南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

衣料品の国産比率は金額ベースで26%

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 衣料品の国産比率は3%というのは、よく言われることだが、最近これが独り歩きしすぎていると感じる。
この数字が事実であることは間違いないが、この数字は「数量ベース」なのである。

国内で流通している総量に対して3%ということである。

しかし、店頭を見てみると、「日本製」と書かれた衣料品は結構ある。
低価格カジュアル店は別として、3000円台の日本製衣料品も珍しくない。
みなさんの体感的には恐らく3%よりも多いと感じているのではないだろうか。

別の数字を示すと、「国産比率は約26%」ともいえる。
これは「金額ベース」である。
販売された金額をベースとすると国産比率は26%前後ということになる。

なぜなら、日本製衣料品は比較的高額だからである。
日本製で「Tシャツ590円」なんていう商品は、バッタ屋以外の正規店では存在していない。

となると、自動的に金額ベースでの日本製衣料品比率は高くなる。

経産省が2015年に作成した資料にもそれは明記されている。

http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seizou/apparel_supply/pdf/001_03_00.pdf#search=%27%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%A3%BD%E8%A1%A3%E6%96%99%E5%93%81%E6%A7%8B%E6%88%90%E6%AF%94%E9%87%91%E9%A1%8D%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9%27

ついでにスクリーンショットも貼っておく。

経産省キャプチャ


輸入品浸透比率が2012年の段階で、金額ベースでは73%になっている。
ということは国産比率は2012年の時点では27%あったということになる。

そこから5年が経過して、国内の縫製加工業者はさらに減っているだろうから、順当に考えると25~26%というのが現在の状況だろう。

金額ベースに比べて、数量ベースが急落した理由は何だろうか?

様々な要因が考えられるが、最大の要因は、衣料品の供給数量が増えたことだろう。
そしてその増えた分量はほぼ中国をはじめとするアジア製だった。

例えば、ユニクロの台頭。

衣料品の供給枚数は20億枚から39億枚に倍増している。
正確には一時期41億枚まで拡大したが、やや減少して39億枚になった。
このあたりの2億枚の減少は、市場の悪さを鑑みて各社が少しずつ生産調整・在庫調整を行った結果だといえるのではないだろうか。

この増えた20億枚のほとんどが中国をはじめとするアジア製だったといえる。

これによって、数量ベースでの国産比率は急落した。
もちろん、国内の製造加工業者が減少し続けているのは言うまでもないが、もし、供給数量がここまで激増しなければ、数量ベースの落ち込みはもう少し緩やかだったのではないかと思う。

要するに、分母が激増した結果、数量ベースの国産比率が急落したのである。

ちょうど、食料自給率の議論と似ている。
我が国の自給率が低いといわれ続けているが、それは「カロリーベース」での議論であって、カロリーベースなる不思議な指標を採用しているのは我が国と韓国くらいだ。

オウベイガーのみなさんが大好きな欧米諸国は「生産額ベース」で食料自給率を論じている。

だから、「欧米に比べて我が国の食料自給率が低すぎる」というのは、基準が異なるので議論としてはおかしい。
生産額ベースでの我が国の食料自給率はだいたい65%前後もある。

本来は、欧米と比較するならこの生産額ベースで論じるべきで、もしカロリーベースで論じたいなら欧米の自給率もカロリーベースで換算し直さないと意味が無い。

なんだか、カロリーベースで大騒ぎしている自給率と、数量ベースで大騒ぎしている国内衣料品比率はちょっと似た構図ではないだろうか。

金額ベースでの26%というのもかなり厳しい状態であることは間違いないが。

とはいえ、国内の衣料品製造業者は減少の一途をたどっており、今後ますます減少することは間違いない。
一部の強い国内業者を残して、最終的には経営が悪化していたり、後継者がいない業者は消滅してしまうだろう。

最近では、ファクトリエやトウキョウベースといった国産品を扱う新興企業が登場しており、それらが発展することで国産業者の減少が食い止められるのではないかという期待が寄せられているように見えるが、それは糠喜びというものではないかと思っている。

