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南充浩 オフィシャルブログ

オゾックとアクアガールの廃止で一時代の終焉を感じた話

2020年8月6日 企業研究 2

ワールドが「オゾック」「アクアガール」など5ブランドの廃止を発表したので、今回はそれについて感想などを書いてみようと思う。

 

ワールドが「オゾック」「ハッシュアッシュ」など5ブランド廃止で358店閉鎖、希望退職200人募集

 

廃止するのは「ハッシュアッシュ・サンカンシオン(HUSHUSH 3CAN4ON)」「アクアガール(AQUAGIRL)」「オゾック(OZOC)」「アナトリエ(ANATELIER)」など

とある。どれも名の通ったブランドばかりなので、多くの人が驚いたのではないかと思うが、この5ブランドは、知名度の高さに比して赤字体質が続いていた。

これらの20年3月期業績は赤字で、「今後の黒字化のめどが立たない」(同社)ことから終了を決めた。閉鎖358店のうち、ブランド終了に伴うものは214店で、残りの144店は継続ブランドの低収益店が対象。

とある。

ただ、

https://news.yahoo.co.jp/articles/08ec0e780d13c247d422aee2b29f8f69d2e099fa

残る1ブランドは、出店先との調整のため公表を見送った。

 

とある。これはどのブランドだろうか。赤字体質のブランドはほかにもいくつもあるだろうから、どれが廃止になってもおかしくはないのだが。

 

 

ワールドは先ごろの再編成によって、事業部みたいなのがそれぞれ独立した法人となっていた。

「オゾック」と「アクアガール」は路面やファッションビルへ出店するセレクト系ブランドであるインターキューブの管轄で、残り三つは駅ビル・ファッションビル・ショッピングセンターで展開するスタイルフォースの管轄になる。

ワールドの関係者からは、「スタイルフォースの中でも赤字続きのブランドばかりが廃止になるので仕方がない」との証言があった。

すでに記事でも触れられているように、オゾック、アクアガールも知名度は高かったものの、最近は赤字続きだったということである。

逆に中高年層には名高かったが、オゾックは近年は若者にはさっぱり知名度がなかった。これは身の周り調査で恐縮だが、毎年、ファッション専門学校生に質問するが、ほとんどの学生がオゾックを知らない。

一方、オゾックは紆余曲折を経て10代後半~の若い女性をターゲットとするようになったと、店構えや品ぞろえからは感じられるので、このミスマッチが大きかったのではないかと思う。

どう見ても10代後半~20代前半の女性向けなのに、そのターゲット層に知られていないとなると、ブランドとしては失敗だし、ビジネスとしても成り立たない。オゾックがなくなることは必然だったといえる。

 

それにしても、赤字続きとはいえ、オゾック、アクアガールが無くなるのは一つの時代の終焉を象徴しているように感じられる。

それまで卸売りのニット(セーター)メーカーだったワールドが、SPA企業へと変貌したのがオゾックの成功だった。

オゾックのスタートは93年で、ワールド初のSPAブランドとして誕生した。

オゾックはOZOCとアルファベット表記するが、「OWN ZONE ORIGINAL COMFORT」から採られている。最近ではこの説明はあまり見なくなったが。(笑)

デザイナーの田山淳朗さんがディレクターだった。これが大ヒットした。

OZOCのお姉さん的なブランドとしてその後、インディヴィが生まれ、メンズ版としてボイコットが生まれたが、ついにインディヴィだけが残ることになった。

ちなみにインディヴィもボイコットもスタート当初は同じく田山淳朗さんがディレクターだった。

93年というと、ようやく当方が洋服に興味を持ち始めたころで知識が乏しかったので、上手くは説明できないが、その店舗の出来栄えや商品デザインの凝り具合は、ジャスコやイズミヤの平場とはまったく違っていたし、商品のデザインもまったく違っていた。

ジャスコとイズミヤの1900円服を愛用していた当方からすると「さすがに高い値段を払う値打ちがある」と感じたもので、その後、インディヴィを見たときも同じように感じたことを覚えている。

この当時と比べると、当方が慣れによって感覚が摩耗してしまったせいもあるのかもしれないが、低価格ブランドと店構えも商品デザインも差別化できていない百貨店・ファッションビルブランドばかりになってしまったように感じる。

 

そんなオゾックもブームが過ぎ去ると、ファッションビルによくあるごく一般的なレディースブランド化してしまった。90年代半ばに見たオゾックと今のオゾックはブランド名だけが同じでまるで別物である。

 

アクアガールは95年スタートで、卸売りセーターメーカーからSPA企業へと変貌しつつあったワールドが立ち上げたセレクトショップである。90年代後半は本当に文字通りに「高感度」セレクトショップだった。

オンワードのヴィアバスストップと並んで、ファッション雑誌の常連だった。

そのアクアガールも規模を拡大していくごとに、大手セレクトショップと同じくPB化してしまい、最終的にはよくあるSPAブランドになったように感じる。

アクアガールは無くなるが、その廉価版であるAGバイアクアガールは残るのだから、オペークとオペークドットクリップの関係性に似ている。

オペーク本体は拡大できないままに終わったが、アクアガールの場合、拡大によってつまらないSPAブランドになってしまったというのが、外野たる当方の感想である。

 

 

それにしてもワールドのSPA化を決定づけたオゾックと、別の方向性を模索して「高感度セレクトショップ」としてスタートしたアクアガールが無くなってしまうというのは、90年代という一つの時代が終わったと感じさせられる。オゾックもアクアガールも2005年以降は、スタート当初に持っていたようなブランド力を失ってしまい、赤字続きで苦戦していたというのが、諸行無常を感じる。

今の若い人にとってはどちらも「見知らぬブランド」だろうが、40代より上の世代にとっては、往年の名ブランドだから衝撃は大きいだろう。ただし、衝撃を受けた人たちも近年どれだけオゾック、アクアガールで買っていたのかは疑問なのだが。

きっと、その衝撃は、70代がレナウンの経営破綻で受けた衝撃と似たようなものなのだろうと思う。

それが世代間格差であり、今の若い人たちだって、20年後には、その時の若い世代とのギャップに驚くことになるわけで、みんな順番で年老いていくわけである。(笑)

 

 

そんなオゾックのエコバッグをどうぞ~

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 comment
  • ハマオ より: 2020/08/06(木) 11:18 AM

    オゾックはやっと終了になったかというのが感想ですね
    2000年代前半にはもう存在価値がなくなっていましたね
    ただ経営的に聖域になっていただけですね
    ハッシュやサンカンシオンは時代的にその市場がなくなりましたね
    コムサイズムが駄目になったように

  • gonwookim より: 2020/08/08(土) 9:21 AM

    以前WSPの方々と仕事をしたことがあります
    いずれも方も クレバーでスマート
    とても仕事がやりやすかったです
    また 人柄も地に足ついた印象でした
    アパレルに多い イケイケ感は皆無でした
    ただ 思ったのは この人達はアパレルでなくても
    何でも売れるだろうな 
    とってもいいんだけど ちょっと違うかな…
    でした 失礼ながら
    今回のブランドの整理は当然の結果だと思います
    若い女性みてたら 金曜日はおしゃれして
    今夜は合コンですよ なんて人も見かけませんからね
    ダボダボのパンツでOKですよ 今や
    ワールドの醸し出す世界は最早 不要でございます
    ワールドエレガンス ワールド
    細川俊之です 遠くなりにけり ですね…
    ♪ラララ ワールド

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