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南充浩 オフィシャルブログ

新参ブランドは「ニッチで構わない」と「割り切る」姿勢が重要

2021年6月15日 ネット通販 1

以前にもご紹介した「パンナ」さんのYouTubeだが、本チャンネルは特撮番組解説である。

それのサブサブチャンネルとしてYouTube自体への解説動画を開始されたのだが、この動画が世の中に跳梁跋扈しているヘッポコマーケティングコンサルよりよほど理路整然としていて正論ばかりである。

月額10万円の契約で年1回しか面談しないようなへっぽこコンサルタント(実質的に日給120万円)と契約するよりこちらの動画を見ながら勉強した方が身になるのではないかと思う。

第1回は、YouTubeの収益化の仕組みだったが、第2回はマーケティング戦略である。

 

【パンナの高速収益化講座?】~素人が半年で4万人達成した方法~【第2回:解説系YouTuberが狙い目と言われる理由】 – YouTube

 

タイトルだけ見ると、YouTube内でのマーケティングと思ってしまうが、冒頭の何分間かは他の分野でも広く使えるマーケティング理論である。

例えば、YouTubeはすでに先行のメジャーユーチューバーもひしめきあっていて、さらに有名芸能人・有名スポーツ選手などが相次いでチャンネル開設をしているため、今更素人が参入したところで太刀打ちできないという前提を踏まえて(これには当方も同意する)、

 

「新参は新参なりに、大手が手を出さないニッチな分野に絞って勝負しろ」

 

としている。

また、

 

「この『ニッチな分野に絞る』という割り切りが我々素人には大切です」

 

としている。

これは何もYouTubeに限ったことではなく、それこそアパレルやその他の分野についても同様のことがいえる。

余談だが、細々と箸の上げ下げまで指南しているようなマニュアル書は応用が効きにくい。なぜなら、それ以外の状況のことは書かれていないからだ。

しかし、基本的な考え方が書かれている指南書は応用が効きやすい。中華の歴史で「孫呉の兵法」として名高い「孫子」と「呉子」だが後世では圧倒的に孫子の方が重宝されている。その理由は、原則論が多い孫子に対して、呉子はその時代特有のこまごました指南が多く、後の時代には使いづらいからであるとされている。

このパンナさんの解説をアパレルに当てはめてみると、すでに大規模トータルブランドとしてはユニクロ、ジーユー、ワールド、オンワード樫山など大手がひしめき合っている。となると、新参者は「ニッチな分野」、例えば特定のアイテムや特定のコーディネイトに絞った提案に徹した方が良いということになる。

そして、多くの新参アパレル業者は、気宇壮大で夢はデッカくみたいな人が多く、すぐに多品番のトータルブランドをやりたがり、「ニッチに特化するという割り切り」を潔しとしない。

アパレルはODMという業界インフラが過剰に整った業界だから、カネさえあればブランドをスタートすることは簡単である。しかし、続けることが難しい。なぜ続かないかというと売れないからである。売れなくても良いのならそれは趣味の世界で、当方が売れもしないガンプラを毎月数個買って作っていることと基本的には変わらない。

で、「大手(有名人)が参入しそうもないブルーオーシャン」ということで、パンナさんは「特撮解説」というジャンルを選んだということである。

「トータル解説(政治・経済・社会問題・時事ネタなど)」というジャンルはあり、そこには有名人が参入しているが、特定の分野に絞った解説動画は少ないというわけである。

これもアパレルに当てはめると、トータルブランドではなく、特定のアイテムや特定のコーディネイトなどに絞ったブランドを立ち上げた方が良いということになる。

 

そして、このパンナさんがそこらへんのアホなコンサルタントよりよほど優れてると思うのが、「初期投資」について冷徹に見通している点である。

似たようなジャンルでは「玩具レビュー系」「ガンプラレビュー系」があるが、これをやるには玩具やガンプラを定期的に購入せねばならない。1つを購入して20回分もレビュー動画を上げるわけにはいかないから、1つの玩具やガンプラで上げられる動画は最大で3本だろう。通常は1本ないし2本と考えておく方が正解である。

そして、今の玩具やガンプラは高い。例えばガンプラでいうと、マスターグレードは定価でだいたい4000~5000円する。となると、週1回動画をアップするとして4000円×4個で1万6000円、それが12カ月続くと19万2000円になる。

1個人が19万2000円を投資するというのは結構な博打である。収益化できなかったら投資損で終わる。

しかし、解説系動画だと、必要なのは自分の時間だけであることから「参入のための初期投資」が極度に低く抑えられるという指摘である。

 

これをアパレルに当てはめるとどうだろうか?いくらODMが発達しているとはいえ、一個人が服作りに投資できる金額は知れている。どこかの東コレデザイナーのように実家が地方で名だたるお金持ちでなければ、いきなり30型とか50型の服を製造することは不可能である。

となると、ブランドを立ち上げるとなると、展開する型数を絞って初期投資は抑える方が堅実である。実家が異様な金持ちとか、彼氏・彼女(愛人含む)が金持ち、とかいう特殊な人を除けば。

この辺りのことまで考えて指南できるわけだから、このパンナさんというのは相当に優秀だといえる。

 

まあ、そんなわけで、つらつらと考えると、実際にアパレルというジャンルだとすでに大手の総合ブランドがひしめき合っていて、マスはその大手ブランドでそこそこ満足している。

ここに新参者が訳の分からないコンセプトの新ブランドを掲げて参入したところで、それはマスには広がらない。エスディージーズガーとか、リサイクルガーとか、を掲げてそれでいて高価格な新参ブランドがマスに広がる可能性は極めて低い。だからニッチを目指した方がはるかに失敗が少ない。そういう人たちは割り切ってニッチの中で高収益を上げれば良いのではないかと思うが、なぜか、それをマスに広げようとする人が少なからずいるから話しがややこしくなる。

「割り切る」という考え方をお勧めしたいし、それができない暑苦しい輩を応援することは絶対にない。

 

コンサルやインフルエンサーの変なセミナーに有料で参加するよりはパンナさんの解説動画を無料で見ることをお勧めしたい。

 

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2021/06/15(火) 12:53 PM

    世の経営者さん達って大体にして規模を拡大したがるんですよね。
    うちの金属加工工場なんて従業員40人で売上4億くらいの吹けば飛ぶよな中小企業なのに、アホ社長はSDGsだとか言っちゃうくらいですから。「いや、お前の会社が存続できるか怪しいだろ。」と突っ込みたくなりますw
    しかもエセコンサルタントの指導では「ランチェスター戦略」だと言われてるのに、やったことない分野へ進出したがるんですよね。今やってる事業で利益出せてないのに、「なんで新規事業やれば儲かると思うの?馬鹿なの?」って誰か言ってやれば良いのに、文句言うのはオイラだけなんでもうすぐ潰れそうですわw

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