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南充浩 オフィシャルブログ

販売員の重要性を再認識した話

2019年12月2日 TOP SELLER . STYLE 2

洋服の販売員の力は本来はけっこう大きなものだと考えている。

考えているからトップセラースタイルにも参加した。今もしているが、ぶっちゃけ、若者受けするメンバーが増えてこんな50歳手前のジジイの繰り言が必要なのかなと疑問を感じていることも事実である。(笑)

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トップセラースタイルで書いている人、またはその読者はさすがに凄腕の販売員が多く、その接客は押し付けがましくもなく、さすがだと感じるが、日常様々な店で買い物をしていると、うーん、これはどうなんだろう?と疑問を感じさせる販売員も多い。

 

当方が入る店なので、だいたい低価格ブランドからワールドや三陽商会などの百貨店ブランドまでで、ラグジュアリーには入らない。過去に何度かは入ったことがあるレベルである。

 

先日、某ライトオンを久しぶりに覗いた。

29日からブラックフライデーを開催していた。ライトオンは先日の決算発表でも公言されたように不良在庫を処分していて、お買い得品が多数あった。

一例を挙げると、リーバイスのボア付きGジャンと同型のボアコーデュロイジャケットが3990円に値下げされていたし、20年ぶりに復活したエンジニアドジーンズも2990円に、エドウインのEファンクションやリーバイスの513なんかも2990円に値下がりしていた。

破格値のお買い得である。

あまりの安さに何か買おうと思って物色していて、エンジニアドジーンズのスキニータイプを試着してみた。

 

32インチを試着したのだが、最近の節制が奏功したのか、ウエストは緩いくらいで、脚は相変わらず太いままなのでピタピタになった。サイズ的には問題ない。

しかし、脚がまるでレギンスを穿いたようになっている。

果たしてこれで街を歩いて良いのか?

当方は上半身がゴツイからその上半身とのバランスはとれているのか?

トップスにはどんなシルエットの服を合わせれば良いのか?

と悩んでいたら、いきなり試着室の外から声をかけられた。

 

平日の午後なので試着室が込み合っていることはないと思ったのだが、万が一のためにカーテンを開けてみると、イケメンの推定20代半ばくらいのおにいさんが立っていた。

「いかがですか?」

と尋ねられたので、

「サイズは問題ないんですが、このレギンスみたいなシルエットで街を歩いて良いのか、体型的に合っているのか悩んでいたところです」

と返事をした。

 

通常ならここで「見慣れてないだけで他人から見たらおかしくないです」とか「もう少しだけ太いシルエットにした方がバランスがとれます」とか、そういう返しがある。

しかし、このイケメンは「はい・・・・・・・・」と答えたっきり、黙って棒立ちになっている。

代わりの商品を持ってくるでもなく、「じゃあまたお声かけくださいね」と言って立ち去るわけでもなく、「はい・・・・・・」と言ったっきり棒立ちになっている。

 

さすがにイラっとして、「もういいです」と言って、商品を脱いで返却して立ち去った。

 

ライトオンは業績が厳しいからなのか、この日は少し商品に触れただけで店内の様々な店員から声を掛けられ続けた。声掛けをすると買い上げ率が増えるのは事実だが、頻繁に声を掛けられすぎても鬱陶しいと感じる。

 

また別のABCマートではブラックフライデーでナイキのスニーカーが値下げされていた。

エアマックスモーションが税抜き4990円に値下げされていて、これは破格だと思って、アッパーのニット素材を肉厚を確かめたくて少し触った。

そうすると、不意に背後から「履きますか??」と声を掛けられ、振り向くと販売員が立っていた。

たしかに声掛けは必要だが、足音すら立てずに素早すぎるだろう。忍者かよ。

 

で、こうして見ると、ユニクロやジーユー、無印良品などは、販売員はこちらが呼ぶまで放っておいてくれる。もしくは一声「試着できるので言ってくださいね」とかける程度である。

