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南充浩 オフィシャルブログ

マッキントッシュとクレストブリッジが売れなかった理由

2020年4月10日 企業研究 11

三陽商会が2015年で英国・バーバリーとのライセンス契約が終了し、その後、未だに赤字を続けている。

やはりバーバリーの抜けた穴は大きく、マッキントッシュでは埋められないというのが正直なところだろうと思う。

とはいえ、「5年が過ぎようとしているのに穴埋めができないのはなぜだ?」という論調には違和感しか感じない。

5年やそこらでバーバリーと並ぶほどのステイタス性・認知度を獲得できるブランドを簡単に築き上げられるのであるなら、誰も苦労はしないし、みんなのブランドビジネスは成功しまくりだろうし、アパレルの市場規模はピーク時を上回る規模に成長していることだろう。

たった5年でバーバリークラスのブランドを育てることが可能なら、当方だってブランドを始めている。(笑)

 

三陽商会がバーバリーとライセンス契約を結んだのは1970年のことだから今から50年前ということになる。

 

だから当方は、バーバリーの後継ブランドであるマッキントッシュロンドンが5年間でバーバリー並みに育たなかったのは極めて当然だと思っている。

たった5年でそこまで育つわけがない。

以前も書いたが、三陽商会の上層部の多くも例外を除いて完全なるアホじゃないだろうから、それくらいのことは理解していたのだろうと思う。

三陽商会にとっての誤算は、バーバリーブルーレーベル、バーバリーブラックレーベルの穴埋めをブルーレーベル・クレストブリッジ、ブラックレーベル・クレストブリッジで、できなかったことではないかと思う。

三陽商会側にとっては、クレストブリッジはバーバリー社との契約ブランドだし、チェック柄もあるから「バーバリー」並みの売れ行きを何年か後には獲得できると考えていたのではないかと考えられる。

その理由としては、三陽商会の当時の言動に危機感があまり感じられなかったため、外野たる当方はそのように推測した。

もしかすると、本当はすごく危機感があったのかもしれないが、業界で「お公家さん」と呼ばれるほどにマッタリとした社風だったためにその危機感が見えにくかったのかもしれない。

 

しかし、消費者側から見れば、いくらバーバリー社との契約だとはいえ、クレストブリッジでは名前からしてバーバリーとは別物である。

ミライザカと和民を同じ店だと認知する消費者がどれほどいるのか?

リーボックのスニーカーが欲しかったが品切れしていたため、「同じ会社だからアディダスのでも同じだ」と言って買っていく消費者がどれほど存在するのか?

ナイキのスニーカーが品切れしていたので「同じ会社だからコンバースでいいや」と考える消費者がどれほどいるのか?

 

またチェック柄を使っているとはいえ、バーバリーのタータンチェックとクレストブリッジのタータンっぽいチェック柄では全く色合いも柄のパターンも異なる。

ブルーレーベル・クレストブリッジのチェック柄

 

 

 

バーバリーのタータンチェックがないから、マックレガーのタータンチェックで我慢しておけと言っているようなものである。

 

消費者の目から見ればブランド名も含めて全くの別物でしかない。同じ規模で売れるはずがない。

 

一方、マッキントッシュにしてもそうだ。

いくら、同じロンドンのブランドといったところで、そんなものは何の役にも立たない。

それは「コム・デ・ギャルソンもユニクロも日本のブランドだから同じだ」と言っているようなものである。

マッキントッシュの日本におけるブランド知名度はバーバリーに比べて極めて低かった。

ゴム引きコートが有名だとはいえ、それはマニアの好む領域でしかない。しかも手入れは極めて不便で、今、使っている人は本当の愛好家だけだろう。

当方はめんどくさいので、ワークマンの防水透湿コートの方が安いしずっと好きである。

しかし、愛好している人に対してケチをつけようとは思わない。そんなものは趣味の世界で、趣味は趣味として好きにすればいい。

趣味でない人からすれば、シャア専用ズゴッグと量産型ズゴッグのプラモデルを両方とも買う人の気が知れないだろう。形は同じで色だけが違う。どうして色違いをわざわざ揃える必要があるのかと思うだろうが、趣味というのはそんなものである。

 

だから知名度も低く、代表アイテムが「マニア好みで手入れのめんどくさいコート」なんていうブランドがマジョリティにすぐさま躍り出られるわけもない。さらにいえば、バーバリーにあった「バーバリーチェック」「馬?マーク」と言った「わかりやすさ」がマッキントッシュにはまったくない。

