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南充浩 オフィシャルブログ

青山商事の課題は店舗数の93・5%が「洋服の青山」で占められていること

2026年6月17日 企業研究 1

スーツ大手4社の中で、異業種も合わせた総売上高はAOKIが首位に立ったが、アパレル事業の売上高は今でも青山商事が首位を維持している。

決算短信を見ると、印刷・メディア事業、不動産事業、フランチャイジー事業など異業種の種類は多いが、個々の売上高は最大でも170億円規模なので、合計すると異業種の売上高はAOKIの方が大きいわけである。

アパレル事業の売上高は1249億9900万円もあるが、対前期比は6・6%減と苦戦傾向にある。アパレル事業の営業利益は51億8300万円あるが、対前期比だと38・1%減と大幅減益となっていて、利益面でも苦戦していることがわかる。

 

 

 

青山商事のアパレルい事業は、もちろんメンズスーツを主力商材としているが、割と総花的で、従来の既製スーツのほか、「みんなのスーツ」や「ゼロフレッシャースーツ」などの高機能合繊セットアップ、「シタテ」や「麻布テーラー」の低価格オーダースーツ、ビジカジ業態の「スーツスクエア」など、メンズスーツ業界各社が取り組んでいる事業をことごとく網羅していて、総花的・総合的である。

例え方が悪いかもしれないが、AOKI・はるやまに比べると低価格オーダースーツには積極的に取り組んでいるし、コナカに比べるとビジカジ業態・ビジカジアイテムには積極的に取り組んでいるといえる。

こういう総合的な取り組みが可能になるところが、かつての業界首位、現在でもアパレル事業は業界首位の底力があると感じられる。

 

 

とはいえ、主力であるアパレル事業で減収大幅減益となっているのは、スーツという商材そのものの需要減や個人の可処分所得の伸び悩み以外にもそれなりに問題点が存在しているからだと考えられる。

まず、各業態の店舗数から見ると、圧倒的に従来型の「洋服の青山」が多い。なんなら「ほとんどが洋服の青山」と言ってしまっても過言ではない。

26年3月末の時点で、麻布テーラーを除くアパレル事業の店舗数は720店舗ある。

このうち、実に673店舗が「洋服の青山」である。全店舗数の約93・5%が「洋服の青山」である。「洋服の青山」は「おっちゃんくさい」とか「ロードサイド路面店でダサい」とかそういうイメージで見られがち・語られがちである。

今の現役世代の消費者がわざわざ「洋服の青山」を選ぶかというと難しいだろう。そして上得意だった団塊世代は完全リタイアしてしまっていて冠婚葬祭以外にスーツを必要としなくなっている。

そうなると「洋服の青山」業態がほとんどだとリピーターも作りにくいし新規顧客も獲得しづらい。

 

 

かつてのツープライスからビジカジ業態へと移行した「スーツスクエア」だが、これは3月末時点で36店舗しかない。前身であるスーツカンパニーが25年3月末時点で43店舗の展開だったので、それよりも7店舗減少しているということになる。

ほぼ、同業態と考えられるAOKIの「オリヒカ」は26年5月末時点で120店舗を展開しているから、3分の1以下の店舗数しかないということになる。

オリヒカがめちゃくちゃ高イメージだとは全く思わないが、今の現役世代にとっては「洋服の青山」よりははるかに足を運びやすいイメージがあるだろう。

また、オリヒカでいうと、都心ファッションビルにも入店しているし、郊外型ショッピングモールにも入店している。しかし「洋服の青山」では都心ファッションビルはおろか、郊外型ショッピングモールですら入店するのは難しいだろう。現に「洋服の青山」が入店しているイオンモールを当方の知る範囲では見たことがない。

もちろんロードサイド路面店の方が営業時間や定休日の設定など自由度は高いが、現役世代ビジネスマンを獲得するにはショッピングモールへの出店は不可欠ではないかと思われる。

 

 

 

「シタテ」の展開、麻布テーラーの買収によって低価格オーダースーツへも本格的に参入したが、低価格オーダースーツの市場規模の小ささゆえに1245億円の青山商事のアパレル事業を支える大きな柱とはなり得ていないと考えられる。

26年2月末時点(麻布テーラーの期末店舗数は2月末での表記)で麻布テーラーの店舗数は29店舗である。1店舗当たりの年間平均売上高が2億円あったと仮定すると、全店では58億円である。平均売上高が1億円だとすると29億円。麻布テーラーの売上高は非公表だが、だいたい20億~50億円の間だと考えられる。アパレル事業全体に占める構成比はかなり小さい。

 

 

青山商事は決算短信でなぜか毎回、メンズスーツの販売数量と客単価を公表してくれている。ちなみに26年3月期決算短信では「セットアップスーツ含まず」という明記してくれているからカジュアルセットアップは除いた数値である。

それによると、26年3月期のメンススーツ販売数量は95万5000着で初めて100万着を割り込んでいる。客単価は34917円と昨年より840円ほど伸びているが、物価上昇率を考えると伸びているどころか減少しているに等しいのではないかと考えらる。数量は昨年よりも9万3000着減少している。

これらを踏まえると、数量は9万着以上減少し、客単価は物価上昇率よりも低いレベルでしか上がっていないため、低価格オーダースーツの貢献度は極めて小さいか、無いに等しいと考えられる。

 

青山商事の今後の取り組むべき方向性は、従来型の「洋服の青山」への偏重を減少させ、スーツスクエアに代表されるビジカジ業態を拡大することだろう。

低価格オーダースーツは以前にも述べたように中小企業に向いた業態だといえるので、今のペースでぼちぼちやりつつ企業全体としてのイメージアップにつなげられれば儲けものというスタンスで良いだろう。

 

 

くどい様だが青山商事の最大の問題点は従来型の「洋服の青山」店の比重が極端に大きすぎるところにある。これをどう改善するのかが、今後の青山商事の生き残りを左右することになるだろう。

 

 

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minamimitsuhiro0423@gmail.com

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2026/06/17(水) 1:48 PM

    素人目でも、低価格でもオーダーだとゲージ服を着させて補正するフィッターの技量が必要になるし、そのフィッターを育てるのも時間と労力かかるし、下手なフィッターに当たったお客さんは満足度下がるし、作るのも個別に細かく型紙とか仕様とかを変えて大変な割りに低価格で利益は少ないし、とぜんぜん大手チェーン店がやるメリットなさそうですw

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