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南充浩 オフィシャルブログ

最近「N+」の存在感が無くて存在すら忘れ去っていたという話

2021年12月22日 企業研究 1

全ての企業の業績を逐一追跡することは大変な手間暇がかかるため事実上不可能に近い。

そのため、メディアの報道というのはそれなりの価値がまだある。しかし、メディアというのは公共事業ではなく、営利事業に過ぎないので、メディア自体が「儲かる」「儲けにつながる」と考えたこと(その考えが適切かどうかは別)しか報道しないということも忘れてはならない。

そのため、報道しても儲けにつながりにくいと判断すれば報道しない自由も平然と行使する。

最近メディアですっかり見かけなくなったのが「ニトリ」関連の報道である。

10年くらい前から毎年業績を伸ばしていたニトリはデフレの勝ち組として報道され続けてきた。2020年はコロナ禍でも業績を伸ばした施策が続々と報道されていた。

ところが、2021年になったとたんニトリ関連の報道は激減しているように感じる。

もちろん、このブログの読者には、当方などよりも数段優れたウォッチャーも多数おられるだろうからご存知だろが、ニトリは2021年に入って月次売上高の前年割れが続いている。

デフレの勝ち組にもついに異変が起きたといえる。

前年割れがすぐに経営悪化や経営破綻につながるものではないということは言うまでもないが、ニトリの無限成長にも限界点が見えてきたのではないかと当方は感じている。

2020年のコロナ需要の反動もあるが、前前年割れ(要するに2019年実績割れ)している月も手始めているので、単なるコロナ需要の反動だけではないと思う。

 

ニトリのコロナ特需に異変、次の勝ち組に名乗り出た「意外な小売り企業」は? | コロナで明暗!【月次版】業界天気図 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

 

【ニトリの国内既存店売上高(前々年同月比)】
 21年6月:117.2%(17.2%増)
 21年7月:94.1%(5.9%減)
 21年8月:93.7%(6.3%減)
 21年9月:98.2%(1.8%減)

 

となっていて、10月度も前前年比は約15%減となっている。(当方計算による)

11月はニトリの公式サイトの発表では「11月度単月の既存店売上高前々年比(曜日調整なし):105.8%」となっており、2019年実績をクリアしているが今後大きな伸びは無いのではないかと思う。

こうしてみると、大規模な成長を続けるためにはそろそろ次の施策が必要だと考えられる。

 

ちなみに当方はニトリをほとんど利用したことがない。

中型・大型家具は買い換えたことがない。ボロボロのズタズタになっても使い続ける。理由は別に客を自宅に呼ばないから、である。

そういう人間なのでこれまでのニトリは一体何が支持されて好調だったのかさっぱり理解できない。

通販サイトを見ると、こまごました日常雑貨や一部薬剤などが多数並んでいるので、その部分をデイリーに使っている人が多かったのではないかと推測するのだが、この部分は当方にとっては100均とドラッグストアがあれば、ニトリは不要なのである。

で、先に挙げたダイヤモンドオンラインの記事でも100均大手のセリアの業績が堅調なことを伝えており、前前年比もプラスを続けている。

 

【セリアの国内既存店売上高(前々年同月比)】
 21年6月:102.1%(2.1%増)
 21年7月:103.9%(3.9%増)
 21年8月:105.1%(5.1%増)
 21年9月:100.0%(0.04%増)

 

これはあくまでも消費者としての感想なのだが、ダイソー、セリア、キャンドゥなどの100均大手があれば、日常雑貨はほとんどが事足りてしまう。

10年前までの100均は安かろう・悪かろうだったので、全く利用しなかったが、5年くらい前からそんな当方でも100均を利用している。100均の商品やディスプレイは年々向上しており、それこそ「お、値段以上」という物ばかりになっている。

そして日常雑貨品はニトリよりも安い。

ニトリの既存客が100均大手各社にだいぶと食われているのではないかと感じる。100均には薬剤も多数売られていて、この部分も食われているのではないだろうか。当方も毎年の年末大掃除には重曹とクエン酸を100均で購入している。

 

世の中に既存路線のままで無限成長できる企業も分野もないというのが当方の考え方だが、ニトリの既存路線では国内はそろそろ飽和点に達しつつあるのではないかと思う。また日常雑貨・薬剤では100均大手各社に蚕食されていると見ている。

となると、さらなる拡大を目指すには新分野へ進出するほかない。

それが直営アパレル店「N+」の開始だったのではないかと、今にして思う。

N+の出店が開始されたのは2019年3月だから、タイミング的にも適合する。

現在のところ目標通りに19店舗の展開となっているが、2019年・2020年に比べて、メディアでの報道が激減しており、ネットの情報洪水に日々晒されているとN+の存在を忘れかけてしまうほどである。というか、ここ半年くらいは当方の頭の中からN+の存在は消え去っていた。

ただ、新規参入者という割にはN+にはアパレルとしての新機軸がほとんどない。

激烈に安いわけでもないし、激烈にファッション性が高いわけでもない。激烈に機能性が高いわけでもない。

普通の安いレディースアパレルなら、別にN+でなくても「パレモ」でも「ハニーズ」でも「ベルーナ実店舗」でも「コックス」でも構わない。というか、それらと何が違うの?という話しである。

だから特筆するほど業績も伸びていないと考えられるし、報道する価値もないということになってしまうのだろうと思う。

 

今の路線のままならN+は当初期待されたようなビッグブランドにはならないだろうし、そのうち何年か後にはひっそりと終了して無くなるか、他社に売却されるかで終わってしまうのではないかと思う。

やっぱりアパレルビジネスは簡単に参入できるものの、売れることは簡単ではないということに尽きるだろう。

 

そんなニトリの商品をどうぞ~

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 comment
  • とおりすがりの元・服売り より: 2021/12/22(水) 4:14 PM

    自分はニトリをどんな時に使うか?と思った時に思い返すと、100均ではギリギリ売ってなさそうなものを買ってることに気付きました。
    家にあるものだと、珪藻土バスマット、4段くらいのラック(シューズラックとして)、折りたたみ椅子(スツール)、枕でした。
    ミニマリストになるべく近づけたいので、家にある家具は机と椅子だけです。
    別にニトリでないと困るものではなくて、無印良品でも代用が効きそうです。

    N+の服をチラッと見てきましたが、デザインもとてもシンプルですし、N+である必要性?と感じました。
    少なくともニトリ店内に展開するような形じゃないと、シナジーが生まれないような気がするのですが、なぜN+だけで出店してるんでしょうね…?

    そいえば、これはMBさんが言ってましたが、「Instagramが定着して、写真映えという文化が生まれた。装飾がないと写真映えがしない。そのため、アパレルも小物が増え、デザインが入ったものが増えてきた」とのことです。
    無印良品やニトリでは飾りがなさすぎて支持されなくなってきたのかなぁ、となんとなく思いました。

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