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南充浩 オフィシャルブログ

マニアがジャンルを潰す?

2021年9月1日 トレンド 3

先日、こんな記事が掲載された。

ぜんぜんジャンルは違うが「なるほどなあ」と強く感心させられた一節があった。

ケンコバ「お笑い界は破滅する」 雨上がり決死隊の解散翌日に語った危機とは?:マピオンニュース (mapion.co.jp)

 

ハッキリ言って、題材にはまったく興味がない。お笑いは嫌いではないが、ここ10年間くらいはお笑い番組は見ていないし、お笑いタレントにも興味がない。

 

幼少期から30歳くらいまではお笑い番組をよく見ていた。

小学生のころは、土曜日は午前中で授業が終わってから家で毎週吉本新喜劇を見るのがお決まりの生活スタイルだった。

関西では当時は土曜日13時くらいから毎週吉本新喜劇が放送されていたと記憶しているのだが、高校生くらいになると放送時間帯が少し夕方に移動したと記憶している。

なぜなら、高校生になって土曜日に授業が午前中で終わって帰宅すると午後14時すぎになっていた。にもかかわらず、吉本新喜劇を毎週見ていた記憶があるからだ。

ちなみに当方は陰キャでやりたいこともなかったため、高校3年間は帰宅部に所属していて、授業が終わると毎日まっすぐに帰宅してテレビ(アニメと吉本新喜劇)を見るという生活スタイルを貫いていた。

まあ、それくらいお笑いは好きだったが、30歳を過ぎたころから興味が薄れ、今に至るというわけである。

 

閑話休題

 

で、お笑い業界が滅びようがコンビが解散しようが、今の当方にとってはまったく興味の対象外で、どうなったってかまわないのだが、気になった一節というのはここである。

 

「これまたプロレス界からの引用になっちゃいますが、『マニアがジャンルを潰す』という言葉があるんですよ。僕もそのマニアの一人でした。先鋭化し過ぎて、何か、認めなくなってくるんですよね。『こんなの甘い』と。そんな状況になってくる。プロレス界が一回破滅する直前に、前田日明さん(元プロレスラー。現「The Outsider」プロデューサー)とかがやり始めたのがプロレスや格闘技を語ること。あれが発端でした。それと今のお笑い界が非常に似ています。正直、本当に俺はビビっています」

 

ここである。

お笑い業界以上にプロレス業界にはもっと興味がない。

だから業界の動向とか行く末なんていうのはどうでもいいのだが、「マニアがジャンル潰す」という部分である。これはプロレスやお笑いに限らず、どの分野にもあることではないかと強く感じられた。

 

また、お叱りを受けるかもしれないが、例えば和装業界だ。

俗に「着物警察」と呼ばれるほどのうるさ型のベテラン勢が多く、新規ユーザーの着こなしにケチをつけてくることで有名である。

仕事なら厳しく指導されても我慢できるが、趣味のファッションの一つとして着物ユーザーになる初心者にとっては鬱陶しいことこの上ないだろう。

入門のハードルを上げすぎると、新規ユーザーは寄り付かなくなり、業界は縮小してしまう。和装業界の規模縮小は、入門ハードル(商品単価の高さも含めて)を上げすぎたことも要因の一つではないかと当方は思っている。

 

また、洋装業界も同様ではないか。

衣料品業界人が思っているほど、一般大衆は衣料品にもブランドにもファッションに興味を持っていない場合が多い。また興味はあるかもしれないが、知識量は格段に低い場合も珍しくない。

そのため、衣料品業界人が注目する話題は、一般大衆にとってさっぱり縁遠いということが多くなってしまう。

だから、業界人が発信する内容にはあまり興味を持たれず(PV数が伸びない、動画再生回数が伸びない)、ユニクロやジーユー、ワークマンの商材紹介の方が圧倒的にPV数が伸び、動画再生回数が伸びるということになるのだろう。

ちょっと目端の利く人間なら、PV数と動画再生回数を稼ぎたければ、ユニクロ、ジーユー、ワークマンばかり取り上げることになる。

メンズ衣料は特にマニアックになりやすい。

特にメンズスーツ、ジーンズ、あたりはマニア層が多い。

もちろん、そういう深い世界があっても全く構わないが、それが前面に押し出されてくると、初心者からすると「うわ、めんどくさ」ということになる。

ファッションに関してマニアでない当方も、押しつけがましいファッションマニアはめんどくさいと感じられてならない。(押しつけがましくないマニアは好感が持てる)

