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南充浩 オフィシャルブログ

「オシャレは我慢」だと考えている人は激減しているという話

2026年7月1日 天候・気候 0

早いもので6月が終わった。

どうやら、今年の6月は14年ぶりの涼しさだったらしい。チラっと点けたテレビで気象予報士がそう言っていた。

ちなみに、現在、ヨーロッパでは最高気温40度越えの熱波が猛威を振るっていて、フランス、ドイツだけでなく東欧のポーランドあたりも苦しんでいると報道されている。今後、この熱波はさらに東欧に広がるとのことだ。

6月に限って言えば、完全にヨーロッパと日本の気温が逆転現象を起こしている。異常気象である。

とはいえ、当方は日本から出ないので、14年ぶりの涼しさはありがたい限りだった。

 

 

 

猛暑に備えて6月のうちに、吸水速乾服や遮熱服、日傘などを買い込んだ人もそれなりに多かったのではないかとは思うが、正直使用頻度は低かったのではないだろうか。

当方は日傘を1本紛失したほかはあまり使っていない。

今年の6月は先日の台風豪雨でもそうだが、意外と梅雨寒の日も多かった。当方は暑がりだから梅雨寒でも長袖を着ることはなく、半袖でヒンヤリした空気を楽しんでいたが、寒さに弱いと思われる人は長袖を着用していたし、なんなら分厚目の上着まで着ている人がいて、さすがにそれは暑くないのか?と他人事ながら少しだけ心配になった。

まあ、季節柄には沿っていない服装だとは思うが、それをどうのこうのというつもりはない。ただ、近年、シーズンレスな着用をする人は増えたという印象がある。

寒ければ夏でも分厚い上着を着るし、暑ければ冬でも薄着で闊歩している人は珍しくなくなっている。

 

 

 

何年か前の話になるが、2023年3月末でファッションビジネス学部ごとなくなったヒューマンアカデミー大阪校の非常勤講師をしているころ。たしか9月半ばごろに教員打ち合わせの日があった。

例年通り、その年も9月中頃はまだ暑かった。猛暑だったかどうかは記憶していないが少なくとも最高気温は30度は超えていた。当然当方は半袖である。半袖でも汗は止まらない。

そんな中、販売関係の男性教員が、季節先取りでシャギーニットの上からジージャンを着ていた。記憶が確かならフェルト素材っぽいベレー帽まで被っていた。

たしかに暦の上では秋口だし、販売員時代はその時期にそんな服装の先輩店員とも働いたことはあるが、さすがに「この気温で暑くないんか?」と驚愕してしまった。

さらに驚くことにその男性教員は汗1つかいた形跡がない。当方は額と首筋からボトボトに汗を流しているにもかかわらずだ。この人は超人ではないかと驚きしかなかった。

暑さ寒さの感覚は個人によってここまで差があるというわけである。

とはいえ、当方は汗をかくのが嫌いなので、今後も暑さがおさまるまで半袖生活を続ける。男性教員の季節を重要視する姿勢に感心はしたが、見習いたいとは一片も思わなかった。

 

 

 

さて、先日、こんなコラムが掲載された。

《めてみみ》残暑前提の秋物MD | 繊研新聞

残暑を前提にした秋物MDの見直しが広がっている。ユニクロは数年前から、半袖の夏物に加えて接触冷感機能の長袖Tシャツなど、8~10月の気温が下がらない時期でも客が手を伸ばしたくなる商品を開発、販売することでこの時期の売上高を伸ばしてきた。

無印良品も25年秋物から商品企画と販売計画を見直し、清涼感のあるリヨセルを使った秋の終わりまで長く着られるアイテムを7~9月にかけて投入した。今秋も晩夏向け商品は増やす。

いずれも万人向けのカジュアルが主力のSPA(製造小売業)ゆえの判断と見ていたのだが、日用品でなくファッションとしての服を売るセレクトショップでも、25年を境に残暑対応のMDを強化する動きが目立つようになった。

「秋冬物の新作を8月の店頭に並べてもあまり欲しいと思ってもらえなくなったから」だという。26年秋冬の展示会でも、初秋に売るアイテムとして、薄手の生地を使ったシャツやパンツの提案が増えていた。

 

 

とのことである。

このコラムを書いた記者は「大衆向けの大手ブランドは体感温度に左右されるが、ファッション需要の高感度(とされる)セレクトショップは体感温度に左右されにくい」と思い込んでいると考えられる。

ただ、これは当方が就職したころの業界のコモンセンスである。この論法を使うベテランが多く、2000年代前半から中頃までこの手のベテランが業界の上位にいた。

しかし、このコモンセンスは今は完全に崩壊している。

 

 

 

もちろん思想は自由である。だが、現実に無理に当てはめることは愚策である。

高感度な消費者に支持されやすいと仮定されている百貨店とて、毎月の月次売上報告では、売れ行きを左右する理由は「天候・気温」になっている。

猛暑が続けば百貨店とて夏物衣料が売れるし、寒くなれば防寒衣料が売れる。9月・10月でも暑ければ夏物が売れるし、寒ければ3月でも防寒衣料が売れる。

百貨店層でさえ、大半以上はそういう体感温度に沿った購買に代わっている。

 

 

ここ数年の猛暑を経て、あるショップは「もう日本に秋はない。高気温の中で着ることにリアリティーが感じられる服を販売する」ことにしたそうだ。江戸時代のしゃれ者は厚着で着ぶくれするのを嫌って冬場も薄着を好んだらしいが、酷暑の常態化と残暑の長期化で、薄着はおしゃれではなく命を守るための格好になりつつある。

と結んでいるが、もう季節先取りに憧れる消費者はマイノリティとなっていることを強く認識すべきである。

 

 

20年くらい前までは、アパレル業界と業界人は季節先取りを推奨してきた。

2月の立春になれば極寒でも春物を着ていたし、お盆を過ぎれば暑くても長袖を着ていた。ただ、そこまで我慢をしてまで服を着たいという人は極限まで減っている。

そういう生活スタイルを守りたい人、守っている人を否定する気はないが、それはあくまでも個人の特殊性癖であり、社会一般に求めたり、文化と言い張ることは筋違いでしかない。

 

 

 

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