MENU

南充浩 オフィシャルブログ

ベーシック品はユニクロとジーユーがあればいいという世の中になりつつある

2020年8月11日 ユニクロ 7

前回、気晴らしで5500円弱(税込み)で6点も夏服の見切り品が買えたことをアップした。

平均すると1点当たり906円(税込み)で買えたことになる。

値下げされた夏服を5500円弱で6枚買った話

 

 

安いだけなら、バブル期から安い服は存在していた。主に大型スーパーがその需要を支えた。バブル後半になると、青山、AOKI、はるやまなどの低価格紳士服チェーンが躍進した。

これくらいの年代になると、当方にはその頃着ていた服の記憶があるが、ファッションビルや百貨店に並んでいたブランドと比べると、色・柄・形などが酷かった。

恐らくは同じトレンドを情報源としてそれを落とし込んでいたのだろうが、いわゆる「ファッションブランド」とは別物だった。

 

しかし、今は違う。

6点買っても5500円弱にしかならなかった低価格カジュアルだが、商品の見映えはかなりいい。ユニクロ、ジーユーはもとより、ライトオンだって商品によってはかなりの水準にある。

もちろん、超高級ブランドと比べると見劣りするが、この価格でこの見映え、この品質なら文句のつけようはない。

だからよく言われるように

「黒無地Tシャツなどのベーシック品はユニクロで十分」

というのは極めて当然の流れだといえる。

 

先日、「セシルマクビー」を含むブランド終了を発表したジャパンイマジネーションの社長は日経ビジネスのロングインタビューでこんなことを言っている。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00144/080300007/

 

これからの時代を生き残れるのは、マスの市場ではなく、小さなマーケットでも確実にグリップできる力のあるブランドだと思う。それ以外は、ユニクロとGUがあればいいという世の中になると思っている。

 

とのことで、当方もそう思う。

プレーンな黒無地・紺無地・グレー無地の丸首Tシャツなんてユニクロかジーユーで、しかもその値下げ品で十分じゃないかと思う。

全身ユニクロとジーユーで固めるわけでもないが、シャツやジャケットの下に着るならそれで十分である。またチノパンだってユニクロで十分である。

チノパンはジーンズよりもブランドが分かりにくい。ベージュや紺などのベーシックカラーのチノパンなんて一見しただけではブランドの区別はできにくい。

だったらユニクロの値下げ品で十分である。

 

ただし、全身ユニクロ、全身ジーユーに抵抗があるという人は多い。そんなときはジャケットやコート、スカートあたりを他のブランドにすれば気が済む。

こういうことをいうと、ファッション好きからは「ユニクロのTシャツでは首の開き方が満足できないから、そんなことはあり得ない」というような反論が20年前からあるのだが、首の開き方の5㎜にこだわるような人はそもそも「マス」ではない。木村社長がいう「ニッチ」な人なのである。

だから、ニッチ向けなTシャツブランドを買っていればいいのであり、ニッチなTシャツブランドはそういう少数の人に支えられて存続できているわけである。

それこそ、「部品」を目指したユニクロは、部品としての地位は確立してしまったということができる。

 

ジャパンイマジネーションの木村社長はこう続ける。

 

ジャパンイマジネーションは今からユニクロにはなれないので、ニッチの方に行くしかない。

(残した)4つのブランドが将来的にセシルマクビーのようなブランドになることは絶対ない。いまは1ブランドの売り上げが10億円程度かそれ未満の水準だが、どんなに頑張っても40億円くらいまでだろう。対象としている世界がニッチだし、広げてはいけないブランドだと思う。会社の長期的な成長を考えると、そこから派生するブランドを開発するか、新たなニッチブランドを作り出すか、もしくはどこかから見つけてくるか。

 

とのことで、これは極めて正論だと感じる。

経営者としての見通しや考え方はすごくまっとうだと思う。今夏のユニクロ、ジーユーの商品を見ると、ベーシック品やちょっとしたデザインが入ったものはもうユニクロ、ジーユーで十分だと感じる。それは見映えだけじゃなく品質的にも価格的にも。

じゃあ、他のファッションブランドに何を求めるのかというと、ユニクロ、ジーユーでは手に入らないようなデザインの商品だとか手に入らないようなコダワリ部分だとかそういうものになってくる。

しかし、そういう物を大衆は欲しがらないだろうから、支持するのは少数や一部の愛好家ということになるから必然的に「ニッチ」ということになる。

個人的には、あんまり「コダワリ」商品は好きではないので、ユニクロやジーユーにないデザインを買い足すというのが自分なりの行動様式といえる。

 

前回のブログで上げたライトオンのスウェーデン軍ヘンリーネックTシャツもユニクロ、ジーユーにはないデザインの商品だったから安くなっていたこともあって買ってみようと思った。

