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南充浩 オフィシャルブログ

オッサンでも「王道」のジーンズを穿かなくなったという話

2020年7月13日 ジーンズ 2

最近は、ジーンズをあまり穿かなくなった。

特に夏場は穿かない。

理由は分厚くて暑いからである。もちろん夏向けのライトオンスストレッチデニムもあるが、それでも合繊主体のストレッチパンツに比べると暑いし、汗を吸うと乾きにくくて不快である。

またファッション的にも何だか、いわゆる「ジーンズ」の気分ではない。とくに太目ストレートのファイブポケット型は絶対に違う気がする。

裾にかけて細くなるテイパード型ならまだマシだ。

それもファイブポケット型ではなく、スラックス寄りのデザイン物の方が気分ではないかと思う。

あと、ヒゲやアタリががっつり入った中古加工ジーンズはファッション的にまったく顧みられなくなった。濃紺か全体的にややのっぺりと色落ちしたウォッシュジーンズがそれなりに支持を集めている。

裾丈は依然として短めくるぶし丈くらいが主流で、フルレングスで靴の上にクッションを作っているようなのは野暮ったく見えてしまう。

くるぶし丈が人気な理由は「裾上げが要らないから」ではないかと思っている。

店頭で買った場合、裾上げで何十分か待たなくてはならないのはめんどくさいと感じる。そして、ウォッシュジーンズを買って裾上げをした場合、裾だけが変な色落ちになってしまうのもちょっとカッコ悪い。

また、ネット通販ならなおさら裾上げはめんどくさい。自分の股下を正確に知っていて、そして何センチ短くすればよいのかも把握しておく必要がある。

ちなみに当方だと股下77センチで靴の上にワンクッションできる感じである。スーツのズボンだと、今は少し短めの73センチか74センチくらいにしてもらう。

しかし、元からくるぶし丈のズボンだと、平均的な体格なら裾上げは不要である。ネットで買ってもそのわずらわしさがない。だから恐らく、くるぶし丈のズボンは簡単には廃れなくて、長期間に渡って続くと思う。もしかするとくるぶし丈が定番になるのではないかとすら思う。

 

スキニージーンズの人気は陰りを見せたが、それでも廃れてはいない。

個人的にはスキニージーンズはジーンズの中ではまだ最も需要がある品番なのではないかとさえ思う。スキニージーンズはだいたいが、キャバクラや風俗店のキャッチやスカウトのメンズが穿いている。あれはなんだろう?あの一画だけ違うトレンドが流れているのだろうか。それとも制服なのだろうか。

だいたい一様にピチピチのスキニージーンズか、ピチピチのジョガータイプのジーンズを穿いている。

 

こうして見ると、それこそ「王道」の「ファイブポケット型ジーンズ」(スキニーを除く)が最も人気がないと感じる。

個人的には愛着の心だけはあるが、かと言って穿いているかと問われると答えはNOである。まったく穿いていない。せいぜいがたまにスキニーやジョガータイプを穿くくらいだ。

昔買ったレギュラーストレートのジーンズたちは収納されたままになっている。

ほとんど穿かないままに保存している15年前に買ったリーバイス502

 

 

 

 

理由は、暑い以外にも動きにくいがある。綿100%の良さガーと言う人もいるが、当方にはさっぱりわからない。これが今流行りのワイドパンツなら綿100%でも動きやすい。ユニクロUは結構、綿100%のワイドパンツ(5ポケット型ではない)が多い。だからストレッチが必ず必要とはいわないが、レギュラーストレートや細身ストレートが綿100%なのはいくら蘊蓄があろうが、ナンタラのこだわりのデニム生地を使っていようが動きにくい。だから穿かない。

 

2008年頃から、我が国の大手ジーンズメーカーの経営破綻や縮小が相次いだ。その変動は今は落ち着いているが、大手と呼べるのは辛うじて、エドウインとリーバイ・ストラウス ジャパンだけになってしまった。

今の市場を見ていると、もうほとんどの人はジーンズのブランドにあまりこだわっていない。また商品そのものもジーンズメーカーのコダワリ云々というのはあまり顧みられなくなっている。先ほど挙げた「のっぺりとした色落ち」とか「5ポケット型への不人気」だとかはその実例ではないかと思う。

