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南充浩 オフィシャルブログ

今後のメンズスーツの主流は「低価格オーダー」ではなく「合繊セットアップ」だろう

2021年3月24日 お買い得品 1

興味の無い人や女性から見ると、メンズスーツというのはあまりトレンドが無いように見えるかもしれないが、実はメンズスーツはトレンドがある。

また形状そのものは大きく変わらないから、細部のディテールが重要になる。

 

フリーランスになって10年が過ぎ、目立った活躍もなく、さして実力が伸びるわけでもなく馬齢を重ねてきたわけだが、スーツを着ることがほとんどなくなった。ほとんど無くなったが、完全に無くなったわけではない。最低限でも冠婚葬祭には着用しなくてはならない。この年齢になると冠婚葬祭と言っても出席するのは葬式と法事ばかりである。

だから、たまに着る機会があるので、何年かに1度新しいスーツを買う。昔買ったスーツはやっぱりいろいろとおかしい。時代に合っていないと感じられる。ただし、2000年頃に買ったスーツは使われているウール素材が高品質なので捨てるのがもったいなくて着用もしないのに残してある。

しかし、保管にも気を使う。もちろん、ハンガーにかけて保管してあるのだが、防虫剤を吊るしていてもたまに虫に食われることもある。過去にそれで捨てたスーツが何着もあった。

 

富裕層とか準富裕層に属していて、そういうアッパーな人たちばかりと交流しているなら、上質なウールのスーツというのも必要なのだろうが、富裕層でも準富裕層でもなく、アッパーな人々との交流も全くない当方にとっては、上質なウールのスーツというのは「良さはわかるが、所有するとめんどくさい物」の一つである。

だから、改めて買おうとは思えない。最近、各社から登場している機能性素材のセットアップというのは、当方のような人間からするとまことにありがたい。

 

新型コロナの感染拡大によって、昨年の今頃から在宅勤務やリモート会議が増えた。

年明けに突如流行り、突如沈静化した気がする音声SNSのclubhouseなら、全裸で話そうと布団の中から応対しようと何の問題もないが、リモート会議やオンラインミーティングの場合、だいたい動画とセットだからせめて上半身くらいは身ぎれいにしておかなくてはならない。

やはり寝間着のままでは具合が悪い。そういうわけで、固すぎないジャケットとそれとセットになったパンツが2019年以前にも増してメンズスーツ分野では注目が高まっている。

一般メディアではあまり取り上げられないが、すでに2015年ごろから、業界関係者は機能性合繊のセットアップ愛用者が増えていた。

大ブームとなるほどの人気にはならなかったものの、ミズノやデサントと言ったスポーツウェアメーカーと協業したムーブスーツやアクティブスーツも多数開発されていた。

繊維・アパレル業界の男性社員の多くは愛用しており、その理由は

 

1,ストレッチ混で動きやすく合繊でメンテナンスがラク

2,ウールスーツよりもだいたい5000~1万円くらい安い

 

である。

安くて使いやすいなら、多くの人はそちらを使う。

特に経営者や管理職ならいざしらず、繊維・アパレル業界の現場というのは、ある意味で肉体労働的な部分もあるから細番手の上質なウールで作られたスーツなんて着ていたら作業がしにくい。ストレッチ性のある合繊スーツの方が作業着としては適しているという部分もある。

シワになりにくいから出張にも持って行きやすい。

我々下々の人間から支持されない方がおかしいくらいである。

 

現在の話題は

・AOKIのアクティブワークスーツ4800円

・ワークマンの4800円

・WWSの33000円

だろうか。

あとここに

・ジーユー 7980円

・ユニクロ 感動ジャケット+感動パンツ 9980円

 

が加わる感じだろうか。

個人的にはWWSの33000円は価格が高いので買おうとは思わない。あと、発表されたリブランディングのプランに「ジジイ転がし」のニオイを感じて嫌気がさしたと言えば言い過ぎだろうか。それならセレクトショップで20000円台の合繊セットアップを探す。もしくはユニクロで感動セットアップを9980円で買う。

 

まだ購入していないが、ぜひ一度買ってみたいと思っているのが、AOKIのアクティブワークスーツである。価格4800円というのは業界最安値だろうと思われるし、何よりもスーツ専門の会社が作っているのだからそこに対する信頼感がある。

メンズアパレル業界に属している人はだいたいメンズスーツに関しては口うるさいが、そういう彼らでも紳士服量販店の中では青山とAOKIのスーツに関しては認めている人が多い。

 

個人的には、メンズスーツのマスは今後、機能性合繊セットアップが主流になるのではないかと見ている。

コロナ前の一時期は「低価格パターンオーダーに商機」みたいな報道が多かったが、当方は全く賛同できなかった。それはツープライス客が低価格オーダーに移動しただけである。同じような価格ならオーダーで頼んでみようかという感じである。当方が客でもそういう考えになる。

じゃあ、低価格パターンオーダーをそれ以降作りまくるかというと、多分そうはならない。購入体験が変わるだけで商品自体は以前と何も変わっていないからだ。重宝するのは、標準体型に適合しない人たちくらいだろう。

一方、2015年頃からセレクトなどが提案し始めた合繊セットアップは、新規性が高い。また使用されている素材ゆえの利便性が高い。シワになりにくく虫にも食われない。あと洗濯もできる。

さらにいえば、カジュアルに着崩す場合、従来型の低価格パターンオーダーよりも合繊セットアップの方がサマになりやすい。

 

オーソドックスなスーツ好きの方々からすると不本意だろうが、コロナ収束後もマス層のスーツはアクティブ系に置き換わっていくことになるだろうと、当方は見ている。

そんな当方も早速、ユニクロUの4990円に値下がりしたポリエステル100%のジャケットと1990円に値下がりしたパンツをセットで買ってみた。ドヤ(笑)

 

 

 

 

 

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 comment
  • BOCONON より: 2021/03/24(水) 7:53 PM

    僕も普段スーツは着ないのだけれど,だからこそたまに遊びでスーツやテイラードジャケットにネクタイして出かけたりするのは結構楽しい。けれども家の近所を走っている湘南新宿ラインの電車など乗って見渡しても,最早スーツにネクタイした男なんてものは少数派ですね。別にクールビズでなくともスーツにネクタイなしでかまわない会社が多くなっていると見える。まあ銀行すら「スーツ着で出勤しなくてOK」なんて言い出しているのだから無理もない。
    僕みたいな男はたぶんシーラカンス化して行くのでしょう。それはそれで愉快だけど,僕はとも角世の中のスーツ着る男は大方は南さんのおっしゃる通りになって行くと思われる。つまりセットアップが主流になりそうな気がする。ほとんど〈タイなし・下はシャツだけ〉で着るのにスーツだけかっちりしたオーソドックスなものではむしろ不釣り合いで見苦しい感じがする。少なくとも僕はそう思ってしまう。(大きな声では言えないが)今どき流行るのはいわゆる貧困ビジネスの類ばかりだしw
    と言ってもまあ,まだ世の中アパレル業界が言うほどセットアップがはやっているようには見えない。たぶんいきなり今着ているスーツをうっちゃってまでセットアップに跳びつくほどスーツにお金かけられる人は少ないのだろうと思う。だから普及するとしても今後じわじわと,でありましょう。

    それはそうと,以前話題に出たマッキントッシュ ロンドンはじめ一流ブランドもこの波に乗ろうとしているようですが,セットアップスーツなんぞにに10万円以上も出す頓痴奇がいるのだろうか。何だか滑稽な気がしないでもないような(苦笑)。

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