異業種事業部と比較するとアパレル事業部の営業利益率の低さが目立つ事例が多いという話
2026年5月15日 決算 0
各社の3月期決算の発表が続いている。業績の格差は当然ある。
その中で、繊維・アパレル事業と異業種の両方を手掛けている企業の中で、繊維・アパレル事業の営業利益率がかなり低い場合が散見される。
例えば、先日、書いたAOKIの決算だが、アパレル事業の売上高は異業種事業に比べると500億円くらい多い。それにもかかわらず、営業利益はアパレル事業が85億円、異業種が72億円とわずか13億円しか差がない。いかにアパレル事業の営業利益率が低いか、異業種の営業利益率が高いか、を示している。
グンゼも同様の傾向である。
グンゼは現在、4つの事業部がある。
機能ソリューション事業、アパレル事業、メディカル事業、ライフクリエイト事業である。当然、アパレル事業以外の3つは異業種である。
2026年3月期連結決算は
売上高 1309億1800万円(対前期比4・5%減)
営業利益 48億8200万円(同38・4%減)
経常利益 49億2000万円(同39・9%減)
当期利益 5億900万円 (同91・9%減)」
という減収大幅減益に終わった。
事業部別に見てみると
機能ソリューション事業 売上高475億4300万円 (同8・9%減)
メディカル事業 売上高131億9700万円(同1・9%増)
アパレル事業 売上高585億9700万円 (同3・6%減)
ライフクリエイト事業 売上高125億3000万円(同4・4%増)
となっており、減収したものの、アパレル事業部が依然として社内で最大の売上高を稼いでいる。
しかし、営業利益で比較すると全く話は変わってくる。
機能ソリューション事業 営業利益72億3400万円 (同0・4%増)
メディカル事業 営業利益14億7400万円 (同39・3%減)
アパレル事業 営業損失13億3400万円
ライフクリエイト事業 営業利益12億3200万円 (同24・7%増)
となっており、アパレル事業だけが営業赤字に転落している。
大幅減収に終わったメディカル事業ですら営業黒字なのに対してアパレル事業は営業赤字である。しかも売上高は社内で最大である。いかにアパレル事業の利益率が悪いかを示している。
グンゼのアパレル事業は肌着、靴下、パジャマがメインで一部にアウター類があるという構成になっている。最大の販路は大手スーパー・量販店でそのほかが一部百貨店、一部専門店、一部直営店である。
百貨店依存率が異常に高い三陽商会が足踏み停滞しているのと同様に、衣料品売り場の落ち込みが止まらないスーパー・量販店が主販路というところが厳しい状況を作り出している。
量販店の衣料品売上高は年々低下し続けており、直近ではついに6600億円にまで低下している。全社合わせて6600億円なので、しまむら1社よりも衣料品売上高は低い。イトーヨーカドーが肌着・靴下を除いて衣料品売り場を止めてしまったことは記憶に新しい。
一般的に評価が低い量販店・スーパーの衣料品売り場だが、肌着・靴下類の売り場は比較的支持が高いので、グンゼやその他の量販向け肌着・靴下メーカーはまだ存在感が発揮できている。アウター専門のメーカーならもっと厳しい状況に陥っていただろう。
しかしながら、スーパー各社も利益率向上のためにPB化を高めている。イオンのトップバリュやトップバリュコレクションなんかがその典型例である。
要するに自社企画製品を増やして他社からの仕入れ品を減らしているわけである。
そうなると、いくら、グンゼといえどもスーパー・量販店販路で今以上に売上高を稼いだり、利益率を向上させたりすることは至難の業になる。
今更、百貨店を強化しても、衣料品が強い一部店舗を除いては百貨店販路にも旨味はほとんどない。専門店も大手有力セレクトチェーン店以外は弱っている。特に個人経営店はオーナーや店主の老齢引退とともに消えるのが今の流れである。
ちなみに2016年4月に買収したカジュアルチェーン店「ジーンズカジュアルダン」は今年2月で店舗を閉鎖し、会社清算を進めているとのことで、恐らくは直営店展開強化を目的に、チェーン店のノウハウを蓄えるために買収したと思われる。さらにいえば、カジュアルアウター店との自社が得意とする肌着・靴下とのシナジー効果も狙っていたのではないかと思われるが、そのどちらも実現しないままにダンの売り上げ不振を回復させられなかったのだろうと考えられる。
グンゼのアパレル事業が活路を見出せるとすると、直営店販路とEC販路しかないが、そのどちらも短期間で目覚ましい成長を実現するのは難しい。ましてやグンゼはメーカーで店舗運営ノウハウを持っていないし、肌着・靴下という地味なアイテムが主力商材である。
アイテム特性でいうならECの方が単品パーツとして売れやすいのではないかと思う。実際、当方もAmazonでグンゼの肌着、靴下を買ったことがある。(もちろん、値引き品である)
詳細な比率は尋ねたことがないが、ECでいうなら、グンゼの直営自社サイトよりも、当方も買ったことがあるAmazonや楽天などの大型モールからの売上高の方が圧倒的に多いのではないかと考えられる。以前から書いているように、一部の強力なブランドを除くと、概して直営ECサイトよりも大型モールからの売上高が圧倒的に伸びる場合が増えているから、グンゼが今から自社サイトの売上高を伸ばすという作業は非常に困難を伴うと考えられる。
このように見てくると、グンゼ、AOKIに限らず異業種が好調なアパレル企業は異業種を伸ばした方が効率的ではないかと思えてくる。
今回のグンゼの決算発表でもアパレル事業の構造改革についての経営陣からの言及が多かったが、それは当然といえる。商材的にも主力販路的にも舵取りが難しいグンゼのアパレル事業だが、なんとかがんばってもらいたいと切に願っている。
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