あれが普通の鹿の子ポロシャツとか丸首Tシャツならたくさん持っていることもあるから、いくら990円に値下がりしても買わなかっただろうと思う。

バブル期や90年代後半のように、ファッション性が高くて価格が高い物をある程度のマスがこぞって買うような時代にはもう戻ることはない。例えユニクロやジーユーが今後凋落したとしても、それに類するような他の大手は登場するだろうし、大衆もそれを望むだろうと思う。ファッション性で勝負するブランドは、ユニクロとジーユー、無印良品あたりの存在を前提として、木村社長の言うように、ニッチな顧客を捕まえることが改めて重要ではないかと思う。

 

 

セシルマクビーの商品をどうぞ~

この記事をSNSでシェア
 comment
  • 昔、イオンモールに出店してました より: 2020/08/12(水) 6:01 AM

    おっしゃる通りユニクロ、GUそれにECサイトがあれば、多くの消費者は十分でしょうね。
    あとは中高年向けの、ローカルコミュニティに根差した個店があれば事足ります。

  • Phil Likesheet より: 2020/08/12(水) 3:52 PM

    コメント失礼致します。いわゆる、松坂世代の者です。昔はモノがなかったのかも知れません。20年前まではボートネックのストライプシャツを探しても、仏製しかありませんでした。今ではユニクロ、UG、無印、どこでも見つかります。そして、流行りのサイズ感や素材においてもこれらのブランドが都度アップデートしてくれるのでベーシック品においては事が足ります。所詮、不要不急、無駄なモノがファッションなので、どこで線引きをするかでしょうか。

  • BOCONON より: 2020/08/13(木) 4:44 AM

    揚げ足を取る気も演説をする気もありませんが,その辺のフツーの人がほとんど洋服もその着方も詳しい事は何も知らないのは今に始まったことじゃない・・・というのは以前もコメントに書いた通りであります。問題は「ならばなぜ昔は百貨店なんて業態が商売になっていたのか?」ですね。
    これは簡単な話で,昔は(「一億総中流」というのはあやしいにしろ)中産階級というものが存在したから,です。簡単に今より景気が良かったから,と言ってもいい。
    しかし今は世界的に中産階級が崩壊しつつある。新自由主義あるいは株主資本主義というものが蔓延しているせいで。日本に於いてもここ20年以上ほとんどの国民の収入がひどく減ってきている。おまけに僕みたいな貧乏人に重い消費税率は上がるばかり。これで景気が良くなったら奇跡みたいなものです。

  • BOCONON より: 2020/08/13(木) 4:49 AM

    既に世界的に「ごく一部の金持ちがますます金持ちになるばかりなんてもう我慢がならない」という動きが出て来ていますから,希望は捨てたくない。しかし日本の馬鹿マスコミ(「メディア」だなんてスカしてやがら)はせっせとトランプやルペンの悪口を言うのに余念がない有様だ。これでは後数十年はほとんどの日本人は希望すら持てはすまい。
    ・・・という訳で,僕も結局記事にもコメントにも取り敢えず同意せざるを得ない,というつまらない結論にしかならないのでした。

  • なもしき より: 2020/08/13(木) 4:13 PM

    いつも興味深く拝読しております。
    いわゆる機械式高級腕時計が何かと揶揄されながらもブームになっているのは、オールユニクロ化で「服」では差がつかなくなってるからせめて時計で、という指向があるような気がしています。
    実際、IT系の服装が自由なエリートエンジニアを見ていると、ユニクロ+高級腕時計またはApple Watchがある程度定番になってるような。
    で、靴も革靴とニューバランスは履きたくないから、パトリックになるという感じでしょうか。

  • 読者 より: 2020/08/14(金) 5:39 PM

    ユニクロのカジュアルシャツは、襟の片方が内巻きになる率高く、二流品思てます。

  • ダリー より: 2020/08/18(火) 12:47 PM

    39歳のおっさんです。昔の「安物」は露骨にぱっと見でわかるものでしたが、今では本当にユニクロがあればOKですね。無人レジになってから余計に、「買うつもりなかったのに買ってしまっていた」が増えました。
    先日もJW ANDERSON の売れ残りのヤッケ(本当に売れている様子がどの店でも無い)が980円だったので「着る機会は少ないだろうな」と思いましたが、購入してしまいました。
    ユニクロは「別に来年でも着れる」という普遍性とアイテムによっては「いい感じに外している」アイテムもあり、結論、「ユニクロがあればそれでOK」状態です。
    昭和生まれ世代は「昔は服にお金かけてた時期もあったけど今はユニクロ」という世代ですが、今の30歳以下は最初からユニクロ支持ネイティブ世代です。「この勢い、止まらねえだろうな」です。ぶっちゃけもう、「国民服」です。
    「高収入でかっこいい」IT企業社長なんかも別にハイブランドは来ておりません。もはや「ユニクロ批判してる人=ズレてるおっさん」くらいの雰囲気さえある気がしており、グウの音も出ない感じです。。

読者 へ返信する コメントをキャンセル

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