なぜなら、ファクトリエやトウキョウベースという企業が扱っている国産業者は、いわば「強者」に分類されるものがほとんどで、弱小零細業者は扱っていない。
極端な言い方をすれば、強者はファクトリエやトウキョウベースが無くても存続し続けるだろうし、弱小零細は取り扱われないのだから、いくらファクトリエやトウキョウベースが巨大化しようと、経営環境は好転しない。
だから弱小零細業者はこれからもどんどんと姿を消し続けていくだろう。

弱小零細業者がもしも、生き残りたいと思うなら、自助努力しかない。

新進著名企業は助けてはくれないし、アパレル業界にキュウレンジャーみたいな究極の救世主は永遠に登場しないからだ。
最近、キュウレンジャーには12人目の新メンバーとして「伝説の救世主」も登場したが、そんな伝説の救世主も業界には永遠に登場しない。


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「接客不要バッグ」が導入された店頭。ある平日夕方の印象

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 先日からアーバンリサーチで「接客不要バッグ」が店頭に並べられた。

実際のところ、どんな感じなのか店頭を見に出かけた。
今回はその印象について。

7月上旬の平日の16時ごろに1度訪れただけなので、休日や平日夜はまた違った店頭になっているかもしれない。
もしそうならまた教えていただきたい。

心斎橋筋商店街のアーバンリサーチストアを訪れた平日の夕方だが、1階・2階・3階と回ってみたが、だれも「接客不要バッグ」を持っていなかった。
そのときの入店客数は合計で15人前後といったところだろうか。

この日のこの瞬間だけかもしれないが、全然持っていないというのはちょっと意外だった。

この「接客不要バッグ」ができた影響からなのか、以前よりも販売員の声が聞かれなくなっていた。
良いか悪いかは別にして通常だと、販売員は入ってきたお客を見かけたら「いらっしゃませ」とか「こんにちは~」とか声をかける。

また、良いか悪いかは別にして、声出しを行っている。
平日の昼間とか閑散期なんて、いくら店頭にBGMが流れていてもそれだけではなんだか寂しいものである。
だから活気づけるためにも「声出し」をする店は多い。

いらっしゃいませも声出しもその日のその瞬間はほとんどなかった。
店頭ではBGMが流れているだけ。

逆に変な静寂に包まれていたと感じた。

極端にいえば、販売員が「声出し」をしていないセルフ形式の店という印象である。
あれ?アーバンリサーチストアってこんな雰囲気の店だったっけ?というのが率直な感想である。

筆者は貧乏暇しかないので、平日昼間にたまに地元の西友に行く。
食料品売り場は別として、衣料品フロアは閑散たるものだ。

売り場の広さの割には販売員が少ないから声出しもしていない。
BGMが淡々と流れているだけだ。

その雰囲気に近いと感じた。

今回の「接客不要バッグ」には賛否両論がある。
物事はなんでも賛否両論だから、それが正常な反応といえるのだが、賛成派の声が多かった割には、利用している人は少ないのではないか。

もし、全営業日を通して少ないのなら、その理由は、「買うつもりがなくても、わざわざバッグを持たなければならないという矛盾」にあるのではないかと思う。

販売員に声をかけられるのが苦手という人は多い。
苦手ではないが今日は声をかけてほしくないという場合もある。
それはどんなときかというと、買うつもりがなくて下調べに来たときである。

いくら、熱心に接客されてもこっちは買うつもりがないのだから、なんだか申し訳なくなる。
筆者はそういう場合、正直に申告するようにしている。
「今日は買うつもりがなくて見に来ました」と。

今日は買うつもりがないという人も少なくないのではないかと思う。
で、そういう人が逆に「接客不要の目印」としてショッピングバッグを持たねばならないというのは、なんだかちょっと滑稽に感じる。

買うつもりがないから接客してほしくない。だから目印にショッピングバッグを持つ。

冷静に考えるとクスっと笑えて来ないだろうか?

