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南充浩 オフィシャルブログ

地上戦と空中戦の両方が必要

2020年8月28日 SNSについて 1

数店単位の小規模なチェーン服屋や、個店こそ、広告宣伝費を使う必要があるのではないかと最近強く思っている。

当然、売れ行きが好調ならそんな経費は使う必要がないが、もし、長年やってきたが集客が難しくなったとか、客数が減って売れ行きが落ちたなら、広告宣伝をすべきだと思う。

ただし、広告宣伝と一口に言っても様々なツールがあるし、様々な業者が存在する。はっきり言って玉石混交だし、必ず成果が出る(売上高が増える、買い上げ客数が増えるなど)わけではないため、二の足を踏む経営者が多いのも事実である。

ただ、小規模店舗の日々の業務に時々携わっていると、店舗来店者への接客応対や商品提案だけでは限界があると感じる。

 

一つには長年やってきたとはいえ、そんな小規模店は圧倒的に知られておらず知名度が低い。

知られていないのは存在しないのも同然だから、知らない人がわざわざその店に足を運ぶことはない。

また、以前に何度か買ったが何らかの理由で足が遠のいてしまったという顧客も少なからずいるだろう。店頭で、お得なキャンペーンをいくらやったところで、その顧客にそうした情報は届かない。

例えば、「まとめ買いで何%割引」とか「ポイント何倍」とか「〇円以上お買い上げでノベルティをプレゼント」とか、そういうキャンペーンを実際には、小規模店といえどもいろいろな店舗が行っている。しかし、広告宣伝をしていない店舗のキャンペーンは、その店舗に足を運んだ人にしか伝わらない。とすると、必然的に現在の顧客のみに伝わることになる。

現在の顧客は別段そういう「お得なキャンペーン」が無くても買い続けてくれている人だから、顧客への還元という意味においては、行う価値があるが、客数増加にはあまり寄与しないといえる。

お得なキャンペーンの類が、何らかの理由で足が遠のいたかつての顧客に届けることができれば、何割かは戻ってくると考えられる。(もちろん全員が戻るわけではない)

 

現在、ウェブの普及によって、様々なSNSが発達した。

最近だとYouTubeの動画が人気のようである。SNSを使うのは無料だから、多くの小規模店経営者はこれによって告知を行おうとする。

ブログ、YouTube、ツイッター、Line、インスタグラム、フェイスブックくらいがメジャーなツールだろうか。

フォロワーを増やせばそれだけ「知ってもらえる人数」が増えるということだが、これらのフォロワーを増やすことは、カネを払ってフォロワーを買う以外は、コンテンツを充実させる必要がある。

コンテンツとは要するに「内容」のことだが、コンテンツを充実させることはかなり難しい。また、フォロワーを増やすことにも時間がかかる。

さらに言ってしまえば、フォロワーが増えたところで売上高にまったく影響しない場合もある。

やらないよりは着手した方が良いが、即効性は極めて薄い。

 

即効性を求めるなら、WEBやSNSも広告出稿が有効ではないかと思う。

ただし、先ほどにも書いたように広告を扱う業者が玉石混交だし、広告の出し方にもそれなりのノウハウが要るため、広告に慣れていない経営者は極端な言い方をすれば怖気づいてしまう。

素人が株式の売買をひどく嫌悪するのと似ているように当方は感じる。

 

それと、かつて業界新聞や編集プロダクションに在籍した経験でいうと、広告出稿が「単なるお付き合い」というふうになってしまっている場合も往々にしてあった。

お付き合いの対象が業界新聞なのかファッション雑誌なのか、それらへの話を持ってくる広告代理店なのかの違いはあったが。

いずれにせよ、広告効果は薄いが、媒体か代理店へのお付き合いのために、年間で決まった回数を広告出稿する企業が少なからずあった。

洋服が売れなくなり、減収減益になると、そういう「お付き合い」が真っ先に削られることは当然の結果だったといえる。

 

