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南充浩 オフィシャルブログ

「素人マス層」のワークマンへの支持が高まりつつあると感じられた話

2022年1月11日 トレンド 3

洋服店に入るのは勇気が要るというのは、多分に事実である。

いわゆるブティック、セレクトショップ、高価格ブランド店は気軽に入店しにくい。入店客数も少ないので敷居が高い。都心の大型店ならまだしも、小型店ならさらに敷居は高くなる。

ユニクロのブレイク前からキャビン、鈴屋、鈴丹、リオチェーンなど低価格店は多々あったが、ユニクロも含めて低価格店がその時々で大いに集客できたのは、商品の低価格もさることながら、店舗の大型化とほぼセルフ販売に近い接客方式による気楽さにあった部分も大きいと考えられる。

で、98年のフリースブーム以降、2000年初頭にはその反動による売上高大幅減少があったものの、その後、低価格店で覇権を握ったのがユニクロだったといえる。

 

さて、ユニクロの国内売上高8000億円越えというのは、これまでの戦後アパレル史上では類を見ない巨大化で、まぎれもなく大成功といえるが、2021年から潮目が変わったと感じられる。あくまでも雰囲気の話だが。

ユニクロに限らず、低価格店を支持する消費者は当方も含めて、冒頭のような店に対して敷居が高いと感じる層である。中には衣料品に詳しい人・業界関係者も含まれているが、大部分は衣料品にはあまり詳しくない人、業界とは無関係な人である。

この人たちが、98年のフリースブーム以降、「ユニクロは良いわ」「ユニクロの商品はコスパが高い」と言い続けて売上高の拡大が続いてきたわけだが、そういう人たちは最近、ワークマンを支持するようになっている。

 

年頭雑感と昨年を振り返って ~ユニクロの勢いが無くなってきたと感じる話~ – 南充浩 オフィシャルブログ (minamimitsuhiro.info)

 

ここでも書いたが、正月に74歳の叔父と会った際、叔父は「ワークマンの靴下はユニクロよりも良い」と話していて衝撃を受けた。

この叔父は業界関係者でもないし、衣料品に詳しいわけでもない。普通の老人である。その老人が「ワークマンの方がいい」と言い出したところに、当方は衝撃を受けたのである。

20年前の「ユニクロは安くて良いわ」というムーブメントが、今、ワークマンに起きているように感じられる。

むろん、ワークマンの現在のビジネスモデルについては疑問点は多々ある。

 

1、フランチャイズばかりの運営でファッション分野でも通用するかどうか甚だ懐疑的である

2、作業服の商品企画サイクルは長く2~5年くらいはモデルチェンジしないが、カジュアルファッション分野でその売り方が通用するとは思えない

 

というのが、当方の持つ2大疑問点である。

この2点はいまだに解決される気配もないが、こと商品面のみに限って言えば、当方は、20年前の「ユニクロは良いわ~」というマス層のブームが現在はワークマンに起きつつあるように感じている。

 

12月は暖冬だったが、年末は冷えた。

年明けには東京都心でも積雪があった。関西は毎年1月9日~11日の3日間は「えべっさん」で盛り上がるが、9日・10日は異様に暖かかった。

 

 

 

まあ、なんだか寒暖の差の激しい冬という印象なのだが、年末年始の寒波で、ワークマンの2900円防水スノーブーツ「ケベックNEO」が完売してしまった。

ネット通販でも実店舗でも完売である。通常のアウトドアブランドやカジュアルブランドだと防水スノーブーツは安くても5000円くらいである。

それが2900円なのだから売れるのは当然だろう。

 

バイク用品をドライにレビューするこのYouTubeチャンネルでもワークマンの防水スノーブーツを褒めている。夏場のワークマンのバイク用プロテクター内蔵パンツは酷評していただけに、この評価は信憑性が高い。

 

 

 

バイクに乗っていて転んだときの防御性に関しては疑問符をつけているが、そもそもその用途は製造側は想定していないだろうから、通常の使用法ならそこは問題点ではない。保温性と防水性はその動画でも褒められているから、信用性は高いと言える

 

また、前回も書いたが、ウール100%の肌着が1枚1900円というのもワークマンが、ユニクロの+Sを大きく越えている。

こちらもさらに補足すると、ウールの靴下が2枚980円なのもワークマンが最安値ではないかと思う。

 

