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南充浩 オフィシャルブログ

ネット通販の成長を阻害する嘘表記

2021年12月23日 ネット通販 3

ラニーニャ現象の発生によって、12月、1月は寒くなると言われていた。

たしかにここ5年間と比べると12月23日現在は寒いと感じる日が少し増えた。とはいえ、10年前、20年前と比べるとまだまだ暖かい。

12月23日現在までの大阪市の寒暖で言うなら、寒い日は確かにあったが、2~3日で終わり、また最高気温12度くらいに戻る。

長期予報でも26日の日曜日が最高気温5度とか3度とかの寒い日になるようだが、その寒さも28日までで29日からは最高気温11度くらいへ戻るとされている。

昔に比べて寒い日が長続きしなくなった。昔はこの寒い日と暖かい日の日数が逆だった。基本的に毎日寒くてたまに2~3日暖かい日がある、という感じだった。

さて、基本的に自宅にはエアコンと床暖房しかない。しかし、どちらも電気代が高いのと、自分の好む暖かさではないので、ほとんど点けない。

座って作業をする際、その周りだけ暖かければそれで事足りるので、電気ファンヒーターを買おうと思い立った。こちらの方が電気代も安いだろうし。

近所のジョーシンで下調べをすると、だいたい2万円前後ということがわかったので、後はどれだけ安いのをネット通販で探せるかである。

AmazonとYahoo!ショッピングで探したが、正直なところ、Amazonは胡散臭い聞いたこともないようなメーカーの商品ばかり表示される上に、その商品のスペックはほとんど書かれておらず閉口した。

Yahoo!ショッピングの出店者も似たようなところが多かったが、Amazonに比べるとパナソニックとかシャープとかコイズミとかそういう名の通ったメーカーの商品が多く、安心感があった。

結局、Yahoo!ショッピングでコイズミの高さ1メートルくらいある大型ファンヒーターを11000円くらいで買った。

 

で、この構図は衣料品やファッション雑貨でも同様で、Amazonは名の通ったメーカーやブランドの商品もあるが、聞いたこともないような中国っぽい名前のメーカーが多数表示される。

Yahoo!もそういう側面はあるのだが、それでもナショナルブランドや著名ブランドを扱っている出店者が優先的に表示されていてまだ安心感があると感じられる。

ちなみに、一昨年からネット通販でリーボックのスニーカーの値下がり品をよく買っているが、そのほとんどはYahoo!ショッピングである。

 

特にひどいのは「ダウン」「本革」「カシミヤ」などの素材で検索したときである。

これは両方ともに酷いが紙一重でYahoo!ショッピングの方がマシだと感じる。

ダウンで検索すれば、有象無象の怪しげな中国風社名のダウン風ジャケット、ダウン風ベストが上位にズラっと並ぶ。

商品詳細を表示して「中綿:ポリエステル」とか「中綿:ポリエステル100%」とか書いてあるのはまだマシで、何も書いていない商品もAmazonでは見かけたことがある。

中綿ポリエステルはダウンじゃねえよ!

 

本革も同様である。本革なのにスペック表には「合皮」と書いてあることなど珍しくない。さらにいえば成分が書かれていないことも珍しくない。

この中綿ポリエステルなのにダウン、合皮なのに本革というのは、いわゆるファッションインフルエンサーも後押ししているようなところもあり、彼・彼女らは中綿ポリエステルとダウン、本革と合皮を区別せずにブログやSNSで拡散している。その手の怪しげなブランドと契約しているというビジネス上区別しないでいるのか、それとも知識がないから区別できないのか。

 

カシミヤについては、2007年頃にユナイテッドアローズなどの有名セレクトショップ何社かが、カシミヤ0%の商品をカシミヤ表記していて問題となった大事件があったため、それ以降はあまり無くなっていたと思っていたが、そうでもなかったようだ。

不使用なのに「カシミヤ」、3社公表 消費者庁が注意喚起:朝日新聞デジタル (asahi.com)

こちらは契約しないと続きは読めないのだが、Yahoo!には全文転載されているのでそちらも貼り付けておく。

通販の安い「カシミヤ100%」にご用心 消費者庁が3社の社名公表(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース

消費者庁によると、3事業者は「teamma」「ailan国際貿易」「Hoomoi JAPAN」。「カシミヤ」「カシミヤ100%」などと表示して、ストールを1400~2400円程度で販売していた。同庁が実際に購入して、素材を分析したところ、いずれも「ポリエステル」や「レーヨン」などが使われ、カシミヤは含まれていなかったという。

とのことで、14年前の事件の記憶を引き継いでいない大馬鹿者がやらかしたのだろう。

 

それよりも恐ろしいのは次の一文である。

同庁はアマゾンなどの協力を得て、事業の代表者や所在地などの特定を試みたが、できなかったとしている。

アマゾンは、代表者や所在地のわからない企業の出店・出品を許しているのだろうか?もしそうなら大問題で、カシミヤ偽装表記どころの問題ではない。

消費者庁はこの3事業者に対しての追及と同時にAmazonに対しても追及すべきだろう。

いずれにせよ、出店者・出品者はAmazon上にせよ、Yahoo!上にせよ、少しでも上位に表示されるようにダウン、本革、カシミヤ、レザーなどのキーワードを登録しているのだろうと考えられるが、消費者からすると迷惑なことこの上ない。

さらにいえば、目先の売上高を稼ぐためにこのような嘘表記を行い、知識の無いインフルエンサーを登用することは、ネット通販の信用性を毀損し続けていることにほかならず、ネット通販の成長性を却って阻害している行為だということを強く自覚すべきである。

 

 

「素材構成: 100% 合成繊維(カシミヤ混紡)」という怪しげな表記の3260円の「カシミヤストール」をどうぞ~

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2021/12/23(木) 11:41 AM

    「中綿ポリエステルはダウンじゃねえよ!」ワロタw
    Amazonのサイトはホントダメですよね。商品検索しても、最初に出てくるのは「スポンサー商品」ですし、商品写真も説明も見にくいですし。でも、そもそもAmazon自体が怪しいって感じもあります。本社というか代表の電話番号さえ良く分からないですし。

    以前、私は某有名経営コンサルタントから「お前の書いたAmazonの書籍レビューで社会的評価が低下した」と訴えられましたが、そのコンサルは訴える前にAmazonへ私の個人情報開示を請求していました。その時にはAmazonから私のところへ「プロバイダ責任制限法にもとづくウンタラカンタラ」という封書が来ましたが、その時のAmazonの住所はなぜか北海道でした。変な会社です、Amazon。

  • sakeparadise より: 2021/12/23(木) 12:39 PM

    カップ焼きそば
    フライパンなどで炒める(焼く)から焼きそば であって、湯でもどしただけのカップ焼きそばは まぜそばソース味 あたりが本来正しい名称では?
    クレームが無いのは 名称が一般化しているからなのだろう。
    中綿ダウンなども使い続けるられれば 一般化するかもしれない

  • 匿名さん より: 2021/12/23(木) 1:11 PM

    楽天も相当ひどいもんですよ。サイズ書いてないことや素材が明記されてないこと多数、○○使用と書いてあるけど問い合わせたら『それは使っておりません。間違いを教えてくれてありがとうございます。』と返信が来て商品ページを削除するなど。

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