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南充浩 オフィシャルブログ

SNS上での大きい声が必ずしもマジョリティーではないという話

2026年5月7日 企業研究 0

基本的に5年くらい前からSNSはあまり熱心に見なくなった。

そんな当方でもたまに目にする中では、女性服のポケット問題が喧しくなっていることがあった。SNSで積極的に声をあげている人間が必ずしもマジョリティーでないことは皆さんがご存知の通りである。

例えば、今の野党支持率は軒並み0%~3%くらいしかないのは各社の世論調査で共通しているが、SNSではその少ない野党支持者が一日に何度も投稿するので、支持率が高いように見えてしまう。

そんなわけでポケットの多い女性服を多くの女性が熱烈に渇望しているかというとそうではないと考えられるのだが、需要が全くないわけでもないから、試験的に販売を強化するブランドやアパレルが複数出て来てもおかしくはないと思っている。

 

 

 

そんな中、こんな記事が掲載された。

「女性にポケットはいらない」という思い込み ニッセンの“8ポケット付き”ジャケットがヒットしたワケ:テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(1/2 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン

現在、苦戦が続いている大手通販のニッセンだが、こういう試みは評価できる。

何せ、他社があまりやっていない商材だから、当たればニッセンが現在の需要をほぼ独占できる確率が高い。普通の安い婦人服でよければ、マジョリティーは別にニッセンで買う必要が無い。ユニクロもあればワークマンもあるし、ハニーズもある。無印もあるしジーユーもある。

中高年女性客が現在ジーユーにも大幅に増えている。建前上、ジーユーの顧客は若者となっているが、当方も含めて中高年男女がジーユーで買うことは珍しくなくなっている。

 

 

 

そうなると、経営不振中のニッセンとしてはそれらと差別化できる商材が必要になるが、その一つが「ポケットが多い婦人服」である。

逆にそれらと同じような商材を並べるのであれば圧倒的な低価格を実現しないと見向きもされない。

ただ、先ほども述べたようにSNS上で声が大きい人が必ずしもマジョリティーとは限らない。それはこの記事の次の一文が示している。

加えて、このプロジェクトは「非購入者」の声にも向き合いました。

ニッセンが行った調査では、第1弾の購入を見送った層から「今持っている服で十分」という意見が複数確認できました。しかし商品開発を担当したチームはそこで諦めず、「ポケットが必要なシーンを具体的に想像できていないのではないか」と分析したのです。

そこで第2弾では、単にポケットを増やしたという機能面の説明をするのではなく、名刺交換やバッグを持たない程度の離席など、具体的なシーンを訴求しました。また、ビジネスから育児などのプライベートまで、「手ぶら」でいることが機動力を生み出すという体験価値を打ち出しました。こうした訴求がうまく刺さり、売り上げにつなげることができました。

 

とのことで、今回のチャレンジは第2弾商品で、第1弾商品の販売数量は示されていないが、少なからず購入を見送った女性客がいたということがわかる。

 

 

 

 

恐らく、彼女らに「女性服にポケットが増えたらうれしいですか?」と質問すると「うれしい」と答える確率が高い。しかし、切実にその商品を渇望しているかと言うと多分渇望していない。なぜなら、今でも十分それなりに生活に支障が無いからである。だから第1弾の商品を見送ったと考えられる。

価格が1万5000円というところも購買をためらわせた原因の一つではないかとも考えられる。ユニクロのジャケットならポケットが少なくてももっと安いし、ジーユー、ワークマンならさらに安い。そうなるとポケットが多いからと言って、1万5000円は支払いたくないと考えた人も相当数いただろう。

 

 

記事にもあるように「ポケットが多い」だけでは刺さらない女性客が相当数いたわけである。そしてこれは販売テクニックの話だが、「ポケットが多いでっせ」という売り文句から「こういう使い方ができます。こういう生活は便利でしょ?」という売り文句に変更したことが売り上げにつながっている。

商品アイデアの勝利というよりは売り方の変更を思いついたことの勝利といえる。

 

 

 

かつてマクドナルドの「サラダマック」が失敗に終わったように、「〇〇があったらいいよね」という声を挙げる消費者が必ずしもその商品を熱烈に渇望していて購入してくれるとは限らない。ポケットの多い服を渇望するかのようなSNS上の声だが実際に商品を買ってくれたわけではない。

逆にそこで諦めずに売り方・訴求方法を変更したニッセンの姿勢が素晴らしかったといえる。

 

 

 

今回のニッセンの成功で今後は、ポケットの多い女性服も市場には増えていくことだろう。

ただ、ポケットの多い女性服が大半以上を占めるという売り場には今後もならないだろう。従来通りの婦人服が少なくとも半数以上あり、ところどころにポケットの多い女性服が差し込まれるという感じのマーチャンダイジングで落ち着くのではないかと思われる。

 

 

今回の記事から学ぶべきは、SNS上での大きな声が必ずしもマジョリティーではないということと、訴求方法を変更することで売れることもある、という2点だろう。

 

 

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