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南充浩 オフィシャルブログ

価格の上下動は需要と供給のバランスで成り立っているということを再認識した話

2021年11月30日 お買い得品 3

人気ブランドは置いておいて、プチプラブランドやショッピングセンターやファッションビルに入店しているようなマスブランドでは、洋服の価格低下は止まらないと感じられる。

もちろん、定価を引き下げているブランドばかりではなく、それなりに維持しようとしているが、結局は回転率が悪いのか、夏冬のバーゲンやブラックフライデー、ハロウィンなどとは関係なく、日常茶飯事的に値下げセールを開催しているブランドも多い。

ただ、体感的に言えば今秋のユニクロ、ジーユーはこれまでのような破壊的な投げ売りまでの値下げをしなくなっていて、いろいろと引き締めをしているのだろうと思うが、それにつれてユニクロ、ジーユーでの買い物は減った。いろいろな人から批判されることもあるが、安い服でないと買う気がしないという性分なのでそれを矯正しようとは思わない。

一方、定価を引き下げたはずの無印良品やGAPは、これまで通り値下げセールをしているので、よほど売れ行きが悪いのだろうと思って見ている。セールの抑制とはなんだったのだろうか。

また、復活したレディースブランド「クリアー」なんてコロナ禍以前から、定価で販売しているのを見たことがなく、常に値下げセールを行っていて「なら最初から安値で売ればいいのに」と思っていた。現在、実際に教え子が「クリアー」でアルバイトをしているのだが、その生徒も「定価で販売されてるのを見たことがないです。ブランドとしてヤバくないですか?」と尋ねていた。当方は「明らかにヤバい」と答えておいた。

最近の燃料の世界的高騰や、原材料費の値上げなどで、洋服の製造加工業界隈では「値下げどころかこれ以上の価格維持は不可能、値上げせざるを得ない」との声で溢れている。

このままの水準が続くと、衣料品の店頭価格も上げざるを得なくなるだろうが、値上げすると恐らくは売れ行きが鈍るので結局は値下げ販売することになり、ブランド側の収益は悪化して、悪循環スパイラルに陥るだろうということは目に見えている。

ここから脱却する方法は

 

1、今のブランドの顧客に「高くても欲しい」と思わせる商品、仕掛けを作ること

2、商品の供給量を減らしてセール待ちの客(例えば当方)に行き渡る前に完売させること

 

という2つの方法しかないだろうと思う。

具体例は実務に携わっていない当方などよりも、日々実務に励んでおられる皆さんの方が考えつきやすいだろうと思う。

 

洋服においては人気ブランド以外に店頭販売価格の維持ができる未来は見えないのだが、コロナ禍以降、一転して価格が上昇しているのが、ガンダムのプラモデルである。

異変はちょうど昨年春にコロナ禍が始まったころだった。それまで25%オフは当たり前、機種によっては4割引き以上でAmazonで買えたガンプラが定価でないと買えなくなり、みるみるうちに憎き転売ヤーのマーケットプレイス出店によって値上がりして行った。

愛用している近所のジョーシンならいつでも2割引きで買えるのでそちらで買うようになったが、同じように考える消費者、転売ヤーも多く、家電量販店の店頭でも品薄になり始めた。

今では、ガンプラの新製品は発売日に開店前から並ばないと買えない状況で、人気機種だと入荷数に対して並んでる客が多いので、並んでも買えない状況にまで陥っている。

店頭の陳列量も毎月減っていき、恐らくは入荷数が少ない割に購入者が多い状態が続いており、10月以降はスカスカ状態となっている。

 

1980年にガンプラブームが起き、小学生がプラモデル店の前に並んでも買えなかったということがニュースになったが、実は今は41年前以上のガンプラの品不足となっていて、失敗案件も増えつつあるが依然として高額転売ヤーも跳梁跋扈している。

 

先日、ガンプラのメーカーであるバンダイはガンプラの生産量を1・4倍にしたという増産を発表したが、今のところその効果は店頭では見られず、むしろ店頭はスカスカになるばかりである。

実は、ガンプラに関しては中国での売れ行きも好調なことから、バンダイは中国への出荷の方に回しているのではないかという噂もある。

それは単に中国市場重視ということだけでなく、中国通の人によると、中国で欠品が続くとあっという間にコピー商品の偽物が出回り、本家バンダイが駆逐される可能性が高いからだということもあるようだ。

 

で、何が言いたいのかというと、ガンダムという強力なコンテンツをバンダイが独占しているという特殊な背景があるとはいえ、この1年半の間における価格上昇は凄まじいということである。

供給量が減ればいかに商品価格は高騰しやすいかということが目の前で起きている。

もちろん、ガンプラに興味のない人にとっては初耳なのかもしれないが、毎月1個か2個のガンプラを組み立てることが唯一の娯楽である当方にとってはかなりの死活問題である。

 

洋服の場合、著しく供給量を減らせば、恐らくたちどころに競合ブランドに客を取られるという懸念があるので、それはやりにくいのだろうが、それこそ精緻なMDによって、少しずつ減らして投げ売り量を微減させるくらいのことはできるのではないかと思う。

何より、ガンダムというコンテンツを40年以上続かせ、それなりのファンを獲得し続けたというバンダイの取り組みは、ブランド作りという点では参考にできる部分があるのではないかと思う。

 

今回は、いまだにHGCUナイチンゲールとRGハイニューガンダムとHGUCクスィガンダムの人気三機種が買えないでいることへの愚痴と感想である。

 

 

憎き転売ヤーに価格を吊り上げられたHGUCナイチンゲールをどうぞ~

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2021/11/30(火) 11:55 AM

    「定価で販売されてるのを見たことがないです。ブランドとしてヤバくないですか?」
    普通に景品表示法違反案件では?w

    なんかプラモはガンプラ以外も転売ヤーに買い占められてたりするようで、ドラグナーのプラモでさえ値上がりするとか何とか。最近良く見てるYouTuberの動画では、コトブキヤの美少女プラモも瞬殺だそうですw

  • とおりすがりの元・服売り より: 2021/11/30(火) 3:58 PM

    コロナ禍以降、いろいろなものの価格変動が起きてますよね。
    自分の意識しているもので言うと、グラフィックボードです。
    グラフィックボードとは、PCに付けるパーツのひとつで、グラフィック処理専門のCPUのことです。

    コロナ禍以降、リモートワーク等での半導体需要の急増、仮想通貨マイニング用途での買い占め、ステイホームでのゲーム需要の増加などが重なり、価格が跳ね上がってます。
    特に一番需要が大きいミドルレンジ性能の価格がひどく、2倍程度の3~6万円が今の相場です。
    以前は、ゲーミングPCはうまく組めば新品7万円程度で組めるという印象でしたが、この価格上昇のせいでどうあっても10万円コースになってしまうのが現状です。
    価格が高い=人気がある、つまり業界としては安泰とも言えるのですが、敷居が上がってしまってるのは事実なので、複雑な気分です。

    高いなとは思いつつも、先日新しいグラフィックボードを買いました。
    けっこう長く価格が下がるのを待っていたのですが、もう2年近くこの状況ですので、もう下がらないのでは?と判断しました。
    業界が盛り上がらないよりはマシ、と思うしかなさそうですね。

  • sakeparadise より: 2021/12/01(水) 11:54 AM

    日産パオ 1989年発売当初からレトロカーが売りだった。3〜4前から購入を考えたが、走行距離5万Km以下は90万位したので、価格が下がってからと躊躇したのが間違いだった。現在 走行距離7万Km位で110万超え。中古車なので供給も不安定。30年前の性能劣化中の車の価値が何故上がる?

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