出しできるほどオシャレとも全然思わない。

就職した男性の中には結構な割合で、職場の制服(スーツも含む)かパジャマ類(Tシャツセットアップやスエット上下を含む)しか持っていないという人がいる。
平日は朝から制服を着こんで出勤し、それで勤務し、制服で帰宅する。帰宅後は入浴してパジャマ類を着て寝る。
土日は終日、スエット上下で過ごす。もしくは休日用の服が3枚くらいある。

そういう生活を過ごしてそれに不自由を感じていない男性は少なくない。
それを20年くらい繰り返すと、メンズ店とレディース店の区別ができなくなるのだろう。

しかし、そういう生活をする人の気持ちもわかる。
土日の週2回しか着用しない物にそんなにお金をかける必要もないし、毎年買い替える必要もない。
3枚か4枚を着まわせば済むという考え方は合理的で賛成できる。

自分がもし普通の会社に入っていたなら、そういう生活を送っていたと思う。

思いつくままに挙げてみたが、こういう人は本当に多い。
そしてこういう人々こそがサイレントマジョリティーである。

マスに売りたければ、こういうサイレントマジョリティーを如何にして教育し、惹きつけるかが課題になるが、それができているブランドは数少ない。
だから不振ブランドが多いのである。



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誰がアパレルを殺すのか
杉原 淳一
日経BP社
2017-05-25



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