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南充浩 オフィシャルブログ

続・ジャストサイズという幻

2019年10月29日 お買い得品 2

先日、ジーユーでバブアーっぽいアウターを買った。

超大型店にしか入荷していないようで、普段見て回る店でいうと心斎橋店にしかなく、あべのキューズモール店と心斎橋OPA店には入荷していなかった。

売り場で見たときから「バブアーっぽいなあ」と思っていたのだが、定価が3990円だったので買わなかった。

何週間か前にそれが2990円に値下がりしたが、それでも買わなかったらついに1990円にまで値下がりした。

1990円なら買っても良いかと思ってそれでも試着してみて買ったわけである。

 

 

 

襟は綿100%の細畝コーデュロイが貼り付けられていて、本体の表地はポリエステル88%・綿12%の組成で、裏地はポリエステル100%である。

艶消しのポリエステルなので割合に本格的に見え、好きな人であれば3990円でも決して高くはないといえ、1990円に値下がりすれば破格値だといえる。

心斎橋店の店頭在庫状況でいうと、当方が買ったオリーブグリーンが一番人気のようで陳列量がだいぶ減っていた。ついでネイビー。ベージュはまだかなり残っていた。

表地はポリエステル88%・綿12%の組成だが、特に撥水や防風などの機能性はない。単にポリエステル綿混の生地ですというだけである。

恐らく、普通のアパレルブランドが発売すれば、最低でもこの2倍の値段の7900円くらいにはなるのではないかと思う。

割り切ってるなあと思うのはこの商品の製造コストダウンの方法。

当方が気が付いたのは2点。当方よりも生産に詳しい方が見ればもっと出てくるのではないかと思う。

 

1、先ほども書いたように撥水や防風などの機能性の排除

2、襟にボタンの台がむき出しになっている点

 

である。

2についてだが、このジャケットは襟を立てて止められるようになっている。

そのためのスナップボタンが襟には付けられているのだが、台がコーデュロイの襟に2か所剥き出しとなっている。これは取りも直さず、コーデュロイの襟を縫い付けた上からスナップボタンを取り付けたということである。

 

 

 

もう少し店頭販売価格の高い商品なら、まず、裏地にスナップボタンを付けたその上からコーデュロイの襟を貼り付ける。こうすると、台がコーデュロイの襟に剥き出しになることはない。

しかし、作業工程としてどちらの方がめんどくさくないかというと、圧倒的に前者である。完成した襟の上から取り付けた方がめんどくさくないし、作業所要時間も短くて済んで効率的である。

見映えを犠牲にしてコスト削減と効率性を重視したといえ、その割り切りは見事だといえる。

 

(読者の方々から、本家でも剥き出しのボタン台はあった指摘をいただいた。こちらの無知を謝罪するとともに感謝したい)

 

で、問題はサイズ感なのだが、今のジーユー商品の例に漏れず、やや大きめのルーズシルエットである。今後寒さが増したときに、厚手のセーター類を着た上から羽織ることを考えれば、身幅に余裕があるのは好都合だといえる。

当方が困惑したのは、アームホールが大きめである点と、袖が長いことである。何度も書いているが当方の腕は短めであるからそれが悪いのだが、Mサイズでもここまで袖丈が長いのは珍しい。

袖丈の長さが気になって売り場で随分と悩んでいた。

結局のところ、少しだけ袖をめくって着用しようと思って買った。1990円だし。

 

で、本題なのだが、以前に「ジャストサイズという考え方は幻だ」と書いた。

「ジャストサイズ」という幻

 

2015年頃までのピチピチ・ピタピタなシルエットであればジャストサイズは大いに必要で、少しサイズ選びを間違えると小さすぎて着用できなくなる。大は小を兼ねるということで大きめを買っても、それは見栄えが悪い(ピチピチがカッコいいと思われているから)ため、これまた着用できない。

それゆえに、ジャストサイズには強い要望があった。

しかし、今のようにルーズシルエットが主流になると、ジャストサイズである必要性がない。そもそも今の流行下でのジャストサイズとは一体何を指すのか?

 

今回のバブアーもどきのアウターを買う際、Mサイズを試着してみると、アームホールの大きさと袖丈の長さが気になった。どう考えてももうワンサイズ下でも着用できると思ったので、Sサイズも試着してみた。

試着した着心地でいうと、ジャストサイズというならSサイズだと感じた。袖丈も長すぎない。おまけに動きにくさもない。

試着した画像を見ていただきたいのだが、Sサイズの方がジャストサイズだということがお分かりだろうが、他人の目から見て、Mサイズとどちらがまだマシに見えるだろうか?

Sサイズを着用

 

Mサイズを着用

 

 

 

 

画像で見てみると、Mサイズの方がまだマシに見える。

当方の容姿・体型が竹野内豊かディーン・フジオカ並みであれば、どちらを選んでも良いのだろうが、残念ながら整形しても追いつけないレベルにあるから、マシに見える方を選ばねばならない。

結局は少し大きいと感じたMサイズを購入したのだが、せっかく金を払って買うのであれば他人の目から見てマシな方を選んだ方がお得だと思う。

ジャストサイズよりも、着る人の体格・体型・骨格・輪郭・首の長さ・顔の大きさなどで似合う方を選ぶことが重要だと考える。

さらにそこには「流行」も要素の一つとして加わる。

2010年ごろならSサイズの方がマシに見えただろうが、2019年の今はMサイズの方がマシに見える。

体格や体型が許せば、LサイズやXLサイズをダボっと着る方がカッコヨク見えることもある。

結局のところサイズの計測装置は必要だが、ジャストサイズという考え方は、特にカジュアルにおいては全く不要だということになる。

 

それにしても、以前にも書いたが、ネット通販の比率が高まれば高まるほど、ルーズシルエットの流行は買う側からすると便利である。何しろ「小さすぎて着用できない」という危険性が格段に低下するからだ。今までと同じサイズを選べば大きすぎることはあっても小さすぎることは絶対にないからだ。

ルーズシルエットの隆盛はまだまだ続くだろうし、完全なる計測システムが出来上がるまではかなり長く続くのではないかと思った。

 

 

 

それにしてもジーユーのバブアーもどきは、1990円なら絶対に買っておいて損はないといえる。

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 comment
  • super-unknown より: 2019/10/29(火) 4:48 PM

    衿のむきだしスナップボタンって、本家Barbourでも同じ仕様のものがあったはず。

  • より: 2019/10/29(火) 9:49 PM

    襟のボタン丸出しは、バブアーのディテールを踏襲したものなので、コストカットではないです

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