今のマッキントッシュロンドンの通販サイトを見てもらえばわかるが、服としてはまったく特徴がない。セオリーでも代替できるのではないかと思う。

 

で、この辺りのことを正確に評している記事を当方はこの5年間見たことがなかった。

恐らく書き手の皆さんは「業界のプロ」ゆえに消費者目線が無くなってしまっているのではないかと思う。業界のプロからしてみれば、クレストブリッジはバーバリーとの契約の延長だし、マッキントッシュはバーバリーと同じロンドンブランドだから、代替できるのではないかと思えて来る。

 

先日、紹介した黒木亮著「アパレル興亡」には三陽商会とバーバリーについて触れるくだりがある。

最後の舞台は2016年だから、バーバリー亡き後苦しんでいる三陽商会について触れている。

 

「なんか売れなさそうな気がするんですけど」

「わたしもそう思うわ。似たようなデザインだけど、なんか安っぽいし、色合いも中途半端だし」

二人が見ていたのは、三陽商会の新ブランド「マッキントッシュ ロンドン」のカタログだった。

「お客さんはバーバリーの名前と、ホースマーク(あれはやっぱり馬なのか?‥当方の感想)と、上品なベージュの色調が気に入って買ってたんだと思うのよね」

「それが全部なくなって、しかも同じような値段だったら買うわけないべさ」

 

とある。まさにこの通りではないかと思う。世の中の消費者が全員、業界のプロだったらそうではなかったかもしれないが、残念ながらそんなことはあり得ない。

続けて

 

バーバリー・ブルーレーベルとブラックレーベルに代わってクレストブリッジを発売予定だが、やはり「似て非なるもの」という感じは拭えない。

 

ともあり、当方もそのように感じる。

業界のプロの分析記事よりも、当方としては黒木氏の見方の方がしっくりとくる。

それゆえ「アパレル興亡」は結構しっかりと業界の下々まで取材して描かれているのではないかと思える。

 

 

 

 

そんなわけでマスターグレードシャア専用ズゴッグのプラモデルをどうぞ~

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 comment
  • 最低の文章 より: 2020/04/10(金) 1:25 PM

    この記事は考察とあるが、何ら考察はされていない駄文。考察という作業がどういうものなのか、良く調べてから書いた方が良い。急にガンダムが出てきたり、本人はウケ狙いのつもりだろうが、的はずれも良いところ。読んでいて不快極まりない。

    • とおりすがりのオッサン より: 2020/04/13(月) 10:26 AM

      ガンダムもブランド商法みたいなもので、かつてはアニメには出てないモビルスーツを大量にデッチ上げてまで売りまくった実績があるし、今も延々とガンダムと名の付くアニメを作り続け、初代とは一切関係ないような話でもガンプラは売れ続けるという怪物ブランドなので、一考の価値はあるのではないでしょうか?
      つか、ズゴックかっけぇなぁ~。一歩間違えばクビのないダサいロボットなのに、大河原邦男の異能のセンスたるや!

  • 最低の文章 より: 2020/04/10(金) 1:27 PM

    この記事は考察とあるが、何ら考察はされていない駄文。考察という作業がどういうものなのか、良く調べてから書いた方が良い。急にガンダムが出てきたり、本人はウケ狙いのつもりだろうが、的はずれも良いところ。読んでいて不快極まりない。

  • BOCONON より: 2020/04/11(土) 9:23 PM

    いくつか感想を。
    題して「”マッキントッシュ ロンドン” はなぜ売れないのか」その一。

    > たった5年でそこまで育つわけがない
    僕は “マッキントッシュ フィロソフィー” は好きなのです。コンビニで売っている《Begin》にも紹介記事がよく載っているのでとっつきやすいし。でも “~ロンドン” について言えば,そもそも三陽商会に「育てる」気があるのかどうも判然としませんね。以前書いたようにほとんど広告宣伝していないような有様ですからね。せめてイチローや渡辺謙あたりでも起用して「マッキントッシュスーツ,よろしく」とか「マッキントッシュ,しゃれでごんすもであむ」くらい言わせなきゃ,誰も「バーバリーがなくなるならマッキントッシュ買おうか」なんて思うわけがない。だってひつこく言わなきゃフツーのオジサンはほとんど知らないブランドだし,バーバリーだってもともと知ってる人は知っているトレンチコートのブランドと言うに過ぎなかったのだし。ただ漫然とバーバリー跡地に出店したってねえ? うっかりすると5年後にはなくなっているかも。

