「販促に使いやすい数値」を重視しすぎる悪癖を発現しつつあるワークマン
2026年5月22日 企業研究 2
年初から3月までの記録的少雨(関西)から一転して4月からは雨の日が増えた。
4月中旬までの高温から転じて、5月の連休明けまでは比較的冷涼な気温が続き、当方にとっては快適だったが、5月半ばから夏日が増え、雨の日は蒸し暑くなっている。また当方の苦手な季節に突入しようとしている。
雨の日の外出だが、以前も書いたように基本的には、ワークマンの防水シューズを履いて、防水リュックを持って出かける。あと、ユニクロUのブロックテックの野球帽もリュックの中には忍ばせている。
あと、ズボンはポリエステル100%のもの、アウターも防水性の高い物を選ぶが、この季節から10月末くらいまでは蒸し暑くて「単なる防水アウター」では外の雨は防げても、中は汗だくになっている。同じくらい濡れるので防水アウターを着る意味が無い。そうすると「防水透湿アウター」に目が行くわけだが、金銭に糸目をつけないならゴアテックス採用アウターが堅実だろうと思う。
なるべく安くと思うのであれば、ユニクロのブロックテックだろうと思うが、この分野で近年積極的に販促を打っているのがワークマンである。
今春夏もワークマンは「防水透湿アウター」と銘打ったシリーズを何品番も投入しているが、公式通販サイトのレビューを見る限りにおいて、評価は高くない。もっと率直に言うと低評価祭りである。特にエックスシェルター防水透湿シリーズが低評価祭りである。


アパレル系インフルエンサーは後々の仕事への影響を考慮してか、この問題には全く触れないのだが、このユーチューバーだけは積極的に低評価となる原因を解説していて好感が持てる。
低評価レビューで最も多いのが「防水透湿なのに雨の日に着用したら普通に濡れた」というものである。これらのレビューが事実だとすると、それはもう防水透湿アウターではなく、普通のアウターでしかない。ではなぜ、防水透湿アウターのはずが雨に濡れる普通のアウターになるのか、である。
XSR004 エックスシェルター(R)プレミアム超透放湿ウルトラレインジャケット | ワークマン公式オンラインストア
興味のある方は動画を全編観ていただいた方が良いだろう。
かいつまんでまとめると、まず、生地を2枚張り合わせたて防水透湿性を確保する仕様になっているわけだが、外側に防水性の高いと思われる素材、動画内では「撥水」としか書かれていない(耐久撥水や永久撥水ではない点に注意)ことが指摘されている。内側には湿度を吸湿放出する目的で「吸水速乾素材」が貼り付けられている。
ここで問題になるのが、このエックスシェルターアウターは「耐水圧30000mm」「透湿度10万グラム」とタグに表記されている。(公式サイトのサムネ画像は何故か「透湿度5万グラム」になっているが、その下のアイコンは10万となっている。ワークマンのミスではないか?)

で、アウトドアウェアに当方はさほど詳しくないが、動画内でも語られているように「透湿度10万グラム」というスペック数値の高さは業界内でも見たことが無いという。
当方も知る限りにおいてそのスペック数値の高さの服を見たことが無い。
で、透湿度10万を試験的に達成するためには、内側は極度に吸水性が高い素材が採用されていると思われる。極度に吸水性の高い素材を裏面に貼り付けることによって、表生地に付着した雨を過剰に吸収しているのではないかと推測できる、と動画では解説している。
さらにいえば、表の生地も透湿性を確保するために、密度の甘い(糸と糸の隙間が多い)生地を採用しているようで、その隙間から雨が強力な吸水速乾素材に吸収されてしまっているのではないかと思われる、と指摘している。
ではなぜ、このような生地が採用されたのか?
これも動画内で指摘されているが、
生地検査の数値を見ただけで生地の採用を決めたのではないか?
である。これは当方も賛同する。
生地の試験数値の結果を見ただけで採用してしまい、その後、完成品のサンプルを着用テストしなかったのではないかと思われる。
通常の服ならサンプルチェック無しでもさして問題は無い(本当は着用チェックすべき)が、高機能性を謳っていて、災害時には着用者の命にまで影響を及ぼす商品なのだから、実際に雨の中で着用テストをすべきなのである。もし、指摘通りに本当に着用テストをしていないのなら、それはワークマンのとんでもない怠慢であるといえる。
そして、このような生地が採用された理由は「透湿性10万」という数字の達成だけが目的化されていたからではないかとも指摘されているが同意である。
これは、特に売れ始めたころからのワークマンの企業体質だが、マーケティングというか販促に異様に重きを置いていて、見映えする「スペック数値の高さ」や「機能性」を過剰に重視して打ち出す傾向が強い。
まあ、元々の作業服屋から脱却して、今の立ち位置に来るため「モノを変えずに売り方を変えたら2倍売れた」みたいなことを成功体験として嬉々として語っているので、それがこびりついているのだといえる。
売り方=言い方を変えたら何でも売れる。それがワークマンの成功体験となって企業に深く根付いてしまっている。
長所と短所は表裏一体だから、かつての長所は今、短所となって顕在化し始めているといえるだろう。
実はこの危険な兆候は、2024年11月のワークマン女子六地蔵店オープンの際の取材の時に感じていた。
この時、すべての商品のタグに「機能性アイコン」を付けたと嬉々として語られた。しかし、純然たるカジュアル用品で綿100%Tシャツなんていうのは、「特筆すべき機能性」は無い。そういう物にも無理やりにでも機能性表示をしている危険が感じられた。たしかに普通の綿100%Tシャツでも謳おうと思えば「吸水性」とは表記できる。しかし、綿100%に吸水性があるのは当たり前のことだから間違ってはいないが、限りなくグレーな販促表記と言える。
こういう下げ札である↓

言い方ひとつで何とかする、その成功体験がこの時くらいから悪い方向に顕在化し始めているように感じられた。
これまで、成長を支えてきた「販促重視」の企業体質は、このエックスシェルター問題をすみやかに解決できなければ、今後は先行きを悪い方向へといざなうことになるだろう。同じ失敗をあと2、3回繰り返せば、消費者が持っている「高機能性イメージ」は完全に無くなり、ワークマンは「元作業服屋の単なる低価格カジュアルブランド」にすぎない存在になってしまうだろう。メディヒールの好調さばかりが喧伝されるが、ワークマンは岐路に直面しているといえる。(リカバリーウェア1本で食っていくなら話は別だが)
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細野 より: 2026/05/23(土) 7:00 PM
こういう話を聞いてしまうと、作業服や安全靴など、現場で使う物の安全性や耐久性まで本当に担保されているのか不安になりますね。
得てしてこういうのは、「〇〇さんの企画だから悪いと分かっていても誰も指摘できない」みたいなことになってるんじゃないですかね?ちゃんとリカバリーできるのか高みの見物w