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南充浩 オフィシャルブログ

ジーンズを使ったビジカジスタイルは中高年専用化か?

2019年11月21日 ジーンズ 2

最近は、年配者と若者のカジュアルがそう変わらなくなってきたと思う。

とくにアウター類は外見からだけではほとんど区別できないのではないかと思う。

もちろん、80年代・90年代当時同様の「トガった若者」も存在するが、マスとしては服装だけではほぼ区別がつかない状態にある。

今年の10月・11月は記録的な高温で、それほど防寒アウターの出番がないが、近年、老若男女を問わずに支持されてきたのはダウンジャケット類である。

特にユニクロのウルトラライトダウンの販売枚数はすさまじく、若者も高齢者も同じ物を着ている。

ウルトラライトではない他社のダウンジャケットだって、若者も買うし中高年も買う。モンクレールだって若い人も着ているし、年配者も着ている。

 

ファッションはすでに年代ではなく、テイストやライフスタイルで区切る時代になったといわれるが、ほぼその通りだと思う。

20代と40代が同じブランドの服を着ていることは珍しくなくなった。

 

とはいえ、完全に同化したわけでもない。

やっぱり若者特有の着こなしも残っているし、中高年の好む着こなしも残っている。昔はその差が顕著だったが、今はその差が小さくなったということだといえる。

 

そんな中、先日、ぼーっと心斎橋界隈で、通行人の服を眺めていたら、いわゆる正統派のジーンズはほとんど中高年にしか着用されていないと感じた。

もちろん、心斎橋界隈なので東京やその他地域のトレンドとは異なるのかもしれない。

 

当方が言いたい正統派ジーンズは、レギュラーストレートもしくは、スリムストレート系で、ノンストレッチもしくは弱ストレッチである。

今の若者のジーンズは両極で、スキニーもしくはスキニーシルエットのジャージデニムか、その真逆のワイドシルエットかセミワイドシルエットという感じである。

レギュラーストレート、スリムストレートを穿いている人はあまり見かけない。

 

そもそも、若者のジーンズ着用者比率は昔に比べるとそんなに高くない。スキニーとワイドの両極が存在するが、いずれもデニム以外の生地のパンツが着用されている率が高い。(あくまでも体感)

シルエットを問わず、ジーンズを穿いているのはだいたいがオッサンからジジイが多い。

 

ライトオン、マックハウスという2大ジーンズチェーン店が苦戦続きだが、原因の一つとしては、ジーンズというアイテムそのものの需要が減っていることが考えられる。

もちろん「好調だ」といわれるジーンズを基調としたブランドはあるが、それは果たしてマスなのかどうかである。売り上げ規模が20億とか30億円くらいならそういうこともあるが、それが100億円とか500億円にまで広げられるかというと当方はほぼ不可能ではないかと見ている。

だから、全国に500店舗弱展開するライトオン、350店を展開するマックハウスの不調と、10億~20億円規模のジーンズブランドの好調というのはあまりリンクしない。逆にリンクしているかのように捉えて分析するから歪んだ結果が導き出されるのである。

売り上げ規模も違えば、中心価格帯も違うし、客層も異なる。同じ「ジーンズ」という共通項だけでくくってしまうから訳の分からないことになる。

 

で、話を戻すと、その眺めていたときは平日だったので、明らかにオンタイムでの移動中の人も多かった。

近年は、ビジネスのカジュアル化が進んでいるのと、アパレルや広告代理店みたいな業種が多い地域だから余計にビジカジスタイルが多かったのかもしれない。

 

当方がいつも見ているのはメンズファッションなので、メンズスタイルに限定すると、ビジカジスタイルで、ジーンズを着用しているのはほとんどが40代以上のオジサン世代だった。

とくに2000年代半ばに流行した「色落ちしたジーンズ+シャツ+ネクタイ+テイラードジャケット」というビジカジルックを2019年秋に着用していた人のほとんどは40代、50代、60代のオジサンだった。

 

もちろん、20代後半の若いビジネスマンもビジカジスタイルをしているが、その際、トップスはオジサンと同じだが、ボトムスは黒、紺、グレーの綿パンである。カツラギ(ツイル)素材の5ポケットパンツである。