あとは商品を見ながら熟考していても五月蠅く声をかけることもない。

そして、質問をすれば意外に親切に答えてくれるし、試着して迷っていて、そのことを伝えても「はい・・・・・・」と言ったっきり立ちすくむこともない。

「もう1サイズ上がいいですね」とか「それでおかしくないですよ」とか、普通の返事がある。

 

ユニクロやジーユー、無印良品には常に多数の客が入店しているから、販売員としても一々細かく対応ができないのだろうが、適度な放置が快い。

「はい・・・・・・・」と立ちすくむ接客は初めて受けた。

 

以前、深地雅也さんにくっついてアクネストゥディオズの店に入店したが、そこもあまり声をかける感じではなかった。忍者のように背後に忍び寄られることもなかった。

で、ユニクロやジーユー、無印良品などが賑わっているのは、適度に放置されるからという要因もあるのではないかと思った。

 

それでいて、こちらが質問をすればある程度は適切に答えてくれる。

こちらはオッサンで、しかも洋服業界に長くいるから、押し売りのようにぐいぐい来られても、忍者に背後を取られても、「はい・・・・・」と立ちすくまれても流すことができる。

しかし、洋服を買い慣れてない人ならどうだろうか。どれにもすごく圧迫感を感じるだろうし、居心地の悪さを感じるだろう。

そういう人たちは適度に放置プレーをしてくれるユニクロ、ジーユー、無印良品あたりに足を運ぶことになる。それでいて、品質は悪くないし、それなりにこじゃれたデザインにもなっている。

だったらある程度の商品はユニクロ、ジーユー、無印良品で事足りるということになる。

 

アパレル各社は苦しくて余裕がないからこそ、必死で販売員は売ろうとするのだろうが、それが多くの人に圧迫感や居心地の悪さを感じさせるという悪循環に陥っている側面があるのではないだろうか?

立ちすくんでいたイケメンはもしかすると新人さんだったのかもしれないが、それなら自動車みたいな初心者マークとかそういうのを考案して付けさせるべきだろう。客からすればだれが新人でだれがベテランなのかはまったくわからない。

ネットで買うにしろ、一度は実物を試着したり、生地の風合いを確かめたりしたいという人は多く、そういう点においても店頭はますます重要になっている。

不振にあえいでいるアパレル各社はもう一度販売員教育や販売員のマニュアル、指導方法、販売員の育成方法などを見直してみてはどうか。

もうカッコつけた店員が訳のわからない横文字でケムに巻いて通用する時代でもないし、ラッセンの絵みたいに押し売りが通用する時代でもない。

ネット通販と連動させるならなおさら考え直す必要がある。それができないアパレルやブランドは今後どんどん淘汰されて姿を消すことになるだろう。

 

 

そんなエアマックスモーションをどうぞ~

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 comment
  • ほその より: 2019/12/02(月) 4:43 PM

    自分は運が悪いのか、良い販売員さんに当たったことがありません。試着してMかLサイズのどちらが見栄えが良いか聞いたら、面倒くさそうに「どっちでも良いんじゃないですか」って言われたこともあります。また、買おうか悩んでいるので考えますと言ったら、「こんなの悩むことじゃない。今すぐ買いなさい。」と押し売りにあった事もあります。店員さんが、アンドロイドだったらいいのにと思います。

  • マーさん より: 2019/12/06(金) 9:10 AM

    いわゆるベテランかな?という販売員でも、商品の寸法を聞いたのに、それに答えず調べようともせずに「試着しましょう」の一点張りで、「ですから胸周りは何センチなんですか」と尋ねても無視したり、ライセンスブランドの売れ残り品の試着時に「これ、ブランド自体廃盤で今後展開されるものは五倍くらいの値段になります」とのたまい、迷って少し考えたいというと「今日、引き上げちゃうんです」(キッパリ)と言い切ったりと、まあ売らんかなの勢いだけで図々しく物慣れた人、うじゃうじゃいますね。

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