 

何の分野でもそうだが、「入門するときから最高の本物を手にせよ」という意見は昔からある。たしかに一理あるが、その「最高の本物」があまりに高額すぎたり、その規範が強すぎたりすると、やっぱり初心者は二の足を踏んでしまう。

強すぎる規範にめんどくささを感じたり、高額だから道具を買うことをあきらめたり、という感じになる。

 

先鋭化し過ぎて、何か、認めなくなってくるんですよね。『こんなの甘い』と。そんな状況になってくる。

 

という一節があるが、これも洋装衣料品にも当てはまるのではないかと思う。過去に様々な〇〇ブームというファッションブームがあったが、末期はどんどん「先鋭化」して、「こんなの甘い」という空気になっていたように感じる。

ビンテージジーンズブームとかクラシコイタリアブームなんかはその典型だったのではないかと思う。

 

個人的には、何事においてもマニアはマニアとして淡々と楽しめば良いと思っている。しかし、衣料品業界のマニアはマニアックが大衆化することを理想としているように感じられる。そのあたりがさらに大衆とのギャップを深めてしまい、今の結果になっているのではないかと、個人的には感じている。

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2021/09/01(水) 4:31 PM

    うちの妹(40歳、見た目30歳w)は、ヤフオクとかで安く着物買って、洋服と一緒にアレンジして着たりしてますが、妹に聞いた話だと「着物警察」に「そんな着付け間違ってる!」と捕まってトイレに連れ込まれて、晴れ着を脱がされちゃった人までいるらしいっすね。しかも、その「着物警察」、口ほどにもないヤツで着付け出来ずに逃げちゃったとか。幸い、着付けできる人がいてどうにかなったらしいですが。

    ユニクロとかは、ちょっと前まで返品の期間とか緩かったので、買う気も無いのに注文してYouTubeで紹介動画撮ってから返品していたツワモノもいたようですw

  • ヒデ より: 2021/09/01(水) 9:30 PM

    同感です。ユニクロやgu、その他の大衆的なブランドは別として、昔に比べて洋服選びは面倒な時代になったように感じています。素材がうんちゃら、デザインがうんちゃら、とにかく蘊蓄が多くて細かい。僕は服は好きですが、出来るだけお金をかけたくないので、基本的に古着屋かリサイクルショップでしか買い物しません。それでほとんど事足りるので、あまり問題はないのですが、たまにちょっとレアな物を買おうとして、いわゆるヴィンテージ古着を扱う店に行くと戸惑います。そこにいる店員やお客様は、マニアなことが多く、敷居を跨ぐのも恐れ多く、何かお探しですか?とか聞かれると、値札を見るのも憚れる気がするからです。😁 欲しいものが納得のいく金額で売られている場合は買いますが、それでもこういうマニアな店には出来るだけ近寄りたくないと感じてしまいます。なぜなら、自分たちの売っている商品の価値を理解しない一般ピープルはレベルが低くユニクロがふさわしいといった奢りが感じられるからです。(もちろん、そうじゃない店もありますが。) 一度、ヨーロッパ古着をメインに扱う古着店の方と話していたら、そういう発言が出たのでビックリしたことがあります。多くの人に自分とこの商品の価値を理解して欲しいと思っていても、そういう態度だと絶対に無理でしょうね。まぁ、こう言っちゃなんですけど、洋服マニアな方は、一度「スノッブ」という言葉の語源を調べた方が良いのではないかと思います。

  • ぺっさん より: 2021/09/13(月) 4:30 AM

    ビンテージ古着(Tシャツで10000円アウターで50000円以上)みたいな店は特に多くの人に価値を理解してもらいたいなんて全く思ってない。金払いの良いコレクターやマニア相手だからファストファッションの客層を毛嫌いする。まあ要は価値観ですね。昔父親が銭湯は入浴料が400円位で喫茶店のコーヒーは500円。銭湯はお湯使い放題なのにコーヒーがあんな高いのは許せんとか言ってて本当にヤバいなと思った記憶があります。

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