シンプルベーシックな新規参入リカバリーウェアは通用しない
2026年6月2日 トレンド 0
5月としては暑い日がたびたび襲来しているが、過ごしやすい日もある。
救いは朝夕は結構涼しいところで、大阪は今のところ熱帯夜は訪れていない。そんなわけで5月中は冷房をかけずにがんばることができた。
そうは言っても、冬用の繊維製品では暑い。寝る時の掛け布団はさすがに冬用は収納して、夏用の薄い肌掛け布団に換える必要がある。
ただ、かれこれ20年以上使って来た肌掛け布団が、数年前に表地が破れてきたのである。綿100%の表地が破れて、中の薄い綿がむき出しになっている箇所がある。放置していても修復することが無いのは承知しているが、それでも今まで放置してきた。
しかし、先日、新しい肌掛け布団を買おうと腹を決めた。
ワークマンに向かうと、リカバリーウェア「メディヒール」のタオルケットが入荷していた。正確な商品名は「タオルブランケット」である。
価格を見ると2300円。敷きパットが1900円だったことに比べると400円も高い。さらに成分組成を見ると綿75%・ポリエステル25%となっている。
400円も高い価格に躊躇し、さらに綿75%という成分組成でさらに躊躇した。
基本的にリカバリーウェアの「血行促進作用」というのは、セラミックや鉱石を練り込んだポリエステル繊維によって実現されている。実際にその効能があるのか無いのかは置いておく。
セラミックもしくは鉱石を練り込んだポリエステルによって「血行促進効果」があるとされているというのが基本原理である。
それが証拠にメディヒールのウェア、敷きパット、いずれもポリエステルが主成分である。敷きパットはポリエステル100%である。メディヒールの半袖肌着はポリエステル90%・ポリウレタン10%である。
しかし、このタオルケットはポリエステル25%に過ぎない。肌着やルームウェアよりも血行促進効果は期待できないという結論になる。
そのため、このタオルケットの購入を見送った。成分組成だけでいえば、綿100%の他社タオルケットとほとんど変わらない機能しかないだろうと推測されるからだ。
その後、ふと思い立って「デイリーファッション ぱれっと」へ立ち寄った。寝具コーナーがある。
そこには何品番か夏用の掛け布団が販売されていたが、その中から、裏面パイルの肌掛け布団を選んで購入した。両面ともにポリエステル100%で洗濯しやすい上に、価格が税込み1639円である。メディヒールのタオルケットよりも660円ほども安い。松屋でカレー大盛りを1杯食えてしまう。
もちろん、この肌掛け布団に疲労回復効果は皆無である。とは言っても、メディヒールのタオルケットとてほとんど疲労回復効果は望めないのだから、松屋のカレー大盛り1杯分が節約できた方がメリットが大きい。
そんなわけで、ぱれっとの肌掛け布団で寝ているが、何の問題も無い。
ただ、ワークマンの売り場を見ていると、新入荷分や再販分以外のリカバリーウェアはほぼ完売してしまっており、リカバリーウェア人気のすさまじさが感じられた。
このリカバリーウェア人気は、果たして定着なのか?
当方は「お試し購入」だと以前から書いている。お試し購入したいという人がまだまだいるということで、低価格も手伝って完売状態が何か月も続いていると見るべきだろう。
繊研新聞も同様に「お試し購入」だと指摘している。
【記者の目】競争激化するリカバリーウェア 〝リカバリー〟と称するだけでは通用しない | 繊研新聞
医療機器のリカバリーウェア市場が依然として活況のようだ。疲労という日常生活で身近な悩みに応えてくれるかもしれないという期待感から、中高年層を中心に消費者の興味を引いている。昨年に相次いだ、低価格帯商品の登場は疲労回復効果に懐疑的だった層の背中を押した。それによる〝お試し購入〟が市場の急拡大に結び付いている。しかし、大手から中小零細まで続々と新規参入して競争がますます激しくなるなか、各社はどのように市場で存在感を発揮していくのか。
とのことで、この論調については当方は深く賛同する。
そして、競争が激化していて「リカバリー」「医療機器」と謳うだけでは最早通用しないというのもその通りである。
当方は「一般医療機器」の中では業界最安値と目されるワークマンのメディヒールの上下セットと敷きパットを購入して使い続けている。特に寝間着としてはまるまる1年間着用し続けてきた。
効果は実感しないが、サプリメントの摂取やランニング、ストレッチ、筋トレとの相乗効果なのか、謎の倦怠感はかなり軽減された。
とはいえ、続々と各社がワークマンよりも高い価格帯でいまだに参入し続けている状況を見ると、ほんまにその値段で売れるん?という疑問しかない。特にブランドイメージが定着していない新規参入ブランドには。
リカバリーウェアは現状、肌着と寝間着に集中している。デザインはいずれもシンプルベーシックで黒無地・白無地・あとはグレー無地か紺無地、茶無地くらいだろう。
外衣ではないからそれで十分なのだろうが、当方からすると黒無地の寝間着、黒無地の肌着を買うなら一番安い商品でよいのではないかと思えてくる。しかも他社製品との血行促進効果の差は数値化で示されていないのである。効能があやふやな商品でベーシックデザインなら最安値品を買うのが最も効率的である。しかも着用した姿を誰に見せるわけでもない。ワークマンよりも高い新規参入商品が売れる理由が当方には見つからない。
繊研新聞の記事もそこを指摘しているといえる。
もし、当方にアドバイスを求められることがあれば、ベーシックデザインなら勝ち目は薄いと伝える。
そんな中、旧知だが、長らく10年くらいお会いしていないアレスという会社から、リカバリーウェアに参入をしたというお知らせを先日いただいた。
「また失敗するんじゃないの?」
と思って案内を見たところ、阪神タイガースとのコラボ商品だった。
阪神ファン専用アクティブ&リカバリーウェア『虎着』誕生 特許機能素材「スパオール」活用 応援と回復の両面を支える – OSAKA STYLE
トップス単品で1万円前後もする上に、当たり前だが、阪神タイガースのロゴがプリントされていて、当方は全く欲しいとは思わない。まあ、タダでもらえるなら寝間着としては着用するが、自分で買おうとはデザイン的にも価格的にも思わない。
しかし、この売り方なら一定数量は売れるだろうと思う。無地ベーシック商品ならこの価格では売れにくいが、阪神ファン向けアイテムであるなら、これを購入する阪神ファンは一定数いるだろうと思われる。
年間の観客者数が400万人を超えている阪神タイガースである。その100分の1が買っても4万枚の数量だし、その400分の1が買っても1万枚の数量になる。
純然たる疲労回復需要かどうかは別として、必ず一定数量の販売が見込める売り方としては非常に優れた設計だと感心した次第である。
これから新規参入を考えている業者がいるなら、こういう「ファンアイテム」に特化した販売方法なら勝算があるのではないかと思う。
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