メジャーとマイナーの格差が拡大し続ける状況
2026年6月24日 トレンド 0
百貨店、ファッションビル、ショッピングセンターなどの商業施設のオープンや改装に最近は目新しさをあまり感じなくなっている。
入店しているブランドがだいたいどこも同じだからだ。百貨店、ファッションビル、ショッピングセンター、それぞれに属するブランド群があるが、だいたいがお決まりのラインナップである。
2000年代半ばごろまでは、各施設ごとに目新しいブランドが導入されていたが、今ではそれぞれのカテゴリーごとにお決まりのブランドが導入されており、変わり映えしないラインナップの店舗が並んでいる。
とはいえ、これは弱肉強食の世界においては仕方が無いことで、古くは春秋時代に大小の国が100以上も乱立したが、戦国時代になると7大国と数国の小国に集約されていったのと同じ現象である。
20何年間かかけて、好調ブランドはより大きく成長したし、不振ブランドはどんどん淘汰されて消えて行ったということになる。
ファッションビルとショッピングモールは一部テナントラインナップが重なっており、だいたいどの施設にもユニクロ、ジーユー、無印良品、グローバルワーク、ハニーズあたりが入店している。そして、最近はそこにワークマンカラーズ、ワークマン女子が進出してきていて、それで固定化され始めている。
百貨店になると、オンワード、ワールド、三陽商会あたりのブランドがいまだに集積されていて、この分野はこの分野でどの百貨店もさほど変わり映えしない。
これは当方だけでなく、顔見知りのアパレル関係者やメディア関係者もほとんどが「導入ブランドの同質化」を感じている。
その一方で、業界メディアを見ていると、日々、新しいブランドがいくつもデビューしている。メディアで報道されないブランドを含めると相当数が1年間に生まれているといえる。あまりにも多すぎて、当方は全く覚えきれていない。これだけ大量のブランドが生まれ続けているにもかかわらず、商業施設のブランドラインナップは同質化しているというのが、今のアパレル業界のザックリとした俯瞰図だといえる。
先日、コロナ禍以来、久しぶりにお会いした人がいる。かつてはギャル系ブランドでMDなどを担当していて、今は異業種に移った今年40歳の男性である。
年齢でいうと当方と16~17歳も下である。もちろん、ギャル系ブランドについての知識や造詣は当方より格段に深いことはいうまでもない。
その彼が「最近は、デビューするブランドが多すぎて全然把握できていない」というのである。この人が把握できないのなら、業務的にも無関係な上に興味も薄い当方ごときが覚えられるはずもない。
先日、調べものをしていて、ふとアダストリアの子会社であるBUZZITが目についた。
衣料品ブランドのネット通販に特化している会社である。この会社のブランドラインナップをちょっと覗いてみたわけである。
でブランドラインナップを開いてみた。
現在は44ブランドを展開中なのだが、ハッキリいって、知っているブランド名が1つも無い。おまけにどのブランドも似たようなテイストで見分けがつかない。逆に、なぜわざわざ違うブランド名をつけて個別展開しているのかがわからない。まあ、当方には理解できないが合理的な理由があるのだろうと思う。
どのブランドもマイナーな存在だと思われるため、それぞれの売上高はそんなに大きくないだろうと推測される。
しかし、この会社の売上高は122億円(25年2月期)もある。とはいえ、各ブランドが年間2億7000万円ずつ売り上げれば、年間で122億円の売上高に到達する。1か月あたり2000数百万円の売上高があれば実現できるので、そう高いハードルではない。塵も積もればというやつだろう。
同様のことは、近年メディアを賑わせているyutoriにもいえる。
ハッキリ言って、同社がラインナップしているブランドは何一つとしてしらない。ちなみに先日の彼も「自分もあの会社のブランドはどれも知らない」と話していたので、一安心した次第である。(笑)
何が言いたいのかというと、アパレルブランドのマス層への知名度という点において、メジャーブランドとマイナーブランドの格差がより大きくなってきているのではないかということである。
大衆のほとんどが知っているユニクロ、ジーユー、無印、ワークマンなどに対し、コアなファンしかしらない無数の有象無象の小規模・零細ブランド。昔からその構図はあった(格差の無い世界など存在しない)が、2010年代以降その格差がより大きくなってきており、今後さらに格差は開くのではないかと感じられる。
以前から、何度も「かつてサブカルと呼ばれたアニメ・漫画がメインカルチャーになり、メインカルチャーを気取っていたファッションがサブカルになった」と書いているが、最近ではその論調が広まりつつあると感じている。
しかし、メインカルチャー化しているアニメ・漫画でも誰もが知っているメジャー作品と、コアな愛好家しか知らないマイナー作品の格差は大きく、しかも年々格差は拡大している。
最近は、3か月ごとにアニメ作品が入れ替わる。だいたい12話前後で終了して、半年後から1年後くらいに続編12話を放送・配信するという流れになっている。
その中で、大衆に見てもらえるメジャー作品はほんの数本である。ところが、毎シーズンの新作アニメ本数は50本とか70本もある。(シーズンによって本数は変動する)
要は、大衆に支持される大メジャー作品が数本で、残り50本はコアなファンしか観ないマイナー作品ということになる。そしてそのマイナー作品群の大半以上が「異世界転生」「異世界召喚」物である。ティーバーでもアベマでもAmazonプライムでも見てみると「異世界〇〇」という作品が何十本も並んでおり、ハッキリ言って、アニメ好きな当方ですら見分けがつかない。
アニメ作品もアパレルブランドも構図は相似形になりつつある。
今後、マス層に支持されるメジャーはさらに大きくなるだろうし、オタクというコアなファンに支持されるマイナーはさらにオタク化するだろう。それはアニメ・漫画もアパレルブランドも同様だろう。
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