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南充浩 オフィシャルブログ

年頭雑感と昨年を振り返って ~ユニクロの勢いが無くなってきたと感じる話~

2022年1月5日 ユニクロ 3

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

今回は年初の雑感でも。

国内でいうと、最大手のユニクロだが、昨年下半期くらいからちょっと今までの無敵状態ではなくなってきたと感じる。2022年の経過如何では、2023年以降国内売上高がコロナ禍原因以外で減少に転じる可能性も秘めていると感じる。

理由はいくつかある。

1、通常ラインのベーシック偏重による陳腐化

2、コラボラインの不振

3、強力なライバルの成長

あたりではないかと思う。

まず1だが、ことメンズの通常ラインに限って言えば、2020年秋物以降、ベーシック偏重が強まっており、わざわざ買わなければならない物が減った。

せいぜい、色違いをもう1枚か2枚買おうかという程度しかない。

当方でいうなら、ハイブリッドダウンパーカの黄茶色と赤を持っているから、黒と紺を買おうかというくらいである。

2021年の商品は一層、それが顕著になり、今までと比べると買う枚数が減った。

ジーユーにもその傾向が出ており、色のバリエーションが減っている。

 

次に顕著だったのが2である。

2020年秋冬は通常ラインが陳腐化したと言っても、+Jで大いに盛り上がり、流石の人気ぶりを感じさせた。もちろん、残っていた商品もあるが、セーター類・シャツ類くらいでそれも春先には完売していた。

しかし、2021年は異なる。

新コラボとして、ホワイトマウンテニアリングが昨秋あったが、これが大量に店頭に残っており、大幅値下げされている。

ボアフリースのプルオーバーは現在1990円に、前開きのボアフリースは2990円にまで値下がりしている。店頭の消化次第ではまだもう一段階下げざるを得ないだろう。

またハイブリッドダウンパーカは5000円引きの7990円にまで値下がりした。黒・オリーブ・明るいネイビーの3色展開だったが、7990円に値下げしてようやく年末には黒のM、Lサイズが完売した。しかし、年末時点でオリーブと紺はまだM、Lサイズが豊富に残っていた。

唯一値下げをせずに定価7990円のまま踏ん張っているのは、襟なしのウルトラライトダウンだけである。

 

そして、満を持して発売した+Jである。2020年秋の熱狂の再来かと期待されたが、2021年モデルは大きく値崩れしている。特に2020年モデルと異なるのは、防寒アウター、アウター類が豊富に残っており、大幅値下げされている点である。

 

 

+Jは恐らく、2020年よりも生産数量も増やしたようだが、それが裏目に出てしまった形だろう。さらにいえば、売れ行きも2020年より鈍いのでその相乗効果が生まれていると考えられる。

2万円台半ば~3万円弱の防寒アウターは軒並み値下がりしており、ほとんどが9990円である。まだPコートだけが1万円引きの14990円で踏ん張っているが、それ以外の防寒アウター類・アウター類は9990円である。特にひどいのが定価29990円のダッフルコートが元日から2万円引きの9990円にまで値下がりした点である。

敗因はさまざまあろうが、値段設定の高さと、高い割にその良さが実感しにくかった点ではないかと思う。

そもそも、ユニクロで3万円のコートを買いたい人がどれほどいるのだろうか?ほとんどいないのではないだろうか。それでも「商品の良さ」が認められれば売れる。2020年の+Jはメルカリで5万円くらいで転売されていたコートもあった。その転売が売れたのかどうかはわからないが、まず店頭ですぐに完売してしまったから、転売にも興味は集まっただろう。

しかし、今回のは店頭では完売せずにずっと豊富にそろっていたわけだから、転売も不発に終わっただろう。何せクソみたいな転売を買わずともユニクロ店頭に行けば値下げ品が買えるのだから。

ホワイトマウンテニアリングと+Jの不発ぶりを見ると、ユニクロとのコラボは必ず大人気になるとは言えなくなってきていると感じられる。

今春以降も様々なブランドとコラボが発表されると思うが、そろそろコラボ商品への取り組み方を考える必要が出てきているのではないか。

21年の+Jを大絶賛していた業界人は、大衆の好みと業界人の好みが隔絶していることを自白してしまったといえる。

 

 

