MENU

南充浩 オフィシャルブログ

ブランド廃止・事業終了が相次ぐストライプインターナショナルの今後を推測してみた

2022年1月13日 企業研究 1

一時期は時代の寵児として、業界メディアで頻繁に報道されていたストライプインターナショナルだが、2020年・2021年とピタリと報道が無くなり、存在感が消えた(自ら消した?)。

たまに報道されるのは、不採算ブランドの閉鎖、不採算事業の廃止という厳しい内容ばかりである。

そういえば、ショッピングモールでうろうろしていても「タイムセール開始~」というストライプインターナショナルの店舗からの叫び声を耳にすることも無くなった。

メディア上でも実際の売り場でも恐ろしいほどに存在感を感じなくなったストライプインターナショナルだが、2022年早々、ECモール「ストライプデパートメント」の廃止を発表した。

ECモール「ストライプデパートメント」が2月末で営業終了 – WWDJAPAN

 

2月末で営業を終了し、3月末でサイトを閉鎖すると発表した。閉鎖の理由は「当初の計画に対して、大幅に業績拡大が遅れたため」(広報担当者)。ストライプデパートメントは解散予定。

 

とのことで、要するに売れなかった・儲からなかったからである。

2018年開始なので丸4年で終わることになる。

 

これに先立ち、2021年末にも「ホテル コエ トーキョー」の閉鎖を発表している。

ストライプ運営、渋谷の「ホテル コエ トーキョー」が閉館 約4年間営業 (fashionsnap.com)

 

また予期せぬ急逝というアクシデントが原因とはいえ、神田沙也加さんのブランドも終了することを昨年末に発表している。

急逝した神田沙也加氏のブランド「メゾン ド フルール プチ ローブ カノン」が2022年秋に終了へ (fashionsnap.com)

 

神田沙也加さんのブランド終了は予期せぬ急逝が原因で、売上高規模もそれほど大きくはないことから考えると、同社にとっては枝葉の一つだが、ストライプデパートメント、ホテルコエトーキョーは鳴り物入りで始めた事業なので、同社がいかに縮小政策にまい進しているかがわかる。

2020年春からの新型コロナ禍拡大が引き金となった部分は大きいが、2020年からの急激な縮小政策は顕著である。

 

2020年6月には

「イーハイフンワールドギャラリー」が事業終了、20年間ストライプを支えた基幹ブランド (fashionsnap.com)

「アース ミュージック&エコロジー」などストライプ展開の7ブランドが中国市場から撤退、新型コロナが影響 (fashionsnap.com)

 

2020年9月にはセブンデイズサンデーとニコロンの終了である。

ストライプが「セブンデイズ サンデイ」事業を終了、アウトドアの新ブランドやD2C事業に注力へ (fashionsnap.com)

藤田ニコルプロデュースの「ニコロン」 20年秋冬シーズンをもってブランド事業終了へ (fashionsnap.com)

 

そして

ストライプが岡山ビブレ跡地の土地売却、複合商業施設の建設計画から撤退 (fashionsnap.com)

で、これは2021年5月の発表である。

もちろん、「スラー」などの新規ブランドの立ち上げもあるが、小規模な展開しか見えないD2Cなどのビジネスモデルであるため、売上高648億円(2021年1月期)の売上高を支えるには物足りない。

ちなみに2021年1月期の決算内容は

売上高 648億4800万円(前期比23・53%減)

営業損失 23億500万円

経常損失 65億6200万円

当期損失 103億8400万円

と大幅減収赤字に陥っている。

株式会社ストライプインターナショナル 第26期決算公告 | 官報決算データベース (catr.jp)

 

ちなみに、自宅近所の在庫処分販売店に昨年12月に室内履き用にするための樹脂製裏ボアサンダル(790円)を買いに行った際、ニコロンが大量に入荷しており980~1280円で叩き売られていた。

 

さて、今後のストライプインターナショナルの動向を状況証拠から推測してみたいと思う。

通常であるなら、赤字転落しているのだから、さらなる不採算事業の停止と不採算ブランドの終了は避けられないことは確実だろう。むしろさらに積極的廃止を進めるだろう。個人的にはレンタルサービスのメチャカリは今後終了するのではないかと思っている。最近は話題に上ることも無くなったメチャカリなので、動静は不明だが、最後に報道された記事では「広報宣伝費を除くと黒字になった」と述べられている。ということは広報宣伝費を含むと良くても収益ゼロ、普通に考えれば赤字ということになる。