たしかに、ワークマンの衣料品はタウンカジュアルとして見ると微妙なデザインの品番も多々ある。

自分としても「これをカジュアルとして着るのはちょっと嫌だな」というも商品も多い。しかし、2900円のスノーブーツ、1900円のウール肌着、2P980円のウールの靴下、980円の綿100%ヘビーオンスTシャツなど、機能性と使用素材のクオリティ、価格の安さでは特筆すべきアイテムが登場し始めたことも事実である。

そして、当方の叔父のようなマス層の支持が厚くなり始めていることと合わせると、これまで肌着や靴下、一部の機能性商品をユニクロで買っていたマス層は、その部分をワークマンに乗り換える可能性がかなり高くなってきていると感じてしまう。

マス層のユニクロブームから20年強が経過し、同じ層が今度はワークマンを支持し始めていることを考えると、低価格高機能なデイリーユース品という市場ではユニクロ需要が2022年はワークマンに浸食・蚕食されてしまう可能性がかなり高まっていると感じられてならない。

繰り返すが、ワークマンのビジネスモデルは懐疑的に見ているが、低価格高機能商品群の中にはユニクロを遥かに凌駕する商品が出始めていることも確かであり、国内ユニクロの無敵感が薄れつつあると感じられる。

今後の両社の動向と店頭に注目したい。

 

 

ワークマンの書籍をどうぞ~ (ほんまにホワイトなのかどうかは知らんけど)

 

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 comment
  • BOCONON より: 2022/01/11(火) 1:31 PM

    揚げ足を取る気は毛頭ありませんが ...

    > 業界関係者でもないし、衣料品に詳しいわけでもない。普通の老人である
    > その老人が「ワークマンの方がいい」と言い出した

    それはむしろ普通の御老人だからこそ,という気味合いが強いように僕には思われます。いくらかこれに近い感じで。
        ↓        
    http://fashion-news.doorblog.jp/archives/10279227.html#more

    この手のファッションまとめブログの類を見ている限り,お若い人たちのワークマンに対する評価はまだまだビミョーな感じ。うちの近所にもワークマンはあるけれど、小さい店だしそれこそ作業用の服や靴を見に行くのでないとむしろ入りにくい。僕も大分前工場勤めしていた時の安全靴や母親のデイケア行く時用のスニーカー風な靴買った事があるだけです。

    と言って(南さんの住んでいる辺りはどうか知りませんが)衣料品を多く扱っている大きな店(ワークマンプラス? ワークマン女子?)で SC に入っていて女性でも気軽に入れるようなお店は東京でもかなり都心からははずれたところ,たとえばスカイツリーあたりまで行かないとなかったりする。
    まあ「通販で買えばいい」と言えばそれまでですが,僕などは「実物見た事はあんまりないけど何かと評判だからワークマンで買ってみよう」とはならないし,たぶん女性なら尚更でしょう。あんまり TVCM や雑誌などで「ワークマンでお洒落しよう!」なんて事もないし。

    いずれ僕は衣料品のたぐいは実物見ずにあれこれ言っても話が始まらないと思うので,今度南砂町駅前のSC内のワークマンプラスを(埼玉県から小旅行がてらw)見物に行ってみようと思っています。

  • ヒデ より: 2022/01/11(火) 2:34 PM

    確かに、ワークマンには勢いがあると思います。うちの地元にはプラスを含めて5店舗くらいありますが、どこもお客が入ってますね。うちのかみさんも含めて、40代以上の女性数名に話しを聞いたところ、ものによってはユニクロ、GUよりも作りが良く、値段も安いと高評価でした。ユニクロは、コラボ意外の商品の質がまちまちであり、中には良いものもあるが、?なものも多く、コラボも値段に割にイマイチだったりすると言うのが感想。かみさんはワークマンの靴やパンツを愛用しています。僕は基本的にファストリの商品は買わない主義なので、靴下、Tシャツ、下着などの実用品は、ワークマン、パシオス、ドンキなどで買います。

  • でこぽん より: 2022/01/16(日) 3:28 PM

    ちょうどワークマンプラスで服を買ったのでその話をOLの友人や主婦の友人にしたところ、「最近ワークマンいいっていうよね、私も行ってみたい」と興味津々でした。ふつうの東京郊外の繁華街で服を買っている層の人たちです。ワークマンの評判は確実に浸透していると思います。

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