さらにいえば、販売員は、そういう制度ができたため、持っていない人に対しても声をかけづらくなってしまっているのではないかと、店内が静寂な理由についても思ってしまう。

アーバンリサーチのプレスリリースにもあったように、今回の導入はあくまでも「実験的」ということで、今後、廃止になったり、今とは違う形に変化したりすることもあるのだろうと思うが、この日に限っては、導入は逆効果になっているのではないかという感想を持った。

ただ、西友のようなセルフ形式の販売を行うには、アーバンリサーチの店頭に並んでいる商品の価格は高すぎる。
ユニクロや無印良品のような低価格店もセルフ販売形式だが、それらの店には商品を説明するPOPが付けられている。また商品の下げ札にも商品説明が書いてある。

しかし、アーバンリサーチの店頭にはユニクロ・無印形式の商品説明が書かれたPOPは皆無だ。
また商品の下げ札に商品説明が書いてあるわけでもない。

それでいて価格はユニクロ・無印の何倍もするのだから、これはかなり売れにくい・売りにくいのではないか。
そんな高い商品をほとんど説明も聞かずに買う消費者が一体どれほど存在するのだろうか。


アーバンリサーチがセルフ販売形式に移行しようと、やっぱり「接客不要」を廃止しようと、無関係の筆者はどちらでも良い。

だが、セルフ形式に近付けるなら売り方・説明の仕方もユニクロ・無印に近付けるべきだし、そうすることが嫌なら、従来通りの接客スタイルを取り入れることは不可欠となる。

現在は過渡期だと思うが、今後どのような販売スタイルを目指すのか、しばらく観察してみたい。



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「スペックの高さ&コスパ」競争は、必ずいずれ越えられる

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 ちょっと前のことになるが、ユニクロでブロックテックパーカを買った。
今年の初めのことだ。

ブロックテックパーカの定価は7990円(税込み)で、ユニクロにしてはちょっと高い値段が付けられていた。
それが去年末から今年初めにかけて頻繁に5990円に期間限定値引きされることが増えた。

今春以降のブロックテックパーカの定価は税抜き5990円(税抜き)だから、それに向けての在庫品の価格調整だったというわけである。

もちろん、定価の7990円では買っていない。
5990円かさらに値下がりした4990円で買ったか、どちらの価格だったのかは不覚にも覚えていない。

IMG_3171

(買ってみたブロックテックパーカ)



で、何度か着用してみた。
ブロックテックパーカの売り文句は防水透湿性にある。

要するに外側からの水は防いで、内側からの汗は発散するというわけだ。
この機能で有名な素材はゴアテックスだが、あいにくとゴアテックスは高いから、様々な素材メーカーから廉価な代替素材が発売されている。

ユニクロはもちろん、ゴアテックスではなく、廉価な代替素材を使用している。
だから7990円という価格で発売できたし、それを5990円に価格改定することもできた。

着用してみた感想だが、たしかに雨は弾く。
ある程度の防風性もある。
中綿のない薄手生地だから冷気は遮断できない。
冷気を遮断するには中綿の類を入れないと無理だ。

ただ、透湿性についてはあまり実感できなかった。

まるっきりないわけではないが、それほど高機能とも思えなかった。

それでちょっとネットで調べてみたら、こんな記事を発見した。

ユニクロのブロックテックパーカの透湿性、撥水性を調べてみたよ!
http://www.humbert-tomoyuki.com/entry/uniqlo-block-tech-parka

ユニクロに問い合わせをして調べてみた人の記事である。
やりとりは以下の通りである。


Q:商品の性能について質問させていただきます。
ブロックテックパーカは透湿性と撥水性を兼ね備えているようですが、
耐水圧、透湿性のデータは何かありますでしょうか?
 