  • BOCONON より: 2020/04/11(土) 9:55 PM

    (二)
    商品は自体は “~ロンドン” もバーバリーと同じくおじさん向けブランドで,輸入物でもないから,そんなに特徴のあるスーツなど売っている訳でもない。その上世の中スーツをよく知っていて違いが分かるおじさんなんて滅多にいないようなものです。商品だけ見ればアクアスキュータムだってバーバリーにおさおさ劣るものではないのにあんまりパッとしないのもだから,イメージ戦略が大事という話であります。
    その点,おっしゃる通りでトレードマークもハウスチェックもロゴマークも大事ですね。ブレザーについているメタルボタンとかも特徴あるマーク入りでないと「イバリが効」きませんからね。昔のR.ローレンのポロ・ヘルメットマークみたいに。まあマッキントッシュにそういった人を惹きつけるものがないなら,ライセンス料払うより自前のブランド作った方がましな気もしますが。
    このまま “~ロンドン” が「せめてブランド名くらいはおぼえてもらおうよ」ってレヴェルの事も出来ない/やらないんだったら,せいぜい「細々と存続」か「再びライセンス契約終了」にしか行きつかないと僕は思います。

  • BOCONON より: 2020/04/11(土) 10:19 PM

    南さんがこの記事でお書きになっているクレストブリッジの場合とまあ同じ事ですね。・・・いや,もともと知名度のあったブルーレーベルやブラックレーベルにしてこれなんだから “~ロンドン” なら尚更か。
              ↓
    https://minamimitsuhiro.info/archives/1530.html

  • 読者 より: 2020/04/13(月) 11:49 AM

    うーん、タータンチェックはね、基本的にダサいと思うんです。バーバリーのも洒落てると思った事はないですね。コートではなくトレンチ風ブルゾン昔着てましたけど(笑)。バラクータのブルゾンも持ってたなあ。あれのチラリ見える裏地赤チェックもコーディネートが難しかった。バーバリーブルーレーベルは安室奈美恵さん効果もあって大ヒットしたと記憶しています。
    服というのは婦人物は特に、それなりにスタイル良い娘が着れば何だって似合うところはあると思います。男より女体の方が立体的なメリハリがあるからかな、補正も含めて(笑)

    • BOCONON より: 2020/04/13(月) 2:11 PM

      > タータンチェックはね、基本的にダサいと思うんです
      > バーバリーのも洒落てると思った事はない
      > バラクータのブルゾンも ...あれのチラリ見える裏地赤チェックもコーディネートが難しかった

      僕もそれ,書こうと思って忘れていました。タータンに限らず,チェック柄は上手く選べば粋だけど,たいていの場合ダサくなるもの。例えば最近のTVではドラマやスーツ量販店のCMとかでチェックのタイした若い人をよく見ますが,なんか胸元がゴチャゴチャした感じでどうもいけませんね。
      バーバリーチェックも特にお洒落でもなきゃ日本人の肌に合うようなものでもない。安室奈美恵も上下色柄が逆だったら悲惨な事になっていたでありましょう。
      ・・・何が言いたいかと言うと「バーバリーチェックもバーバリーが(一般大衆から見れば) “高級” ブランドてイメージが出来ていたから良く見えただけ」「それくらいイメージ戦略は大事」という話であります。故障しやすいので最近はヤクザも敬遠するM.ベンツとか,どう見てもあんまりエレガントな感じはしないロレックス等々を見れば分かりますね。

  • 読者 より: 2020/04/27(月) 7:27 PM

    BOCONON様
    高級ブランドだから良く見える。正にそういう事だと思います。

    • BOCONON より: 2020/04/29(水) 4:09 PM

      別項で話題になっている マイルドヤンキーはその手の “高級” ブランドが好きらしいから,洋服よりウブラの腕時計やコーチのバッグ売った方が儲かる気もしますね。もちろんパチモンを,ですが。
      彼らは(クルマには分不相応にお金かけても)基本「貧乏でも仲間がいるから幸せ」って価値観だから。
      まあ広告屋の三浦某の言うような “マイルドヤンキー” が実在するのか,げんみつにはあやしい気もしますがw

  • YI より: 2023/04/13(木) 10:17 PM

    マッキントッシュはグラスゴーです。

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