中高価格帯ブランドも売上高が気温変化で大きく左右されるという話
2026年4月23日 天候・気候 0
直近で買ってみたり、元から持っていたりする服だが、気温のせいで「今シーズン1度も着なかったな」という服が結構ある。
着るにはまだ暑いからと言って、着ていなかったら急激に気温が下がって冬に突入したということもあったし、逆に着るには寒いなと思っていたらいきなり初夏に突入したということもある。
もちろん「オシャレは我慢だ」という人もいまだにおられるが、当方はたかが服を着るために我慢をするのは嫌なので、そんな言葉に耳を貸す気は毛頭ない。
ただ、世の中のマス層は気温に応じた服しか着たくないという人の方が多い。通常は低価格・コモディティブランドにその傾向が強く、中高価格帯ブランドには薄いと言われていたが果たしてそうだろうか。
先日、三陽商会の2026年2月期決算が発表された。
めんどくさいので記事を引用させていただく。
三陽商会の営業利益52%減 26年2月期、長い夏商戦に課題 – WWDJAPAN
三陽商会の2026年2月期連結業績は、売上高が前年比3.4%減の584億円、営業利益同52.2%減の12億円、純利益が同2.7%増の41億円だった。猛暑・高温に対応したMDがうまく回らず、主力販路である百貨店で苦戦した。売り上げの低迷に伴う在庫処分のためにセール販売を増やしたため、粗利益率が同1.6ポイント低下した。投資有価証券売却益41億円を特別利益として計上したため、最終利益は増益になった。
とのことで、本業は全然ダメで、当期利益が増益になったのは株式売却によるところだから本当に厳しい内容である。
三陽商会は低価格ブランドを展開しておらず、販路は60%以上が百貨店であることは広く知られているが、その三陽商会の26年2月期ダメダメ決算の理由がすべて気温なのである。
先の部分では「猛暑・高温に対応したMDがうまく回らず」と挙げられている。うまく回っていないならそのMDは猛暑・高温に全く対応できていないのでは?と思うのだが。(笑)
本来は「猛暑・高温対策MDの精度が甘くてうまく機能しなかった」と言うべきだろう。
さらに以下の一節も苦戦理由が気温のことしか書かれていない。
四半期ごとの売上高推移を見ると、3〜5月が6%減の145億円、6〜8月が横ばいの125億円、9〜11月が横ばいの155億円、12〜2月が7%減の158億円だった。3〜5月は春先の低温とその後の急速な気温上昇によって春物商品が極端に短期に終わったことが響いた。6〜8月も売り上げは維持したものの、プロパー販売が苦戦した。9〜11月は残暑で秋商戦が短縮化した。
とのことで、全ての四半期の苦戦理由が気温である。
衣料品販売は気温に大きく左右されて当たり前だと当方は常々書いているが、ここまで気温に左右され続ける企業・ブランドは農業・漁業に近い体質といえる。
百貨店の売上高も気温によって大きく左右されているのは毎月の百貨店協会のコメントからもわかるだろう。
要は、中高価格帯衣料品を販売しているアパレル企業、百貨店でさえ気温の変化によって売上高が大きく左右されることは最早動かしがたい事実で、気温に関係なくファッション性とか季節感だけで服を買う・着るという人がいかにマイノリティー化しているかということを意味している。
日本の気温が夏が長期化していることは誰もが実感している。当方は以前から、年間半年間は半袖で過ごしていると書いている。冬は暖冬の年もあるし厳寒の年もあるが3カ月間くらいに凝縮されている。夏の長期化で煽りを食らっているのが秋である。秋らしい気候は本当に短い。1か月くらいだろう。春も不安定で長ければ3月・4月の2カ月間が楽しめるが、短ければ1か月強くらいで終わってしまう。
必然的に春物・秋物の着用期間も販売期間も短くならざるを得ない。
それに対して興味深いアンケート調査記事が掲載された。
ゾゾ「二季化によるファッションの悩み」調査 中間気温向けは着る機会が減少 | 繊研新聞
着る機会が少なかったアイテムは「薄手のニット・セーター」が38.7%、「カーディガン」が29.3%、ライトアウターが23.4%(複数回答)と、上位になった。中間気温向けのアイテムは着用機会が限られやすいことが分かった。
とのことだ。
薄手のセーター類はなかなか出番が無い。素材にもよるだろうが、個人的には薄手の綿セーターは本当に着る機会が無い。薄手のウールセーターはまだ冬に着る機会があるが保温力が下がる薄手の綿セーターとなると冬には着られない。かと言って夏に着ると暑くてたまらない。その昔、メンズクラブで「夏には薄手のリネンセーター」とか特集を組まれていたが、まだ若かりし頃の当方はそれを真夏に真似をして、暑くて汗だくで死にそうになったことがあった。
カーディガンが多いのは意外である。当方はプルオーバーよりも着脱が楽なのでカーディガンはよく着ているのだが。
三陽商会の決算結果やこのアンケート調査記事を踏まえて、価格の高低は関係なく、気温対応できる機能性衣料品を拡販すべきではないかと強く思う。「オシャレは我慢教」の信者は少数派に転じているのでニッチブランドがそちらの需要に対応すればよいのではないかと思う。
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