その後、飛躍的に会員数が増えたとか売上高が伸びたとかは業界内で聞いたことがないので、今も同じ程度だろうと考えられる。そのため、早晩終了するのではないかと思う。

あと、コエというブランドも終了するのではないかと思う。これも「売れている」と業界内で評判を耳にしたことがない。

コエとメチャカリは近々で終了すると当方は推測している。

 

では、黒字転換策、売上高回復策はあるのかというと、当方が見る限りにおいて2020年以降開始された新ブランドはD2C的なスモールビジネスばかりで、起爆剤とはなり得ないように映る。

「全部で10億円くらい売れてそこそこ儲かれば良い」というのであればそれはそれでありだろうと思うが、これまでの拡大志向と現在の企業規模から考えると、はっきり言って焼け石に水である。

 

ではどうするのか?

当方は、不採算ブランドと不採算事業を全て廃止し、黒字のブランド(当方は、アースミュージックとアメリカンホリックくらいだと思っている)だけを残して会社そのものをどこかに売却するのではないかと見ている。

先方にご迷惑をかけてはいけないので、名前を伏せるが当方よりも決算書や企業動向に詳しい方が昨年早々に予測されていたことであり、当方もその通りではないかと思っている。

理由は、2020年3月に各メディアで報道された石川康晴前社長のセクハラ疑惑である。

 

ストライプインターナショナル石川社長が辞任、セクハラ疑惑報道を受け (fashionsnap.com)

 

これはまだほんの2年前のことで、この時は今後どのような追及がなされ、どのような展開になるのかと見ていたが、ほどなく新型コロナ禍が拡大し、緊急事態宣言が発令され、それどころではなくなった。

ある意味で新型コロナ禍に救われ、言い方は悪いが「悪運が強かった」と感じてしまう。

 

とはいえ、この報道のダメージは今も残っており、同社の経営からは辞任したままである。しかし、株の40%を持っていると報道されており、大株主、オーナーであることは変わりがない。辞任後も恐らくは売却していないだろう。

辞任後の石川氏がどのように過ごしておられるのかについての報道はないが、報道されない程度には様々な活動をなさっているのだろうと思う。

これが60代、70代の高齢ならそのまま隠居されるだろうと思うが、昨年12月で51歳になったばかりなのと、これまでの同氏の野心的な動きを見ると、まだ隠居されるには早いと考えておられるのではないかと思う。(当方なら隠居してダラダラ暮らすが)

この手のセクハラ疑惑が完全に忘れ去られるには10年くらいは必要で、それを待っていると同氏は60歳となってしまい、何かをするには遅すぎるということになる。

となると、会社を早期に売却し、その資金で新たに事業を行うか、名前を出さない感じで新規事業に投資するか、という活動を行いたいと考えておられるのではないかと思う。

例えば50億円で売却できれば、同氏は40%の20億円を手にすることができ、100億円で売却できれば40億円を手にすることができる。200億円なら80億円である。

新規事業や新規事業への投資を行うには十分な元手だろう。

そんなわけで、今後5年以内には、不採算事業・不採算ブランドを完全終了させ、会社を売却するのではないかと推測しているので、動向に注目したい。

 

 

そんなアメリカンホリックの1080円のキャップをどうぞ~

この記事をSNSでシェア
 comment
  • kimgonwo より: 2022/01/13(木) 3:24 PM

    たしかにEM&Eの元気が無いのは気づいておりました
    天満のディスカウントショップで
    同社のブラウスとスカートのセットを 非常に安く購入し
    娘に郵送しましたが 非常に安かったのを記憶しています
    投げ売りだったのかぁ?

    学歴コンプレックスがあったのか
    地元の大学に何らかで入学したか何かを読みましたが…
    ブラック企業のような働かせ方と聞いてはいましたが…
    ブラックでセクハラなら コアな客層は敬遠するかもしれませんね

kimgonwo へ返信する コメントをキャンセル

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