最後に強力なライバルの成長である。これは当方はワークマンを挙げたい。

今年の正月、コロナが落ち着いているので2年ぶりに叔父の家での宴会があった。その際、74歳の叔父が「靴下はユニクロよりもワークマンの方が良い」と言っていて驚いた。

この叔父は衣料品業界人でもないし、特別に衣料品に詳しいわけでもない。いわゆるマスの老人である。

そのマスの老人が「靴下はユニクロよりワークマン」と言い出しているのだから、当方はかなりユニクロの危機を感じた。

ユニクロが強かったのは、特に衣料品に興味のないマスの老若男女をほとんど取り込んだからだ。そのマス層がワークマンを評価し始めている。

ワークマン自体にはまだ未知数が多い。例えば、このままフランチャイズ形式だけで店舗数を増やすことが可能なのかどうなのか、また商品企画でも、カジュアルユースを増やしてこれまで通りの作業服サイクルである2~5年同じ物を売り続けることができるのか?その辺りは極めて不透明だと思っている。

しかし、商品そのものは安さと機能性、一部品質でユニクロよりもマス層で評価が高まりつつある。

当方が注目しているワークマンの商品は、ヘビーオンス綿100%Tシャツ(長袖・半袖)と、ウール100%肌着である。

この2つは間違いなくユニクロ、ジーユーよりも高品質で低価格である。

作業服というと合繊素材が主流だが、そのワークマンが綿100%・ウール100%で高品質低価格品を作り始めていることは何とも面白い。

ユニクロの綿100%Tシャツは年々生地が薄くなっている。ユニクロUですら薄くなっていると感じる。無地のヘビーオンスTシャツではワークマンに足元にも及ばない。ワークマンはそれで980円である。ユニクロUよりも安い。

さらに業界の一部を騒然とさせたのはウール100%のパック入り肌着である。1枚1900円。ユニクロの新スポーツラインの+Sはウール・合繊混で2990円だからワークマンの低価格高品質が際立つ。

年末ウール100%肌着を見になんばシティのワークマン女子に行ってみたが、売り切れで一部商品しか残っていなかった。

販売体制や商品企画サイクルには大いに疑問を感じるが、こと商品面とマス層からの支持においては、ワークマンは2022年以降、ユニクロを相当蚕食するのではないかと見ている。

2022年のユニクロのやり方次第では、2023年以降、失速が顕著に表れる可能性は低くないと思っている。

 

 

正月なのでとりあえず福袋をどうぞ~

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 comment
  • BOCONON より: 2022/01/05(水) 7:06 PM

    明けましておめでとうございます。

    +J について言えば,ダッフルコート以外もオーバーサイズだらけなのが敗因だと思いますね。以前お書きになっていたように,GU などもオーバーサイズだらけ。
    このところ無印良品も GU もユニクロもどうもやる事がヘンですね。民工服 or 北の将軍様的カジュアルセットアップとか,同じくパジャマにしか見えない男女兼用服とか,オーバーサイズ服とか「そんなものを着たがる頓痴奇が一体どこにおるんじゃあっ!」的な。

    とは言え僕の住んでいる地方都市では,事実上お若い人たちには GU やユニクロしか選択肢がないようなものだから,オーバーサイズについて言えば,売る側も内心「お前らはこれしか買えないんだから文句言わずに買え。どうせみんな着るようになればこれがカッコいいって事になるんだから」と思っているように見える・・・まぁそれはうがち過ぎとしても,お若い人たちもまだ戸惑いがあるようで,今のところ着ている人はまだあんまり見ませんね。+Jは時代の先端を行きすぎたのかも知れない(笑)。

    いづれ僕はどうせそんなものは買う気はないのでどうでもいいようなものですが,オーバーサイズ服なんて奇体なシロモノは流行ってもはやらなくても正月早々いくぶんげんなりする話であります。

    • とおりすがりのオッサン より: 2022/01/06(木) 12:46 PM

      服装にそれなりに気を使ってる知り合いの30代女性は「肩が落ちるの嫌なんじゃぁ!」とオーバーサイズだらけなのを嘆いていましたw

  • ヒデ より: 2022/01/06(木) 8:40 PM

    確かに、今回の+Jはかなり酷かったですね。うちのかみさんがダウンを見たいと言うから、ついて行ったら、素材もデザインもほんとに安っぽい。で、メンズのpコートにしようか迷ってたので止めました。あれくらいのものは、どこにでもありますよ。僕ならショットのpコートを程度の良い古着で半値以下で探します。ちなみに、かみさんにはAdam et Rope の生地と仕立ての良いpコートの未使用品を、リサイクルショップで1600円で見つけてあげたので、一件落着。一万円以上節約できました。😁

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