それを何組も眺めていると、未来はどうなるのかわからないが、2019年秋現在においては「ジーンズはオッサンが穿くズボンになった」と感じる。

着用している服の多くは年代ではあまり変わらなくなったが、ことジーンズに関しては着用者の年代がくっきりはっきりと分かれている。

 

どういうスタイルなのか、画像を日経のメンズファッションからお借りする。

 

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO44619010Q9A510C1000000/

 

 

 

 

 

たしかに2005年~2010年頃まではこのスタイルの若いビジネスマンも数多くいた。記事を見ると2019年5月26日の日付があるが、このスタイルは2019年秋には40代以上の世代でしかほとんど見ることはない。

 

今の若いビジネスマンは、上半身は同じでも下半身はこの形・この色のジーンズを穿かない。

 

とすると、マスに売らなければならない2大ジーンズチェーン店はどうすべきかが見えてくるのではないかと思う。

 

1、明確に中高年層にシフトする、もしくは中高年層向けにジーンズ中心の新業態を作る

2、若者を取り込むために、正統派のジーンズスタイルを減らす

 

このどちらかしかない。

ジーンズの取り扱いブランド数を増やすなんてさらさら意味はなく、ジャムの法則が発動してより選びにくくなるか、ジーンズにしか興味のないコアな少数のファンが集まるかのどちらかである。

また、

「ライトオン 夏・秋苦戦でMD修正 季節対応、トレンド品強化」

https://senken.co.jp/posts/righton-191121

 

なんていう記事も付け焼刃で泥縄式の対応にしか見えない。

 

夏、秋の苦戦を踏まえ、MDを修正する。シーズンMDを細分化し、季節対応を強めるほか、手頃な価格帯の商品を再拡充する。トレンド対応や雑貨も強化する。月末のブラックフライデーや年末年始のセールを活用して在庫の消化を促進し、梅春には新MDに改める。

 

とのことなので年末年始にはさぞかし投げ売り品が出てくるだろうから、各地のライトオンの店頭は要チェックである。当方も今から店頭で商品の目星を付けたいと思う。

 

 

 

昔懐かしいセブン・オールフォーマンカインドの並行輸入品をどうぞ~

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 comment
  • BOCONON より: 2020/04/29(水) 4:49 PM

    仰言る通りで,ブルージーンズというのは今や完全にオジサンやオバサンの穿くものになってますね。5ちゃんねるファッションまとめサイトではこんな話題ばかりで,どうやらお若い人たちは「なんでおっさん達はジーパンなんてヘンな物を穿くんだろ?」と本気で思っているとおぼしい。
             ↓
    http://mens-fashion.blog.jp/archives/1077324131.html

    と言ってもまあ,黒スキニーも行くところまで行った感じもする。頭が大きくて脚の短い中年男が無理して穿いてたり,外国人がよく「なんで日本人の男はあんな黒タイツみたいなオカマっぽいズボン穿いているのだ?」と不思議がっていたりしますからね。だからブルージーンズが復活する日が来ないとは僕は思いません。ジーパン屋さんも気長に待っていればきっと・・・まあその日まで持てば,ですが。

  • BOCONON より: 2020/04/29(水) 5:05 PM

    ところでしかし,ビジカジ用にブルージーンズというのはまた別の話で,僕はあまり人に奨めたいとは思わない。たとえばいつもの年ならこの時期街に出ると,よく紺ブレザー/紺ジャケットにブルージーンズ(ついでにピンクのボタンダウンシャツ)なんて格好をしたオジサンを見かけたりしますが,見た処たいてい失敗している。テイラードジャケットを上手く選ぶのも,紺ジャケットに合うジーンズ(あるようで滅多にない)を選ぶのもそんなに簡単ではないから,まあ当然みたいなものですが。正直なところ上掲の画像も僕には特にカッコ良くは見えません。せいぜい「そんなに変じゃないけど…」って程度。普通に生成りのチノパン(ドレスチノ)合わせた方が自然だしエレガントだったろうに。
    南さんは白っぽいズボンは好きでないようですが,テイラードジャケットでビジカジやろうと思うなら,ジーンズはハードルが高すぎると思います。

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