結局、これへの対策としてはその取扱い業者や広告出稿のノウハウを見極めるほか対策がない。そして見極めるためには研究が必要で、広告やWEBに対してそれなりの知識を身に付ける必要があり、手間暇がかかる。

身近な人なら当方も多少のアドバイスは差し上げられるが、専門ではない分野も多々あるので、その際はそれにふさわしい専門家を幾人かは紹介することはできる。

 

まあ、何事につけても新しいことを身に付けるには、それなりの努力が必要になり、40代・50代になると、その努力が途方もなくしんどく感じられる。恐らく60代以上になればもっと億劫になるのだろう。

 

繊維・ファッション業界では、製造加工業者が広告宣伝費など「形のない物」に投資するのを極度に嫌う風潮があり、それは広く知られているが、小売店も同様であり、広告宣伝などへの投資をひどく嫌う。

しかし、実際に定期的に現場に立ってみると、「ああ、こういうときにこそ広告宣伝が必要だなあ」とか「こういうキャンペーンの告知がターゲット層へ的確に届くといいなあ」と感じることが少なからずある。

 

 

よく、地上戦と空中戦という表現がされるが、実際の店頭での業務を「地上戦」とするなら、広告宣伝や広報活動は「空中戦」だといえる。

地上戦だけでは目の前の敵に対処することで精一杯になってしまうし、空中戦だけだと近年のSNSやWEBに多い中身や実績の伴わない「あれ俺詐欺」「自称成功者」の類になってしまう。

地上戦と空中戦の両方が必要なのだということを改めて痛感する。

 

当方も求められれば多少のアドバイスはしたいと思う(できれば少し有料で)が、地上戦だけで行き詰まっている店舗は少し空中戦のことも考えてみてはどうかと思う。

 

 

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 comment
  • ドキドキ より: 2020/08/30(日) 4:54 AM

    こういうのはどうでしょう?

    客の立場で言うと、1回しか行ったことのない店は何週間も立つとどこにあったか忘れてしまいます。あのラーメン屋は梅田の第1ビルか第2ビルの地下街のどこかにあったはずなんだけど、えーと、どこだったけ、といった感じです。
    ブラウスとかスカートといった衣服は食料品と違って購入頻度が高くありません。だから、1回だけ〇〇店で買い物をしたフリ客が次に衣服を買うのは2ヶ月後か3ヶ月後です。その時、その客は天六商店街で買ったことまでは覚えているでしょうが、〇〇店の正確な場所は忘れている可能性があります。屋号は最初から覚えていません。
    天六商店街には〇〇店と似たような店があるので、〇〇店を探して歩いているうちに「あっ、ここだったかな?」と違う店に入ってしまうことはあり得ます。

    この状態を回避する方法は2つあります。
    1 店の外観を特徴付けて、客の記憶に残るようにする。
    2 消耗品を置いて、来店頻度を上げる。

    1 づぼらやに1回しか行ったことのない客が1年後に新世界に行っても店を間違えることはありません。大きなふぐの提灯が客の記憶に残っているからです。(9月15日に閉店してしまいますが)
    大きなものは記憶に残りやすい。そこで、例えばB1サイズのハムスターのポスター、それを店先に掲示します。そうすれば、それが目印になるので、客は間違えません。

    2 ブラウスやスカートと違って、靴下は消耗品です。そのため、購入頻度が高い。
    そこで、100円ショップよりも安い価格で靴下を置けば、客の来店頻度を上げられます。
    来店頻度を上げることができれば、店の位置を覚えてもらえます。
    また、来店頻度が上がれば、靴下目的の客が何回かに一回、靴下と一緒にブラウスやスカートも買ってくれる可能性があります。客にすれば、わざわざ他の店に行くのは手間だからです。

    ところで、〇〇店は折り込みチラシやPIAZZAの利用は考えないのですか?

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