するとしばらくして答えが返ってきた。
メールをそのまま添付するのもあれなので、簡略するよ。
 
A:ブロックテックパーカ/品番:167506について回答します。
環境によって異なりますが、耐水圧は<8000~10000mm>となっております。
透湿性につきましては、社外秘のため案内できませんが、社内の基準をクリアしております。
 
わたしは大人なので「社内の基準はいくらか?」などは聞いたりしなかった。
聞いてもどうせ教えてくれないしね。



耐水圧はかなり高いが、透湿性については「社外秘(笑)」だそうだ。
社外秘(笑)の社内の基準をクリアしているということで、ほとんどないと考えた方が適切である。

まあ、しかし、昔のビニールのカッパよりは随分と着心地も良いし、ムレも少ない。
5990円なら良しとすべきだろう。

最近自分は、衣料品について、生地の風合いやアジよりも、機能性を重視している。
いくら生地の風合いやアジが良くったって、機能性が無ければ着ていて不快である。
50歳手前のオッサンはそんな不快な物を着用し続けられるほど忍耐力はない。
「見た目が良いだけで機能性に乏しい服なんて博物館に展示でもしていろ!」としか思えなくなっている。
これが老化である。( ̄ー ̄)ニヤリッ

そんなわけで、ちょっと興味を持って、他社の商品も調べてみた。
もちろん、ノースフェイスとか本格的なアウトドアブランドは除外する。
なぜなら高額すぎて貧乏人で甲斐性無しの筆者には手が出ないからである。

ユニクロレベルの価格帯に絞るなら、もうワーキングメーカーとかワークウェア専門店しかない。

ちなみに調べてみると、ワークマンはワークウェア専門店の中では高い部類に属する。
もっと廉価なワークウェアはいくらでもある。

そのワークマンで、いくつかレインウェアが売られているが、一部を除いてブロックテックパーカよりも安い。

その中で気に入って今度買ってみようと思っているのがこれだ。
3900円の「イージス」レインパーカである。

http://store.workman.co.jp/item/item.html?i=1741

耐水圧15,000mm
透湿度3000g/㎡ (24時間)

と透湿性を明記してある。

要するに、24時間で1平方メートルあたり3000gの水分を放出できるという意味であり、「社外秘(笑)」よりはよほど具体的であり、街中の日常生活くらいならこれで十分だろう。

また耐水圧(防水性)はブロックテックパーカよりも高い。

しかも価格は2000円安い。

何が言いたいかというと、スペックと価格競争では完全にユニクロの方が負けているということである。
これで、ワークマンの商品の見た目が致命的にダサければ、デイリーユース民はユニクロを買う理由がある。

しかし、画像を見た限りにおいては、ワークマンの「イージス」の見た目のデザインも決して悪くない。
普通レベルであり、ユニクロのブロックテックパーカのデザインだって見た目のデザインがすごく良いわけではないから、イージスを買った方がお得だと思う。

もちろん、それぞれ、用途が異なるので、同列に論ずるのはおかしいのだが、デイリーユース民が「イージス」を
買うという選択をすることは十分にあり得る。

結局、スペックと価格を競うということはこういうことになる。

社外秘(笑)という基準は論外だとしても、一定の基準をクリアしていれば、そこをむやみに競う必要はない。
世の中、必ず上には上があるし、現在トップだったとしても何年か後にはそれを上回る商品が必ず発売される。

価格競争にしたって同じだ。

だから、ユニクロは最近、ブランドイメージを高める販促を行っている。
松浦弥太郎という人が、商品と旅行を絡めたエッセイをユニクロのサイトで連載し始めている。
読んでみても何の感銘も共感もないのだが、まあ、これまでのように「スペックの高さガー」「価格の安さガー」「素材の希少性ガー」とばかり言っているような販促よりはわかりにくいが、イメージは良くなる。

物作り系のブランドが陥っているのはまさにそこではないか。

「職人のこだわり」も「匠の技」もわかるが、それだけだと埋没してしまうし、いずれ必ずそれらは越えられてしまう。

あまりにもストーリーを作りすぎると胡散臭くなってしまうが、イメージを打ち出すことは必要だ。
旅行記が適切かどうかは知らないが、やろうとしていることは理解できる。

逆にユニクロがそういうことをやりだしたということは、これまで空虚なイメージだけで売っていた中途半端なブランドは根こそぎやられてしまう可能性があるということだ。

ユニクロといえどもコスパとスペックは越えられてしまうし、そのユニクロはイメージ戦略を取り始めており、イメージだけで売ってきたブランドの牙城を浸食しようとしている。

いやはや、この世はまさに焼肉定食 もとい弱肉強食である。


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