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南充浩 オフィシャルブログ

これからは暖冬を標準として商品構成を考えるべき

2020年1月10日 トレンド 1

9日から関西では恒例の十日戎が始まった。

9日~11日までの3日間、関西圏のえびす神社は賑わう、この3日間が関西の正月の締めくくりのように感じる。

とはいえ、関西は15日までが松の内だからそれまでは正月である。

昔は15日は小正月と言ったのだが、今ではそんなことを言う人はめっきり少なくなった。

 

で、9日の朝、異様に暖かいと感じた。今年でちょうど50回目の正月を迎えたのだが、こんなに暖かい十日戎はちょっと記憶にない。

 

関西を基準に過去の冬の気温を体感とともに思い出してみる。

2019年1月、2月も暖冬傾向だった。2018年は1月に記録的な寒波が襲来して、3月10日ごろまで寒かったが、3月半ば以降は急速に暖かくなった。

2017年1月、2月は記録的な寒波は来なかったが、今年ほどには暖かくなかったが、暖冬の部類だろうと思う。

ちょっと飛んで2014年2月は何年かぶりの積雪が大阪であった。実家のある奈良ではかなり積もった。

2015年、2016年の1月、2月もそれなりに寒かったが記録的ではなかった。とはいえ、2020年ほどの暖かさではなかった。

 

こうして過去を振り返ってみると、とくに2017年1月か16年1月ごろから目に見えて気温が高くなってきているように感じる。

2018年1月、2月に記録的な寒波が来たのは本当にたまたま、何年かに一度のことで、その何年かに一度の寒波をあてにし続けて防寒アウターを多めに仕込んでいるブランドやマーチャンダイザーがいるとしたら相当に脳みそが、おめでたいと言わねばならない。

2014年、15年、16年あたりは昔ほど寒くはないが平均的な冬だったといえ、2017年ごろから気温が高くなったと感じられる。

 

恐らく、今後は2020年1月ほどではないが、暖冬傾向で数年間は経過するのではないかと思われる。

35~40年前の子供のころの冬は本当に寒かった。12月になると、積もりはしなかったが四六時中粉雪が舞っていたのを思い出すし、年末の大掃除は凍えながら窓ふきをやった(やらされた)。

20代後半、30代前半の記者時代も12月には何社かの忘年会に参加したが、2019年12月とは比べ物にならないほど寒かった記憶がある。

今後、そのころのような「寒い冬」は関西、とくに大阪には来なくなるのかもしれない。北海道、東北、北陸、山間内陸部を除いては大阪と似たり寄ったりになるのではないかと思う。

2019年10月~2020年1月現在ほどの暖冬ではないにせよ、20年前の寒さは今後も全国的に戻ってこないのではないかと思う。

 

 

さて、そうなると、「オーロラを見に行ける」ような分厚いダウンジャケットは本州のほとんどの地域では不要になる。特別に寒がりな人もいるだろうから、まったく不要になるとは思わないが、各ブランドが想定しているほどの需要はなくなるだろうと思う。

実際に、売り場を見て回っても、ネット通販を見ても、ダウンジャケットを始めとする正統派の防寒アウター類は軒並み大幅値下げされている。

まだ値下げをせずに頑張っているブランドも、正月明けに寒波が襲来しなければ、1月末から投げ売りセールを始めることになるだろうし、長期予報を見ていると、1月に寒波が襲来する可能性は極めて低そうである。一抹の淡い期待を抱いているブランドは、今から投げ売りセールの準備を始めた方が賢明ではないかと思う。

 

実際、暑がりの当方は、分厚いダウンをまだ一度も着用していない。何なら中綿のないコートを着用する日もあるほどだ。

 

そんな中、感心させられたのが、昨日発表されたファーストリテイリングのコメントである。

 

ファストリが20年8月期業績予想を下方修正 暖冬と韓国、香港事業の苦戦受け

 

 

第1四半期決算の内容は置いておくとして、今回の暖冬について次のようなコメントを出している。

 

「(冬物不振に対応する)在庫コントロールは昨年に比べるとうまくいった。ただし2年続けて暖冬であった以上、もはや暖冬を通常として商品構成を見直していかないと今後も同じことを繰り返す。気温の変化に柔軟に対応できる仕組み作りを進めていく」

 

とあり、さすがは冷静だと感心させられる。

 

「あれ俺詐欺」の某コンサルタントなんて、2018年1月の寒波の印象に引きずられたまま防寒アウターを仕込んでしまい、2019年1月に「気温なんて誰も予測できないよ~」と意味の分からない泣き言を言っていたことに比べると雲泥の差である。

 

2018年1月の寒波が無ければ、2年連続どころか3年連続暖冬なわけだから、暖冬が標準だと考えるべきで、2015年以前はおろか、2005年以前の寒さが戻ることはないのではないかと思う。

 

とはいえ、23年前に業界新聞記者となったときも毎年冬になると、アパレル各社は「暖冬傾向により~」とコメントを発表していたから、一体今頃何を暖冬論争しているのかと不思議に感じる。繊維・アパレル業界には記憶喪失になってしまうエライさんが掃いて捨てるほどいるから、毎年発表していた「暖冬コメント」なんて3カ月もすれば綺麗さっぱりお忘れになっているのだろう。

20年前から毎年のように「暖冬コメント」を発表していたのだから、暖冬が標準になるのは、何もこの3年間だけのことではない。20年前から暖冬が標準でなければ、コメントとのつじつまが合わない。

如何にもアパレル業界らしいといえばそれまでなのだが。(笑)

 

 

暖冬ですが、保温力の高いカナダグースの並行輸入品をどうぞ~

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 comment
  • BOCONON より: 2020/04/08(水) 3:07 PM

    アメリカでは異常寒波で大変な冬が何年も続いているし,僕は “地球温暖化” というのは眉唾ものだと思っています。だから(偉そうな言い方ですが)南さんが注意深く地球温暖化なんて言葉を使うのを避けているのは賢明な気がする。
    もっとも世界規模で異常気象が多発しているのは事実なので,これから数年はとも角,日本の暖冬もいつまで続くやら。今は実は氷河期なので,再び寒冷化していく事もじゅうぶん考えられる気もする・・・こんな意見は何の役にも立ちそうもないですがw

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