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南充浩 オフィシャルブログ

百貨店のモードな売り場を好む層は一定数は存在するという話

2026年7月8日 百貨店 1

もう何年も前から時々書き込みをいただく方から

「そこそこ貯め込んでいる中高年は多いし、ユニクロ、ジーユーばかりでは物足りないと感じている層も多い」

というコメントをいただいた。

これはまさしく、その通りだろう。

 

 

「貯め込んでいる」という部分を除けば、当方ですら全身ユニクロ、全身ジーユーという己の姿を省みて、これはちょっとなあ、たまにはほかのブランドも買ってみないとなあ、と思ってしまう。

正直、ファーストリテイリングの社員みたいな服装をしていることが多々ある。収入的には到底追い付かないが服装だけはファーストリテイリング社員並みである。

当方の場合、その逃げ道はアンドエスティの値下げ品だったり、アーバンリサーチの値下げ品だったり、たまにベイクルーズの値下げ品だったりするわけである。支出額的にはユニクロと変わらないが、デザインや色柄は明らかに異なる。

しかし、貯め込んでいる層でいうなら、もっと高級ブランドを選ぶだろうし、百貨店で買うこともあるだろう。

 

 

 

《成長続ける阪急本店3階「モード」㊤》開設10年で売上高1.7倍、200億円規模に 待ち望まれていた“とがった服” | 繊研新聞

 

百貨店の衣料品、婦人服売上高の縮小傾向に歯止めがかからない。そんな中で、順調に売り上げを伸ばしているのが、16年春に開設した阪急うめだ本店3階婦人服の「モード」だ。コロナ下以外は増収を続け、25年度の売上高は17年度と比べて約1.7倍(面積はほぼ変わらず)に拡大した。デザイナーブランドなどを多彩に組み合わせたライフスタイル提案で、国内外のファンを増やしてきた。モードから派生した隣接売り場の「ビヨンドワールド」を含めた売上高は200億円規模となった。

 

とある。この阪急うめだ本店3階の「モード」売り場はそういう客層の関西の吸収装置になっているといえる。

25年の売上高が200億円規模に達したとあるから、200億円だと仮定すると、17年は117億円強ということになる。8年で80億円強増収しているのだから、そういう客層を集めることに成功している。

現在においても、モードを求める客層、もっと平たくいうとユニクロ、ジーユー、イオンモールでは満足できない客層は確実に存在することを意味している。

これと似たような売り場が、伊勢丹新宿のメンズ館ではないだろうか。

メンズとレディースの違いはあるが、イオンモールに並ぶメンズ服では満足できないという客層は男性にも確実に存在しており、それが伊勢丹メンズ館を長年にわたり成立させていることは間違いない。

 

 

 

個人的には「だから、オシャレなブランドをもっと揃えれば百貨店やファッションビルの売上高は伸びる」という業界内に底流する昔からの主張には疑問を持っている。

今回の阪急モード売り場の成功、伊勢丹メンズ館の強さ、それに関しては異論は無いし、そういう物を欲する客層が厳然として存在することにも異議は無い。

だが、その客層が全国津々浦々まで存在していて、マジョリティ化しているかというとそうではないと考えている。また「そういうオシャレ」に憧れている人が増えているかというと、そうではないと感じている。

 

 

まず、メンズ館も含めてファッションの総本山みたいになっている伊勢丹新宿本店を他の地方に全く輸出できていないという点に留意が必要だろうと思う。

伊勢丹新宿本店のエッセンスを取り込んだと称する他地方への出店はほぼ失敗に終わっている。

明らかに伊勢丹メンズ館を真似た阪急メンズ館も、どちらも非公表ながら伊勢丹メンズ館の売上高には遠く及んでいないと業界内では推測されている。

たまに梅田に出た際、阪急メンズ館を冷やかしに覗いて見ることはあるが、平日昼間はもちろんのこと、平日夜でも割と空いている。恐らくは土日祝日以外は空いているのではないかと推測される。あの客入り具合では売上高は伊勢丹メンズ館に遠く及ばないだろうと、実際にそう思えてくる。

 

 

 

今回取り上げられた阪急モード売り場を他の地方店に輸出した場合、恐らくは梅田店ほどの売上高には達しないだろうと思われる。メンズよりはレディースの方が需要は多いが、それでも梅田店には遠く及ばない結果に終わるのではないかと当方は考えている。

阪急モード売り場も、伊勢丹新宿本店もそういう客層を広域から取り込んで成立している。件の阪急モード売り場なら、関西一円からそういう客層を取り込んでいると考えられるし、伊勢丹新宿本店は関東一円はいうに及ばず、全国から取り込んでいると考えられる。

だから、伊勢丹が他地方に新宿本店のエッセンスを添加した地方店を出店してもなかなか成功しない。

もし、仮に阪急がモード売り場を他の地方店にもサテライトとして輸出しても期待ほどには売上高は稼げないだろう。阪急うめだ本店以外では成立しにくい確率が高いと考えられる。

 

 

ないとは思うが、逆に阪急うめだモード売り場の成功を見て、他社地方店が同様のコンセプトの売り場を作ることは何の効果も無いと考えられるだけでなく、その地方百貨店の寿命さえ縮めてしまう危険性があるのではないかと当方は考えている。

この手の売り場を好む客層の人口は、良くて現状維持、悪ければ年々減少しているのではないかと当方は思っている。

ビンテージジーンズブームや高額インポートジーンズブーム、DCブランドブーム、神戸エレガンスブーム、などの過去に起きたような大規模なファッションブームはもう二度と起きないだろうと思う。それゆえに、好調ではあるが、阪急が提案した「モード売り場」がマジョリティ化することもないだろう。

阪急うめだ本店にあるからこそ、広域からの客を吸い上げる集客装置として今後も稼働し続けることだろう。

 

 

・お知らせや仕事の依頼がありましたら、Gメールまでお願いします。
minamimitsuhiro0423@gmail.com

 

 

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 comment
  • キムゴンウ より: 2026/07/10(金) 11:00 AM

    大学で働いていると保護者と会うことがある。その時の母親の装いで、都市部の方か地方の方かがおおむねわかる。私の勤務する大学は関西にあるので、関西の保護者か非関西の保護者になる。関西の保護者でも頓着の無い方ももちろんいるのだが、今日的なドレスコードはなんとなく持っているように思う。(娘の影響もあるのだろう)ダメージジーンズの許容範囲であったり、カバンやアクセサリーの趣味などもそうだろう。一方で地方の保護者は「大学に行くときはこういう恰好で行くべきである。」のようなドレスコードをもっているように思う。いずれもそれなりに理解はできるのだが…。南さんがおっしゃるように>に阪急がモード売り場を他の地方店にもサテライトとして輸出しても期待ほどには売上高は稼げないだろう。阪急うめだ本店以外では成立しにくい確率が高いと考えられる。
    というのは非常にわかる。都市部でも地方でもルイヴィトンは売れるだろうが、地方でジミーチューは売れないと思うし、よりマイナーなブランドならなおさらだと思う。都会の風とやらを受け入れるのは、せいぜいデパ地下のお菓子くらいではないだろうか。

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