シニア層はファッション衣料よりも機能性商品・便利グッズを欲しがるのではないか?
2026年8月6日 トレンド 0
今年56歳になり、また一つ還暦に近づいたわけだが、年々物欲が薄くなることは自覚している。
熱烈に欲しい物がほとんどない。
一応、ガンプラは熱心に買っているが、今買えなくても何年か後には再販品を買えるだろうし、再販品を買う前に死去してもそれはそれで仕方がないとそんな風に思っている。
逆にガンプラくらいでも熱心なフリをしておかないと、自身のやる気がもっと薄れてしまう。そんな自覚もある。
「生涯現役」とか「人生百年時代」とかそんな標語があって信じている奴らも少なからず見受けられるが、当方は全く信じていない。適当な時期に仕事はやめたいし、100歳まで「元気で」生きていられるなんてさらさら思っていない。
この年齢になると、家族・親族・知人がこれまで様々な年齢で様々な死因で死んだことを経験している。100歳まで生きる老人はそんなに多くないし、何なら60代・70代前半で死んだ者も少なくない。40代で死んだ者もいた。
母方の祖母は2019年に100歳ちょうどで死んだが、90歳ごろから足腰は弱ってヨレヨレになっていた。90代でピンシャンしている老人を当方はあまり見たことが無い。筋トレに余念がないタレントの大村崑さんくらいだろうか。やはり、筋肉は重要だと思わざるを得ない。
平均寿命は毎年発表になるが、健康寿命の平均は、最新のデータでは2022年のものだとされている。男性が72・57歳、女性が75・45歳という発表である。
厚生労働省が日本人の平均寿命を発表。大正製薬が発見!日本人の長生きの秘訣は、実はあの国民的栄養素!
健康寿命とは、日常生活が制限なくすごせる期間を指す。内臓その他は元気だが、足腰が弱ってきてほとんど歩けなくなったというのは、もう健康寿命は尽きたということになる。
この発表からすると、特別な筋トレなどをしていないと、平均的にだいたい75歳くらいで足腰その他がヨレヨレになるということがわかる。
人生百年時代どころか、健康寿命75歳時代というのが実態だと当方は確信している。
とはいえ、国内市場での人口で見ると、後期高齢者になり始めた団塊世代が最多で、そこから当方より少し下の団塊ジュニア世代までが多く、40代以下は減少している。
物を売るとすると、老人層を取り込むほかはない。
それもあって先日、繊研新聞で3回に渡ってシニアマーケットに向けての連載があった。有料記事なので冒頭部分しか読めないが。
《狙うべきシニア層㊤》高まる人口構成比 可能性のある市場に | 繊研新聞
《狙うべきシニア層㊥》デジタル戦略強め、多様なニーズに応える | 繊研新聞
《狙うべきシニア層㊦》見方改めアプローチを 将来の60代は今より若い可能性 | 繊研新聞
という3本立てである。
主張せんとする理由は分かる。今や、60代から上が最多人口である。50代の団塊ジュニアまで含めると若者層の何倍もの人数がいる。
市場規模としては国内最大だから狙わざるを得ない。
ただ、シニア層、平たく言うと老人層はそんなにファッション衣料にこだわるのだろうか?
これまでに60代以上で死んだ家族・親族を思い返しつつ、56歳の自身を鑑みてみると、若い頃はいざしらず、60代になってからもファッション衣料品に強い物欲を示し続けた者はいない。
当方は60歳手前だが、ファッション衣料品への強い渇望はもう無い。
老人層マーケットの存在は否定しない。
しかし、老人層が渇望するのはファッション衣料品ではないだろうと当方は考えている。衣料品・服飾品でいうなら、ファッション性より機能性ではないだろうか。
すでに50代でも己の関節の可動域が狭くなっていることが自覚できる。このまま何のトレーニングもしなければ、60代・70代でどれほど身動きが不自由になるのか、想像に難くない。
そうなると、動きやすい服とか歩きやすい靴、膝・腰が痛くならない靴、着脱しやすい服、などへの需要が大きくなるのではないかと思う。
当方はすでに歩きやすい靴、足が疲れにくい靴が欲しくてたまらない。それだけのために評判の高いオンのスニーカーを買ってみようかと考えているほどで、ファッション用途など二の次である。
ファッション衣料品よりは便利グッズとか健康ケアグッズとかそういうモノの需要は確実に大きくなるだろうと当方は見ている。
恐らく、10年後の60代・70代も今の老人層と同じような肉体の老化を感じることになるだろう。
今回の連載の最終回の冒頭はこんな一文である。
かつては、シニアと言えばこんなデザインというものがあった。テイストや志向が多様化し、世代による差はあまり無くなってきている。ただ、「サイズ感やパターンが違う」とはいまだに聞かれる。シニア向けの難しさの代表例として言われるが、それすらも固定概念に過ぎない。サンクリエーション(東京)の太田明良社長は「ファッションに興味があるシニア層は体形がそんなに変わらない。以前より若々しいし、将来の60代は今よりもっと若く見える可能性がある」という。
とのことで、当方は「今の老人層は若い」という主張には疑問を以前から感じている。
たしかに、髪型、肌の張り・ツヤ、服装センスなどが「若々しい」50代・60代は当方が学生時代に比べると増えた。だが、実際、髪型や服装で誤魔化しているだけで相応に老けている人の方が多いというのが当方が観察した感想である。
さらにいえば、見た目を若々しく取り繕ったところで、筋肉や内臓の衰えは1ミリも止まらない。
先ほど挙げた健康寿命平均はほとんど伸びていないし、先日発表された2025年の平均寿命も微増に過ぎず大きく伸びたわけではない。
日本人の平均寿命はどれくらい?|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター
厚生労働省の「簡易生命表(令和7年)」によると、2025(令和7)年の日本人の平均寿命※は男性が81.35歳、女性が87.33歳で、前年と比較して男性は0.26年、女性は0.2年上回りました。
とのことで、男女ともに0・2歳ほどしか伸びていない。
平均寿命が90歳、100歳に伸びているわけでもない。
そのように考えると、たしかに髪型や服装の工夫によって「若く見える」人は増えたが、平均寿命も健康寿命も劇的に伸びているわけではないから、筋肉や内臓の衰える速度は落ちていないということになる。
仮に平均寿命が120歳まで伸びて、健康寿命平均が100歳くらいまで伸びたのなら、老人層へのファッション衣料拡販という施策はそれなりに効果があると思うが、現状だと「見た目だけ」が若くなっているにすぎず、健康寿命平均も平均寿命も微増しているだけなので、それほどのニーズは生まれないのではないかと思う。
さらにいうと、精神的にも60代になってるのに良くも悪くもギラギラした人がそんなにいるのだろうかとも思う。当方は50代半ばでそういう物がほぼ無くなってしまっただけに。
繰り返すが、最多人口層となる老人市場への対応は確かに必要だが、需要が大きくなるのは、便利グッズとか補助グッズとか健康ケアグッズといった分野で、衣料品・服飾品分野では機能性商材へのニーズがこれまで以上に高まると考えられる。15年くらい前から期待され続けて一向に芽が出ないファッション衣料需要は、業界が期待するほどの大きなニーズに育つことはないのではないか、還暦間近の初老の当方はそんな風に眺めている。
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