新しいジーンズブランドはいくつも生まれたが、80年代までのように大きくは育たってはいない。逆にそれが今のジーンズというアイテムの市場規模なのではないかと思う。

かつて2005年~2007年まで隆盛を誇ったプレミアムジーンズと呼ばれた高額インポートジーンズブランドもほとんど残っていない。

 

最近は、海外でもジーンズブランドの破綻が続いている。

イタリアのジーンズブランドGASが破綻したことは先日もこのブログで書いたが、今度はジースターロゥのアメリカ法人が破綻している。

 

「ジースター ロゥ」子会社が米連邦破産法申請、本国オランダや日本事業への影響はなし

https://www.fashionsnap.com/article/2020-07-06/gstarraw-us/

 

同社は、新型コロナウイルスに伴うロックダウン (都市閉鎖)や「Black Lives Matter」運動によるデモの影響で店舗が長期の閉鎖を余儀なくされたことで、店舗の売上が大きく悪化し、店舗運営の維持が困難になった。一部メディアによると、債権者一覧表に記載されている最大の債権者はニューヨークのフィフスアベニュー475番地にある店舗の貸主で、債務額は42万6007ドル(1ドル107円換算で約4558万円)にのぼるという。

 

アメリカのコロナ被害は日本に比べると甚大だし、その後の混乱なんかを見ると、そうそう簡単に商業が立ち直らないのも無理はないと思う。

しかし、理由はコロナだけではないのではないかと思う。

 

5ポケット型の王道・定番ジーンズは欧米でも人気が低下しているのではないだろうか。この辺りは欧米の状況に詳しい方にご教授いただきたいと思う。

 

さて、我が国のジーンズ業界はこういう流行の傾向をどう捉えているのだろうか?10年前までのように「そんな流行は邪道だ」などと叫ぶような人はさすがに減っているのではないかと思うが、まだ「本物のジーンズの良さを~」とか言ってる人はまだいそうな気がする。(完全なる推測)

しかし、本物のジーンズの良さも王道のジーンズも当方も含めた今の買い手側は求めていない。その辺りを受け止めて対応していかないとますます苦境に陥るだろう。

 

洋服の流行なんて30年もすればまた元に戻ってくる。あれほどタブー視されたバブル期ファッションも30年後の現在、戻ってきたではないか。

王道のジーンズとか本物のジーンズも30年後には再評価される時代が訪れるかもしれない。その時まで会社が残っていれば。

それにしても30年後というと当方は80歳になっているから、死んでいてこの世とおさらばしているかもしれない。

 

 

そんなジースターロゥのジーンズをAmazonでどうぞ~

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 comment
  • イトウチュウ より: 2020/07/13(月) 4:23 PM

    3年程前に買った あるデニムが素晴らしかった。 吸汗速乾・遮断効果-7℃・接触冷感・UPF50+・(超)ストレッチ (超軽量)のしまむらのデニム。  今の時期、まさに無敵である。  ちなみに買ったときは(広告の品・値引き)1,300円程度だった。 無論家族全員分購入させて頂いた。 

  • BOCONON より: 2020/07/13(月) 4:58 PM

    確かに若い人はブルージーンズあまり穿かない。
    一方おっさんじーさんの穿いているジーパンは大抵 “洗いざらし” というのを通り越して “ぞうきん” みたいになってますね。
    僕は5cn.の既婚女性板でネカマやって「ああいうの,奥さんが何も言わないの? 『いい加減諦めて新しいの買いなよ。今は安くていいのがあるし』とか」と聞いてみたことがある。
    結果は「だって言っても聞かないんだから。頑なに穿き続けてもう20年くらいたっているようなGパンでも…」だそうで。これではインディゴデニム復活の日は遠かろう,と思う。
    セレショなど業界人達は「スキニーの次はワイドPだッ!」「いや腰回りにゆとりのあるタック入りテイパードPがクル~!」とか言ってますが,さてどうなります事やらw

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