「検索」からの自社サイトへの流入が激減しているという話
2026年5月8日 ネット通販 0
ゴールデンウイーク前のことになるが、あるブランドのウェブ関係担当者とお会いして雑談がてら話を伺った。
その時に出てきた話題は大きく分けて2点。
1、自社直販サイトの売れ行きが伸びず、大手ECモールでの売上高が伸びている
2、Googleを始めとする検索エンジンからの流入が激減している
である。
1については以前も書いたように、メディアのアンケート調査記事でも自社直営サイトからの購買者が9%しかいないというものがあった。
かつて、2010年代後半にZOZOTOWNが急激に取扱高を拡大していた当時、アパレルEC業界では「利益率を維持するためには自社直営サイトの売上高を伸ばすべきだ」という主張が大勢を占めていて、各社とも強化に乗り出した。その主張と施策は正しいと当方は考えているが、そこから10年弱が経過した今、結果は逆になっている。
理由は様々あるだろうが、以前も書いたように当方は「アプリ増えすぎ問題」があると思っている。当方も含めて多くの人のスマホには各社のアプリがすでに大量に入っている。これ以上増やすのは管理も面倒になるので、できるだけアプリを増やしたくないと考えるようになっている。現に当方がそうだ。できる限りこれ以上アプリは増やしたくない。
そうすると、直営サイトのアプリを一々インストールするよりも、大手ECモールの中からそれぞれのブランドの商品を買えばいいという結論に達する。
そして、この流れは今後もそう簡単には変わらないだろうと思われる。
次に2だが、EC関連の技能もスキルも無い当方からすると、驚いたわけだが、理由はAIが実装されるようになったからである。
当方は積極的に使ってはいないが、最近は検索サイトにもAIが実装されていて、検索したい用語を打ち込むとAIの答えが一番上に出てくる。AIの答えは嘘が含まれていることがあるが、概略はあまり間違っていないことが多いから、その答えで十分ということになる。
そうなると、わざわざ他の検索結果まで調べる頻度は低くなる。
これがネット通販の世界でも起きているというわけである。
この2に関する詳細な記事が掲載されており、勉強になったので紹介したい。
かつてユーザーは、検索エンジンが並べた10件のリンクを自分でクリックし、複数のサイトを行き来しながら情報を比較・判断していた。ところが今、GoogleのAI Overviews、ChatGPT、Claudeといったプラットフォームは、その手間をすべて肩代わりし、ユーザーが質問を入力すると、AIが複数の情報源を参照・統合し、「答え」として直接提示してくれる。ユーザーはもはや自分でリンクをたどることをしない。AIが出した答えを「起点」として意思決定する——そんな時代になってきた。
とある。
AIから提示された内容を起点として考えるというわけである。当方とて、知らず知らずのうちにそうなっているケースが多い。AIから提示された内容を起点に、さらに検索で調べるという具合だが、簡単な事柄なら、AIで提示された内容で十分なのである。
そうすると、自社公式通販サイトを強化したければ
この変化が意味することは、実はとても大きい。かつてブランドは、検索結果の上位に表示されることを競い合っていた。しかし今や、AIが生成する「答え」の中に自社ブランドが含まれているかどうかが、勝負の分かれ目になりつつある。10本のリンクの中で1位を取るより、AIの回答の中で「最適な解決策」として推薦されること——それこそが、現代における可視性の本質ではないだろうか。
という施策になる。
ただ、このAIに生成される「答え」の中に自社ブランドを含ませるにはどうすれば効率的なのだろうか。
記事では、多くの企業・ブランドがこれに対して逆の施策を行っていると指摘している。AIを使うことによって、自社サイトに掲載する記事も量産しやすくなった。そのため、各社・各ブランドはブログも含めた自社記事を以前よりも量産するようになっていることが多い。しかし、そのやり方ではAIから選ばれにくいとのことである。
しかしこれは、AI時代の検索構造に対する根本的な誤解。AIが評価するのは実は「量」ではなく「構造」だからだ。低品質なテキストがWeb上に溢れるほど、AIモデルはむしろ情報の「信頼性」と「一貫性」を厳しく問うようになる。量産すればするほど、AIには「断片化した情報の寄せ集め」と判断されるリスクが高まっていってしまう。
SEO全盛期に染み付いた「記事を増やせば勝てる」という感覚は、今や通用しないどころか、むしろ逆効果になりかねないのだ。
ではどのように対処すればよいのか。
記事では「テキストコンテンツとYouTube動画の組み合わせ」を提案している。
AIはYouTube動画を「映像として鑑賞」しているわけではない。動画がアップロードされると自動的に文字起こしされ、そのトランスクリプトデータがGoogleのインデックスに格納される。このトランスクリプトは、ブログ記事の書き言葉よりも自然な口語表現で書かれていて、ユーザーがAIに投げかける質問の文体と意味的に一致しやすい。つまりYouTube動画の配信は、「検索意図に極めて近い、自然言語のテキストデータ」を大量に保有することと、ほぼ同義なのだ。
という理由があるとのことだ。
現状、検索エンジンからの自社公式通販サイトへの流入が減少している企業・ブランドはこの元記事を読んで試してみてはどうか。
ただ、記事中にもあるように、WEB業界は地殻変動が起きやすい。昨日までのやり方がいきなり廃止になることも多々ある。
今の最適解もいずれは不正解になることだろう。そういうものだと割り切って、その時々の最適解を逐一やるほかない。
かつてはネット通販楽勝論みたいなものが繊維業界にはあったと感じられたが、楽勝どころか、短期間で最適解が変わってしまう恐ろしい分野だといえる。
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