セブンイレブンがアンドエスティと協業でコンビニ服を今秋から開始するという話
2026年5月25日 企業研究 0
通常の大手アパレル企業と比べると売上高は小さいが、完全に一つのジャンルとして定着したのが、コンビニ服である。
とはいえ、実質的には「コンビニ服=ファミマ」である。ローソンも後追いで展開しているが、以前にも書いたように、スポット的に年に2度ほど新商品を投入して終わってしまい継続性が無い。
コンビニ最大手のセブンイレブンは本格的なカジュアル服は展開できていない。
そんなセブンイレブンが、コンビニカジュアル服への参入をほのめかしていたが、ようやく具体的な内容の一つが発表となった。
セブン-イレブンが今秋アパレル販売をスタート アンドエスティHDとタッグ
セブン‐イレブン・ジャパンが、9月からアパレルの販売を本格的にスタートする。「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ニコアンド(niko and…)」などを運営するアンドエスティHDと協業し、Tシャツや靴下、マフラーなどを販売する。
アパレルは、定番商品としてTシャツや靴下に加えて、ハンカチやエコバッグを販売。シーズナル商品としてマフラーやスウェットなどの取り扱いも予定している。価格帯は現時点では未定。
とのことである。
ファミマが伊藤忠と提携しているのは広くしられている。ローソンにはそういう提携先はなく、フリークスストアとのコラボ商品を年に2度ほど投入するにとどまっている。
いずれにせよ、コンビニ大手が単独でカジュアル服に取り組むことは難しい。
セブンイレブンがどこと組むのかと思っていたが、アンドエスティという選択は現時点では悪くはないのではないだろうか。
組み方にもいろいろとあるが、ローソンとフリークスストアのような散発的なコラボにならないことを願うのみである。
今回の提携で真っ先に思い浮かんだのが、もちろんアンドエスティというアパレル大手の実力を考慮してのことだろうが、セブンイレブンは傘下だったイトーヨーカドーで展開していたファウンドグッドの早期終了の埋め合わせという意味合いもあったのではないか、ということである。
アンドエスティHDは、当時同じくセブン&アイグループにあったイトーヨーカ堂とGMS(総合スーパー)向けアパレルブランド「ファウンドグッド(FOUND GOOD)」を展開していたが、2年で販売を終了。
という経緯があった。
イトーヨーカドーの持ち株会社であるヨークHDが昨年9月に米国ファンドのベインキャピタルに買収され経営体制が変わったため、急遽ブランド終了が決定した。
実際に、昨年秋、アンドエスティの当時の関係者の一人も「ベインが入ってきて急速に環境が変わって終了が決定してしまった」と当方に話していた。
企業取引と言っても、人間対人間なので、普通の感覚であれば当然貸し借りの概念はある。セブンイレブンとしてはファウンドグッドの埋め合わせという側面もあったのではないかと、思ってしまう。
ただ、カジュアルブランド展開は百戦錬磨のアンドエスティとはいえ、コンビニ服は初めてである。
通常店とは勝手が違う。実際にどのような店頭陳列になるのかはわからないが、先行しているファミマを参考にすると、店舗面積が狭く陳列場所も狭いコンビニ服はパッケージに入れたままで展示するほかない。また、陳列スペースもラック1台程度に限定されるため、展開できる型数も限られる。
要はアンドエスティがこれまで得意としてきたフルアイテムのトータルコーディネートは使えないから、単品MDを組む必要に迫られる。果たして、アンドエスティが単品MDで年間適切に回して行けるのかどうかである。
また、コンビニに試着室は無いため、アンドエスティが自社店舗で培ってきた接客ノウハウも使うことはできない。「パッケージに入ったままで試着なしで買ってもらえる単品」という商品を企画し続けなくてはならない。これを短期間でアンドエスティが体現できるのかどうか不確定要素は多々ある。
さらにいえば、ファミマ服がある程度の顧客を獲得している状況下で、コンビニのTシャツや靴下、スエットの需要が今以上に拡大する可能性があるかどうか、も問題といえる。
今回の記事では
将来的に、ECモールのアンドエスティで販売しているブランドやその派生ラインを全国に圧倒的な店舗網を持つセブン-イレブンでも販売していくことができれば、アンドエスティへの他社ブランドの誘致においても強みとなり得る。
と今後の展望について提案しているが、実際にはこの提案は実現不可能に近いのではないかと当方は見ている。
なぜなら、コンビニの店舗面積はそもそもが小さい上に、洋服陳列スペースも狭い。成功者と呼ばれるファミマとてせいぜいラック1台から3台程度である。メイン商材たる食品や日常雑貨品のスペースを過剰に殺してまで洋服の陳列スペースを広げるのは愚策中の愚策である。洋服販売あくまでも余技に過ぎない。ラック1台と仮定すると、セブン×アンドエスティの本体ラインがほとんどを占めることになり、アンドエスティの展開する他ブランドや派生ラインなど並べるスペースは無い。
セブンのコンビニ服は、スタート当初から爆発的に何百億円も売れるということはないだろう。5~6年くらいかけて100億円に到達できるかどうかだろうから、セブン、アンドエスティともに根気よく続けられるかどうかが最大のカギになる。モノ言う株主を気にして短気を起こせば早期に消滅するだろう。
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